足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No.1094 ~ 「お母さんの所へおいで」 タイワンリス ~

2012年10月24日 | 野生動物

子リスは、うづくまって動けない。

母リスが子リスに寄りそうと 子リスは背中に乗って・・

母リスが離れ子リスを呼ぶと・・・

母リスは子リスに 「チュー」をした。

観 察 月 日  2010.10.19.晴 22℃

観 察 場 所  横浜市 戸塚区 (舞岡公園)

 私は皆に遅れて雑木林に入った。先に行った人達が顔を

上げ、しきりに指をさし何やら話している。

 「こんなにも小さいのね」「お母さんが呼んでいるわ」・・・・

 明るい所から急に暗い林に入った私には何も見えなかった。

が、目がなれて来ると、親の半分もない子どもを気遣っている

タイワンリスの母子であった。

 子リスは幼すぎるのか、枝を上手く渡れずうずくまっている。

母リスは「こっちへ来なさい」と、子のいる場所へ行ったり来た

りしている。下では15人の人間がリスを見上げているのでは、

リスの母子にとっては恐怖の時間であっただろう。

 母リスが子リスの所へ戻ると、子リスは母リスの背に乗り、甘

えと安心の様子がくみ取れた。再び母リスは離れ子リスを呼ぶ

と、子リスは恐る恐る母リスに向かって歩き出した。母リスも子

リスに近づき、母子は顔を突き合わせた。

 「もう大丈夫よ、お母さんに付いて来なさい」そんな話をしたか

のように、母リスは子リスの顔に「チュー」をした。

 次の瞬間、母子のリスは、木の葉の中に吸い込まれ姿を消した。


No.1093 ~ 日曜日に キンヨウグモ ~

2012年10月23日 | クモ

丹沢湖ビジターセンター前より見た丹沢ダム

キンヨウグモはエノキの葉裏にいた。

体の模様をカメラ写してモニターを見たら長い脚が切れていた。

長い脚はどう使う

観 察 月 日  2010.10.14 晴 22℃

観 察 場 所  山北町 玄倉 (丹沢湖ビジターセンター)

 「キンヨウグモがいましたよ。来て下さい」

 クモが大好きな0さんが呼びに来た。

 「今日は日曜日なのに、何で金曜?・・・」と自分に冗談を言

い聞かせながら、後をついて行った。

 動植物の和名は片仮名で表記する事になっている。が、植

物の場合は片仮名の後漢字を付けている事が多い。クモでは

それが無い。だから金曜蜘蛛とか、金葉蜘蛛・・・とは書かず、

すっきりしている。

 ところでキンヨウグモは、雑木林の近くに置かれたエノキの葉

裏に張り付くように休んでいた。茶色の腹部の表に黄色の模様

が描かれている洒落たクモに見えた。

 早速その特徴を捕えようと、カメラを近づけシャッターを切りモ

ニターで確かめると足が切れている。第一脚が体長の何倍か長

く、第ニ脚も長い事に気づかず写真を写していたのだ。それにし

ても、この細い長い足はどのように役立てるのか不思議に思えた。

 後で調べて見たら、幼体期には円網を張るが、成体に成ると網

を張らず、樹間に2~3本の糸を引きそこで獲物を待ち、近くを飛

ぶ昆虫を長い足で引き寄せ捕食するのだという。

 こんな途轍もない発想は、人間より先に現われたクモの長い時

間の中で生まれたものなのであろう。

 


No..1092 ~ トキンソウ(吐金草)の名前 ~

2012年10月18日 | 植物

日向新田の田んぼ

稲と畦の間を埋めるトキンソウ

つぼみや花で、今が盛り

頭花の直径は3mm程

吐金草の名の由来を検証? 頭花を指でつまむのは大変

指で押すとつぶれて、ばらばらになってしまう。

名の由来はともかく、ルーペで見る、これはつぼみ。

花盛り 頭花の中心は両性花の集まり、周囲は雌花

観 察 月 日  2010.10.13 晴 25,4℃ (自宅にて記す)

観 察 場 所  伊勢原市 日向新田

 トキンソウと言う植物名が、以前から気になっていた。

 色々な図鑑を開いて見ると、「漢字で書くと“吐金草”で、

その由来は

“頭花を指で摘まんで押しつぶすと黄色の果実を吐き出すから”

と大体はこの様な説明が付いている。

 自分自身の頭の中に納めて置くのであれば、“これで納得”と

済ますのもよいが、他人に説明をするとなると「それでよいのか

?」考えさせられる。

そこで実際にやってみると、しっくりといかない。3mm程のトキン

ソウの頭花を指先で摘まむのは思ったより難しい。その上指で押

すと頭花はばらばらになり、吐き出すとは言い難い。

 偶々、図鑑“野草の名前・秋冬篇”を開いて見たら、著者は“トキン

ソウの名前の由来”が気になるようで、新しい説を提唱している。

 和名の由来についてはともかく、田の稲と畔の間を埋めるトキンソ

ウの、つぼみを、頭花をルーペで見ると、そのつくりの美しさに驚嘆

の声を上げてしまう。


No.1091 ~ 倉岳山のギンバイソウ ~

2012年10月17日 | 植物

倉岳山の登山口

ギンバイソウのある沢

ギンバイソウの小群落

中心から花が突出す

”カニの鋏”を思わせる葉・鋸歯

若い果実には穴が開けられていた。装飾花も残って見える

登って来た道を下山に使う

オオバショウマ

セキヤノアキチョウジ

落花と落葉を踏みしめて

観 察 月 日  2012.10.10.晴 15~25℃

観 察 場 所  上野原 秋山 倉岳山

 I君が中央沿線の倉岳山での写真の中に、ギンバイソウの小群落

があり特徴的な花も付けていた。「その内一緒に行こう」と約束した

のは、暑い夏の頃であった。

 私がギンバイソウに初めて出会ったのは、津久井から丹沢の尾根

へ向かう沢筋であった。

草本としては20cmもある葉が対生に付き、それが集まって輪生の

様に見えるその中心から白梅を思わせる花が突き出し、その周囲

にはアジサイを連想させる装飾花のあるのが印象的であった。中

でも葉の鋸歯で、葉の先端が大きく二つに切れ、その特徴的形状

から思わず“カニの鋏”が頭に浮かび、それ以来“カニさん”と呼ん

で楽しんでいる。

I君と久し振りに向かった山のギンバイソウは、季節が進み花は若

い実に変わり、青いが膨らんだ果実の部分が、何者かに食べられ

穴の開けられているものが目立った。

下る山道には、セキヤノアキチョウジ・オオバショウマの花が盛り

、トチノキの落ち葉を踏みしめながら梁川の駅に向かった。


No.1090 ~ ツルリンドウの不思議 ~

2012年10月16日 | 植物

散策路に点々と咲くツルリンドウ 9月4日

1か月振りに歩く 芦の湖西岸

草むらの中から飛び出る赤紫の宝石

花弁が果実を支え 雌蕊の柱頭が残る

花弁がしおれ、果実の柄が伸びる

熟した果実は 液化だ

果肉があり 中に細かな種子が詰まっている

種子は28粒あった

不思議一杯

観 察 月 日  2012.10.9、晴 22℃

観 察 場 所  箱根町 芦ノ湖西岸

 9月4日に訪れた時は、薄紫の花の季節であった。果実が見たい

と言うFさんに付いて1ヶ月振りに再び訪れてみた。

 以前と違い、散策路脇の草むらの中から赤紫色の実が飛び出し

ていた。それは艶やかで、何故か大納言のあずきを思い出させた。

 リンドウの仲間は色々あり、春先には里山でフデリンドウを、夏に

山の湿地でタテヤマリンドウを、秋の高原でリンドウ等々今年も巡

り会ってきた。

 それぞれのリンドウには特徴はあるものの、ツルリンドウだけは突

出している。1m程の蔓状の茎を伸ばし、草の茂みの中をくねり、笹

の茎や小木に巻き付き、向き合うはの付け根に液果を付ける。他の

リンドウは

乾いた実の中に細かな種子を作り、風や雨の力を借りて種子の散布

しているのであろう。ところがツルリンドウは液果で、果肉があり、果

実も目を引く赤系色、鳥や動物に種子の散布を期待しているのであ

ろうか。果実の中には28粒の細かな種子が詰まっていた。Ⅰ粒の種

子を拡大して見ると、やや扁平の種子の稜に極幅は狭いが膜状の羽

が一周している。

この羽は何のためにあるのだろうか。自然は不思議な事に満ちている。