足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No.1310 ~ Rana卵 の 数え方 ~

2015年03月29日 | 野生動物

観 察 月 日  2015.3.25日 晴 15℃

観 察 場 所  厚木市 七沢 (県 自然環境保全センター)

 少し前に戻るが、3月17日庭にあるメダカの鉢にもヤマアカ

ガエル(Rana)が産卵、水が澄んでいたので卵塊がはっきりと

した。

 我が家の庭で成長したヤマアカガエルが産んだ物にしては、

立派な卵塊だ。この中に卵が幾つ産み込まれているか、数え

る事にした。

 ヤマアカガエルの1卵塊の蔵卵数は、1000~1900個、卵

の大きさは1,5mm~2,5mm程だ。

卵塊の中にある卵を1000個以上も数える事等とても出来ない。

そこで重さを使って数えるのだ。

 先ずは卵塊の中から数えるのに可能の量の卵をハサミで切り

出し、その重さを計り、その中の卵の数を数える。そして次に卵

塊全体の重さを計って、そこから卵の数を割り出すのだ。

  卵塊の重さ­=374g

  卵塊から切り出した卵の重さ 23g-6g(容器)=17g

  17g中の卵の数=96個

  卵塊のなかの卵の数 96個×(374g÷17g)=2112個

 2112卵とは予想を越えるものであった。5卵塊の産卵があった

ので、全部がカエルになったら大変な事になるので、故郷である

自然環境保全センターの水辺へ返した。

 センターの水辺には、アズマヒキガエルの帯状の卵が産み付

けられていて、そこには、雄のヒキガエルが顔を覗かせ、大き

な呼吸をした次の瞬間泥の中へ潜った。

 これからの水辺は、オタマジャクシで大賑わいになる。

庭に置いたメダカの鉢

そこに産み込まれた 卵塊。

1卵塊の 蔵卵数を数えてみた。

切り出した卵の重さを計る

卵塊の重さを計る 卵の数を計算する

少し残し 後の卵は故郷の水辺に帰した。

水辺には 次のランナー”アズマヒキガエル”の帯状の卵が。

雄のヒキガエルが 顔を出していた。

オタマジャクシは ヤマアカガエッル。

                               * カエルの季節も 次へとバトンリレー


No.1039 ~ アセビの 花の 秘密 ~

2015年03月28日 | 植物

観 察 月 日  2015.3.25日 晴 15℃

観 察 場 所  厚木市 七沢 (県 自然環境保全センター)

 センターの池のほとりに、アセビが白い小さな花穂を一面に付

けていた。丹沢の尾根では自然の物に良く出会ったが、ここのア

セビは植栽で高さ2m程のあり、15cm程の花穂を付け、そこに

8mm程の壺形の花を下向きに付けている。花は春早くから咲き

始め、天気は良く陽が当たっているのにまだ昆虫の姿は無い。し

ばらく待つとビロードツリアブが現われた。時間が経つにつれ、1匹

、2匹と飛び始めたが、マルハナバチの姿は無い。ビロードツリアブ

は、「再び春が巡ってきたよ!」と私達に呼びかけてくれるニンフの

姿だ。

 早春の山道を歩くと、キジムシロなど平面な花にホバリングをして

吸蜜しているが、アセビの様な下向きの花にはどうするのか興味が

あった。

 アセビの花穂の近くまで飛んで来ると、そこでホバリングして空中で

停止する。どの花で吸蜜しようか選別している様だ。平面の花ならそ

のまま降下すればいいのだが、下向きの花はそうは行かない。

 そこで長い口吻と、長くて細い足が役立つ。次に体を寄せると、長い

足で壺形の花を掴むように止まり、長い口吻を花壺の中に差し込み

吸蜜が始まる。

 小形のハチがアセビの花穂に飛来した。昆虫達は先ずは目で花を

見つけ、次にエネルギー源である蜜源を確認するのだ。ハチは歩き

回ったが蜜源には到達出来ない。壺の口が小さく中に入れない、口

が届かない。花が拒否しているのだ。

 思いもよらぬテングチョウが花穂に飛来した。花穂の上に乗り、口吻

を伸ばしくねくね動かし蜜源を探しているが、上からでは無理の様だ。

体を横に、下に移動して、しなやかな口吻を入れ吸蜜に成功した。ビロ

ードツリアブとテングチョウの口吻には、アセビの花粉が付いていた。

 これから産卵を控えてる両昆虫にとっては、早春の花は必須なエネ

ルギー源だ。

早春の頃 アセビの白い花は目立つ。

しばらくすると、ビロードツリアブが1匹2匹・・・と飛来。

花穂の前で 空中停止。「どの花に しょうかな?」

花に ぶら下がって口吻を差し込む・・・。

小さなハチが来たが、蜜を吸えない。

花の つくりを見ると・・・・。

ビロードツリアブは・・・。口吻に花粉が・・・。

テングチョウがやって来た。蜜源が見つからない。

体を横にして・・・・

下向きに咲く アセビ。

* 花は 虫を選ぶ!


No.1308 ~ ツルネコノメソウ・ハナネコノメ ~

2015年03月22日 | 植物

観 察 月 日  2015.3.11.晴 8℃

観 察 場 所  厚木市 不動尻

 私が初めてハナネコノメに出会い、「きれいだ!」と感動したのは

、もう遥か昔の事である。

 その場所をピンポイントして見ようと、古い丹沢登山地図を取りだし

て見た。本厚木から宮が瀬までバスで70分、料金は100円とあり、

当然宮が瀬ダム等なかった時代だ。土山峠を越え下って行くと宮が

瀬の集落、その手前道路から一段低い所に家が一軒あり、そこには

鉄の大きな檻があった。立ち寄って見れば良かったのだが、猟師の家

かと一人思っていた。

 その家の裏側は小鮎川の上流で、その付近にはハナネコノメの白

い花で埋まり、赤褐色の葯が印象的であった。今はダムの底に沈ん

だものか、その場所は特定出来なかった。

 最近はハナネコノメの咲く時期になると、谷太郎川の水源、不動尻

に通っている。ここは他のネコノメソウの他、多くの動植物に出会う事

が出来るからだ。

 谷川に転がる大きな玉石はコケで覆われ、それをベースにして、ツル

ネコノメソウが花を付けている。ネコノメソウの仲間は、花弁を持たづ、

蕚片を皿の縁の様に立ち上げた中に、デザートの様に黄色や赤褐色

の葯を並べ、メルヘン的なルーペの世界だ。

 中でもツルネコノメソウは、蕚片を平開する。

 ハナネコノメも、渓谷の飛沫の掛かりそうな大きな玉石の上で白い花

を付ける。ハナネコノメは花猫の目、花を素直に見れば四枚の花弁に

見える。ツルネコノメソウの蕚片は平たく開いているが、一層開いて大

きく成長し、白く色を付けたのがハナネコノメだ。

 普通、人がハナネコノメの花を見れば花弁に見える様に、昆虫もそれ

に引かれて花へやって来る所を見ると、花弁と感じているのだろう。もし

も、ハナネコノメが話す事が出来たら、「花弁だ」と言うに違いない。 

 人間の世界だけが、花の構造の上から見て“ 蕚片 ”だと言っている事

に間違いなさそうだ。

不動尻の渓谷には 大きな玉石が転がっている。

玉石には コケがびっしりと付いている。

コケをベースに ツルネコノメソウが!

玉石の上に 群落をつくっている。

花弁は無く 四枚の蕚片が平開しているのが特徴だ。

玉石のコケをベースに ハナネコノメが。  まだ蕾だ。

咲き始めの頃の 雄蕊の葯は赤褐色で美しい。

ツルネコノメソウの蕚片を一層平開し 成長させ 白く色を付けた形だ。

       * 「知る」 ことは、 「感じる」 ことの半分も重要ではない。 (レイチェル・カーソン)


  No.1307 ~ 突然の ヤマアカガエル産卵 ~

2015年03月21日 | 野生動物

観 察 月 日  2015.3.16.雨 8℃

観 察 場 所  横浜市 

 雨音がする夜7時、食事を終え自分の部屋へ入ると、“ ギャー

 ギャー 、クッ クッ・・・・”と幽かな鳴き声がする。

 この時期、私の部屋では動物は飼育していない。でも耳を澄ます

と幽かに鳴き声が聞こえて来る。

 「待てよ、それは庭から」と思ったが、この時期庭に生き物がいる

筈はない。

「取りあえずは」と玄関のドアを開けると“ キャララッ キャララッ”

 “クッ クッ クッ ”と盛大な鳴き声が飛び込み、私は一瞬愕然とした。

 玄関前と庭にメダカの為の直径40cmの水鉢が3個置いてある。

その水鉢の中で水飛沫を上げ、鳴いているのはヤマアカガエルで

あった。

 住まいは住宅地。開発されて遥かに過ぎているので、どの家も庭

木を植え安定した環境を醸し出している。近くに畑は無く、田んぼも

無くヤマアカガエルの棲息する環境ではない。

 それなのに何故、水鉢にヤマアカガエルの産卵行動なのか? そ

れには、「まさか!」の思い当たる出来ごとがあった。

 それは、写真展示を依頼され、ヤマアカガエルの卵を少数、メダカ

の水鉢で飼育した年があった。撮影は進み、やがてオタマジャクシは

幼いカエルになり、「どうしょうか」と考えている内に水を離れ庭へ出て

行ったのは、2010年6月6日の事であった。

 狭い庭だが、菜園あり、庭木の周りは野草が繁茂し、バッタ等虫もい

るので、何とか成るだろうと思っていたものの、意識からはすっかり遠

退いていた。そのカエル達が庭で成長し、親ガエルになり突如として産

卵した事に、私は再び驚きの声を上げた。子ガエルになってから5年、

10匹のヤマアカガエルが生まれ故郷の水鉢の中に、4卵塊の卵を産

んだのである。

玄関前に置いてある メダカの為の水鉢。

雨降る夜7時33分 水鉢の縁に飛び乗って鳴き続ける雄。 水中に2匹が。

別の水鉢に 活発に動きながら激しく鳴く。

鳴き声に誘われて来たカエル 水鉢の廻りを跳ねまわる。

雄は雌に抱接し 産卵が始まった。

翌朝水鉢を見ると 卵塊が産みつけられていた。 

卵塊を 水面と水中から見ると・・・。

2010年6月6日 陸へ登り始めた時の幼いヤマアカガエル。

           * 鰓呼吸から肺呼吸へと大変化 水を離れて陸上での暮しが始まる。

 


No.1036 ~ フサザクラの種子と 野鳥

2015年03月14日 | 植物

観 察 月 日  2015.3.11.晴 8℃

観 察 場 所  厚木市 不動尻

 8日西丹沢の玄倉を歩いたら、フサザクラの蕾がほころび始

めていた。今年はやや早めの感じがしたので山の神沢の林道

を行き不動尻へ向かってみた。

 途中ヤブツバキの赤い花が目立つ辺りは、新道が出来る前

は家の有った所で今も家の跡が残っている。

 「ここに大イチョウがあって、銀杏を受ける為の網が張ってあ

りましたよね」とRさん。今は、イチョウは切られその根元から、

沢山のひこばえが出ている。

「丹沢では岩場の尾根筋にしか見られない、ヤマグルマの高木

もこの近くにあったよね」と私。だがその面影はない。すぐ下に

旧道の一部の残りが見え、スギ林へと消える。旧道は何度行き

来した事か、歩く分には何ら不都合は感じなかったのだが。

 フサザクラは谷筋など崩壊した裸地へ入って来るパイオニア

植物で、不動尻の谷筋はフサザクラ連続だ。見上げると抜ける

様な青空の中に、丸く膨らんだ蕾が、枝々にびっしりと付いて

いる。

 その枝の中をエナガの群れが、縫う様に、踊る様に過ぎて行く。

カワラヒワの小群もフサザクラの枝に止まり、嘴を動かす。誰か

口笛を吹いたかと思わせる鳴き声と共にウソが現われ、嘴で摘

まむとハラハラと茶色の切片が、落ちて来る。

 「その岩の上を見たら、フサザクラの実の羽が落ちていました」

とRさん。

 あの小さなフサザクラの種子も、野鳥にとっては重要なエネル

ギー源になっているのだ。

ここに 大イチョウが! ヤマグルマがあった。

山の神隧道を抜け不動尻へ。

山の神沢をつめた不動尻

谷筋はフサザクラのトンネルだ。 野鳥が飛び交う。

エナガの群れが 枝をつつきながら通過する。

カワラヒワも 食事に懸命だ。

ウソもやって来た。

鳥達が食事中の下の谷筋の石の上には。

フサザクラの種子は・・・・・

                           * 鳥達にとって、大事なエネルギー源なのだ!