足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No.1281 アカスジキンカメムシの幼虫は 今 ~

2014年10月29日 | 昆虫

観 察 月 日  2014.10.19 晴 21℃

観 察 場 所  厚木市 七沢 (県自然環境保全センター)

 駐車場にMさんの車が止まっていた。早く来たとみえて、観察

に歩いているのか、姿は無かった。

 しばらくして、樹木園から現われたので声を掛けると、「ツリバ

ナの実が気になって見に行ったが、既に終わっていた。隣にヤ

マボウシの木があって、実が下がっていたので2~3個味見をし

てきました。」と返ってきた。

 私はヤマボウシの実と聞いて「カメムシの幼虫はいませんでし

たか」と聞き返すと、「頭に無かったので、見えませんでした」と。

 私が聞き返したのには、訳があった。春から夏に掛けて体色の

鮮やかなアカスジキンカメムシは既に次の世代に移り、5令幼虫

が迫りくる冬に向かって、エネルギーを蓄えるため、木の実の汁

を吸っている時期なのである。

 9月16日、群馬県の赤城自然園へ行った時、見上げる様なヤ

モボウシの大木があり、緑の葉の中に赤紫の実が溢れる様に下

がっていた。双眼鏡で見ると、予想通りに何匹もの幼虫が吸汁し

ていたのであった。

 午後ミニ観察会の参加者と共にヤマボウシの木の下に行き、実

を一つ一つ当たって見るとこちらも予想通り何匹もの幼虫が吸汁し

ていた。

 以前の今頃、ムラサキシキブの小さな実の汁を吸っているのを観

察した事があるが、ヤマボウシの実は大きく、最大のエネルギー補

給スタンドであろう。

 参加者と共に我々人間も、果実を少し戴き味見をしてみた。

ツリバナは、何故か狂い咲きをしていた。

「隣にあったヤマボウシの味見を!」とMさん、「幼虫は見なかった」

赤城自然園 9月16日。

ヤマボウシは鈴なり!。

予想通り幼虫が

何匹いるでしょう?

午後のミニ観察会で幼虫を探す。

アカスジkンカメムシの幼虫がいた!

口を差し込んで、汁を吸っている。

                    ★ 翅がないので 足が確りしていて 木の実を探してよく歩く!

 


No.1280 ~ 出会った カメムシ3種 ~

2014年10月27日 | 昆虫

観 察 月 日  2014.10.12.曇 18℃

観 察 場 所  山北町 玄倉 秦野林道

 林道を進むと道際に、ウワミズザクラの大木がある。林道が出

来る前、山の景色の一つだったのだろう。春にはブラシ状に小さ

なサクラの花を付け、夏には赤い小さなサクランボを付ける。季

節によって違う姿を見せてくれる友達の様な木だが、今日は太い

幹に私達を引き付けた。

 それは幹の上でヨコズナサシガメの幼虫が、衣装替えをしてい

る処であった。

いや、脱皮中なのである。普段は、黒く艶のある体色をしているが、

頭部と胸部が漆塗りの鮮やかな朱色だ。その朱色も時間が経つ

と元の黒色に変わる不思議さがある。

 「ここにカメムシが!」と私に言いながらカメラを向けていたのは

Kさんだ。見ると20mmもある大型のカメムシだ。「黒い点(星)が幾つあ

るか数えてみて!」と私はKさんに言う。続いて「星の数が和名

の由来だよ」と話す。

 しばらく行くと「Tさんが、箱根で写したカメムシと同じカメムシがいた

のですが。種類が?」追いついたRさんが話し掛けてきた。聞くと、そ

れは背の模様がどこか人の顔を連想させると言うので、私の頭の中

には、描くカメムシの幼虫がいた。引き返すとそのカメムシはマツカゼ

ソウの葉上にいた。確かに人面をしている。だが現代人ではなく、歌

舞伎の世界の道化役を思い出す。

 今年の観察会で良く出会った「エサキモンキツノカメムシの幼虫」と

言ってみたが、頭の中では「いや違うかも?」の呟きもあった。でも、

ツノカメムシの類の幼虫であろう」と思うのだが、どうであろうか。

ウワミズザクラの幹に きれいなカメムシ!!

 ヨコヅナサシガメが脱皮中・・・・・

脱皮終わり 横に脱皮殻が見える。

時間が経つと 黒く変わる。不思議?

黒い点(星)が10個 トホシカメムシ 。

人面模様をした 謎のカメムシ幼虫。

見て来た エサキモンキツノカメムシ

2令幼虫 人の顔に似ている。

                    ・・・・・・ツノカメムシ類の幼虫の背の模様は不思議?・・・・・・・

 


No.1279 ~ 玄倉は 秋祭りの季節 ~

2014年10月26日 | 昆虫

観 察 月 日  2014.10.12.曇 18℃

観 察 場 所  山北町 玄倉

 山は緑だが、道路際のオオヤマザクラは一足早く色付き、その下

を白装束の男達が担ぐ神輿が丹沢湖へ向かう。玄倉は秋祭りの季

節だ。

 ススキの穂が招く草原に、虫たちの秋はないかと覗いて見ると、

ホシアワフキの2匹が向き合って止まっていた。2匹は雌雄なのだ

ろうか。

 頭部付近をルーペで拡大して見ると、植物の汁を吸う口などセミ

そのものだ。

 エゴマの葉上でセスジツユムシが眠っていた。アンテナを前へ伸

ばし、活動に重要な役目をする後足も、後ろへ投げ出す様に伸ばし、

リラックスしている状態だ。こうした姿勢は、周囲の植物に融け込む

優位さもある。腹部の尾端に、ナイフ状の産卵管が覗いている。これ

で植物の茎に傷を付け産卵するのだ。

 「ヤマトシリアゲがいますよ」と誰かの声。雌で、口の先に小さな虫

を捕まえ食事中の様だ。少し離れた所に、尾端に恐ろしげの鋏を上

げた雄のヤマトシリアゲがいた。初夏に出現するものの体色は黒い

が、秋型は体色が赤褐色だ。

 落ち葉の上に白い綿状の物に包まれた、ミンミンゼミが転がってい

た。元気に夏を謳歌していた頃、白きょう病菌に感染し、やがて体内

に菌が溢れ、生命を奪われて地上に落ちたのだろう。昆虫にも恐ろ

しい病気があるのだ。

 次代へと命を繋いだもの、繋げずに落ちたもの、ススキの穂が揺

れる秋の季節に、昆虫たちの生き行く姿があった。

玄倉は 秋祭りの季節だ。

ススキの草むらに 虫たちの秋を探す。

ススキの茎に、ホシアワフキの2匹が 向き合っていた。

雌雄なのだろうか。

ルーペで見ると まるでセミそのものだ。

セスジツユムシが眠っていた。

みんなで覗き 起こしてしまった。 ごめんなさい!

「ヤマトシリアゲが!」 雌が食事中。

鋏を上げた雄のヤマトシリアゲ。

白きょう病菌に侵された ミンミンゼミ。

丹沢湖に入った神輿。

                         ・・・・・・やがて、西丹沢 玄倉の秋は深まって行く・・・・・・

 

 


 No.1278 ~ めざめの クロコノマチョウ ~

2014年10月24日 | 昆虫

観 察 月 日  2014.10.12.曇 18℃

観 察 場 所  山北町 玄倉

 朝、ビジターセンターの裏庭へ回る。昨年は刈り取られたため

タイアザミは育たなかったが、今年は50cm程に茎を伸ばし、花

を付けている。が、その先が揃えたように切り取られているのは、

シカが食べた跡だ。先端の花をつけた茎が切り取られると、その

脇の蕾が上がって来る。植物も食害には、簡単には屈しないもの

と見とれていると、クロコノマチョウがタイアザミの茎に、不器用な

形で止まっているのに気が付いた。

 ここは、一日中さんさんと太陽が当たる明るい草原だ。クロコノマ

チョウは草原は好まず、薄暗い林の中かその林縁を暮らしの場所

にしている。チョウは、昨日の夕刻ねぐらを探しタイアザミに到達し、

一夜の眠りに着いたのであろう。

 今日の日の出は5時44分、夜が明けてから3時間以上も経ってい

るが、不器用な止まり方は変わらない所を見ると、まだ眠っているの

だろう。

 Sさんの家族が見えた。ご両親とお子さん二人で来られるが、皆そ

れぞれカメラを下げ、自然大好き家族だ。

 「クロコノマチョウが眠っていますよ」と声を掛けると、中3のkさんが

静かな急ぎ足で来た。チョウに気付くと、低い姿勢でレンズを向けた。

2~3コマシャッターを切っただろうか。クロコノマチュウは気付いたのか

目覚め、体が小さく揺れたかと思うと、「パッ」と翅を開いた。野外での

静止時に、翅を開いた姿を私は初めて見た。チョウは朝日を浴びるた

め反応したのだろう。

 私の方からは翅の裏側だが、Kさんの方からは翅の表側を見る位置、

どんな写真が撮れたのであろうか。だがその時間は2~3秒、チョウは

緩く飛び立って行った。

シカの食痕を見ていたら

クロコノマチョウが止まっていた。眠っているのだ。

近くでキチョウも眠っていた。

クロコノマチョウにレンズを向けるkさん。

目覚めたのか「パッ」と翅を広げ、2~3秒して、頼りなげに飛び立った。

キチョウもめざめ、飛び立ち 地上に止まった。

                                     * そしてチョウ達の1日が始まる!


No.1277 ~ クルマバッタが跳び出した ~

2014年10月16日 | 昆虫

観 察 月 日  2014.10.7.晴 22℃

観 察 場 所  秦野市 弘法山

 台風の翌日弘法山を歩いた時、オケラ等植物の他昆虫にも

出会った。ミカン山への坂道の草むらには、産卵管を突き出し

たササキリとショウリョウバッタの雌がススキの葉に身を隠して

いた。

 道を進むと目前のタイアザミの花に止まり吸蜜しているメスグ

ロヒョウモンの雌が目に止まったが、飛び立ってしまった。ここ

では7月に来た時にも出会ったが、今日は2匹の翅を黒く染め

た雌に遭遇した。

 メスグロヒョウモンは初夏に羽化し、夏の間は夏眠して姿を消

し、秋になると再び活動を始め、この季節に出会う事が多い。ス

ミレ類に産卵し、孵化した次代の幼虫は1令で越冬する。スミレの

育つ草原と、雑木林のある場所では見られるが、これらの環境が

壊れると棲息出来なくなるチョウだ。

 足元の草むらから「パチッ」と音がして、6cm程の大形のバッタ

が飛び出した。茶の体色、前胸背板が鋭く尖るクルマバッタだ。

続いて緑の体色をしたクルマバッタも跳び出した。産卵間近の腹部

の大きい雌だ。次に来たときには産卵を終え、姿は見られない事だ

ろう。

 山頂間近い登山道で、ビニール袋を重そうに下げ、鼻をつまみたく

なる臭い引きずって降りて来た人に出会った。

 弘法山の寺の裏に回ると、大イチョウの下は、一面黄金色のギンナ

ンに敷き詰められていた。

ススキにササキリ雌が。

ススキに隠れるショウリョウバッタ 解りますか?

メスグロヒョウモン♀

草むらの中から飛び出した。

クルマバッタ 前胸背板が鋭く尖る。

大イチョウの下は

黄金色のギンナンで

「持って帰るのは  大変だろう」

                                             ・・・・・・・・・と、つい思ってしまう。