足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

 No.1203 ~ この冬 一番の霜 ~

2013年12月25日 | 自然現象

観 察 月 日  2013.12.21.晴 ‐1℃

観 察 場 所  瀬谷区 瀬谷

 前日は、愛川町の嘗ては養蚕で栄えた集落を通り、中津川を渡って

厚木市に、八菅山辺りを歩いていた。

 朝、雲が厚かったものの、すっかり晴上がり、冬の陽の暖かさを感じ

ながら、散歩気分であった。が、昼が過ぎたころ、急に冷たい風が吹き

抜け、空は黒い雲に覆われた。天気予報の通り雨が落ち始め、みぞ

れ交じりの冷たい雨に変わった。

 明けて翌朝、丹沢大山山塊を遠望すると昨日の雨は雪で、山々の谷

筋は白く化粧をしていた。家の前の道路は昨日の雨が凍り、野は今年

一番の霜が降り、霜柱が立った。 

 みずなの間から覗かせるホトケノザ、その葉にびっしりと霜が付

いている。ルーペで見ると葉の表面が凍るのではなく、細かな立方体の

氷が付いている。その氷の粒は葉に生えている微細な毛を頼りに付い

ている。

 霜は、空気中に含まれる水蒸気(気体)が冷やされ葉の表面に氷晶が

出来たものだが、葉に生えている毛を核として氷が成長したものだ。

 これからが本格的な冬到来と言うのに、その葉の陰に桃

色の小さな粒が見える。幼い蕾を既に用意しているのだ。霜はその蕾に

まで容赦なく付いている。

 地表に張り付いているのはオオマツヨイグサのロゼットで、空間より気温

は低いのだろう。氷の漬物のように見える。葉の表面がキャンディーの

様に見えるが、やはり、葉脈に生える毛を核として氷の立方体の結晶が

びっしりと並んでいる。

 キュウリグサ、ダイコンソウ、オオイヌノフグリ、タチツボスミレ・・・芽生えた

ばかりの草にも空から霜は降りて来る。

伸び上っているホトケノザに霜がびっしりと・・・

細かく生える毛に氷晶が

蕾が用意されて

それも氷の粒に覆われて

オオマツヨイグサのロゼット

葉の表面がキャンディーのように見えるが

やっぱり 毛に付いた氷の結晶

キュウリグサ

ダイコンソウ

オオイヌノフグリ

タチツボスミレ

セントウソウ

                                                          

 

 

 

 


No.1202 ~ カメムシの 何を見る、何を考える。 ~

2013年12月23日 | 昆虫

観 察 月 日  2013.12.15.晴 12℃

観 察 場 所  厚木市 七沢 (県自然環境保全センター)

 冬空を見上げると、キリの木が枝を広げ、黄褐色の花芽と茶褐色

の果実がコバルト・ブルーの中に伸び上がっている。

 3cm程の果実は割れた隙間から、羽をもった細かな種子が、灰を

撒き散らす様に風に乗って四方に飛散する。細かな種子を採り出そ

うと果実を二つに割ると、意外にもエメラルドを思わせる艶やかなカ

メムシが入っていた。さて、何カメムシなのだろう?

 子供も見るハンディーな図鑑を開くと、アオクサカメムシ、ミナミアオ

クサカメムシ、ツヤアオクサカメムシの3種が載っていて、調べなけれ

ばと言う事になる。

 私が昆虫少年だった頃の記憶と手元に残っている原色昆虫図鑑

(昭和8年初版)を見ると、この手のカメムシは「アオガメ」と只Ⅰ種の

みであった。名前の事より、アオガメが高い空間に広がるキリの果実

の殻を、越冬の場所に選んだ事に興味を持つのだが。

 「ハサミツノカメムシがいますよ」と声を掛けられた。この仲間の♂の

腹端には、生殖節がはさみ状に突き出しその状態で種が違う。「はさ

みは開いている」と言うので、それなら「ヒメハサミツノカメムシでしょう」

と答えた。「でも、はさみが小さくて見え難い」と言うので「セアカツノカ

メムシかな」で終わりにした。後で写した写真を見たらはさみは太く刷

毛状の毛が見え、フトハサミツノカメムシであった。これも、昆虫少年

の頃の原色図鑑には「ハサミガメ」Ⅰ種で総てを網羅していた。

 その事よりも、良く見ると左側の足は前足1本のみで、中足と後足が

欠けているが正常の姿勢を保っている。もしもロボットカメムシであった

ら、転げているだろう。名前よりも、生き物としての昆虫を見つめる事が、

自然観察だと私は考える。

房状につく キリの果実の一つに

緑色濃い カメムシが 似ている3種のうち (ツヤアオクサカメムシ)

「ハサミツノカメムシがいますよ」皆興味深々

フトハサミカメムシであったが それよりも・・・

この状態で 冬を越す?

生きると言う事は 厳しいことだ

 

 


Mo.1201 ~ 越冬昆虫 イシノミ他 ~

2013年12月21日 | 昆虫

観 察 月 日  2013.12.8.曇 7℃

観 察 場 所  山北町 玄倉 (県立丹沢湖ビジターセンター)

 

 ビジターセンター施設内の雑木林には、樹木名を書いたプラスチック

製の名札が付けられている。冬になると何匹かの昆虫が潜り込み越冬

に利用している。

 「今年も、昆虫が入っていますよ」と言うので、皆で観察する事にした。

 ケヤキには、ヨコズナサシガメが群れで潜っていた。樹名板はバネで

止めてあるので、引きはがしてみると、板の裏が現われる。

 コナラには、クヌギカメムシの卵塊が3本とクサギカメムシが1匹。それ

と、通称ツヅミミノムシが1匹入っていた。小さなイモムシ状の幼虫で、8

の字形をした硬いケースを作りその中にいて、普通は木の根際近くにい

るのだが、地上150cmにある樹名板にまで登り潜っていたのは意外で

あった。

 次にヤマトイシノミが跳び出した。驚くと体をバネにして跳ねるのだ。

多くは林床のコケの生えた石の上などで見掛けるが、翅は無くこの高さ

の木に登るとは、これも意外であった。

 イシノミの体形を見ると、ピンと長く伸びた太い髭、前方に足が付

いていて、そこから腹節が長く伸びる。まるでエビの体そのものを見て

いる様だが、それもその筈、イシノミは原始的な昆虫と言われ、昆虫の

祖先に近くその様子を今に残しているのだ。特に、胸には6本の足があ

るが、腹部には16本の退化した足の痕跡が生えている不思議さがある。

 最近では、恐竜は絶滅したのではなく、鳥に引き継がれ今も進化して

いると言われている。古い時代の原始昆虫も、イシノミに引き継がれ今

の時代を生き続けているのだ。

皆でワイワイ あれだこれだで 生き物の気持ちになって・・・

「ヨコヅナサシガメ の幼虫がこんなに集まって・・・」

ヨコヅナサシガメ

クヌギカメムシの卵塊が・・・

ツヅミミノムシ どのようにして入ったのだろう

ヤマトイシノミが跳び出した

エビに そっくり 翅がなくて 体は鱗片で覆われて・・・

胸に6本の足 の他に腹部に16本の退化した足が

 

 

 

 

 


No.1200 ~ 今年もタゲリがやって来た ~

2013年12月18日 | 野鳥

観 察 月 日  2013.12.3.晴 22℃

観 察 場 所  伊勢原市 大田

「今年は渡って来るのが遅かったし、数も少ない様です。11月の末に見

に行った時は渡って来たばかりの様で、疲れたのか座っていました」とは

Nさんの話であった。

 11月にもなると、毎年タゲリの渡って来るのが気になるのだ。

 田んぼの一画に立つと稲刈りをしたままで、刈られた後に出た芽が30cm

程に伸び、冬枯れ色で寒々とした冬景色だ。

 タゲリを探す一つの目安は、農家の人が田を起こし、黒々とした土が見え

る所だ。田の土を掘り起こされた後には、潜んでいた昆虫や小動物が表わ

れ、それを目当てにタゲリが飛来するからだ。今回も掘り起こされた田んぼ

に19羽の群れを見付けることが出来た。群れでいても、餌を探して採った

り、頭を起こし首を伸ばして辺りを警戒したり、足で地面をたたいたり、と

個々の行動をしている。不統一の様に見えるが、それが集団を守る事に

なるのだろう。

 「タゲリと言う名は、田をけって餌を探す行動から付いたのかな」と私

に聞いた人がいた。なるほど!!

 昨年は37羽を確認出来た。その前年は47羽、その前は50何羽と聞

いた。田んぼの環境が悪くなれば、タゲリの来る数も少なくなるのだろう。

広々とした田んぼ 幹線道路、事業所、・・・・・・に切られている

住宅の手前に タゲリの群れが

掘り起こされた場所で 餌をとるタゲリ

タゲリの群れ、間もなく解消する

逆光で見ると 体はくすんで見える

順光で見ると 羽毛が光って見える

しばらく経つと 別の場所へと飛び立つ

下から見上げると 羽が白く見える

昔からの 農家の風景

 

 


No.1199 ~ 12月のモンシロチョウ ~

2013年12月16日 | 昆虫

観 察 月 日  2013.12.3.晴 22℃

観 察 場 所  伊勢原市 大田

 今日はタゲリの観察に広々とした田んぼへやって来た。

 12月ともなれば、刈りいれた株から30cmも伸びた稲も黄色に枯れ、

寒々とした冬枯れの景色だ。

 農作業の車が入る農道を進むと、突然1匹のチョウが目の前を横切り、

私の視界から消えた。同行の一人が、「ほら、後ろの田んぼの中に止ま

りましたよ」と教えてくれた。ヒメアカタテハだが、薄い朱色の翅の模様が

枯れ草の中に溶け込む。すぐに飛び立ち再び農道に戻り、道の片隅に

咲いているセイヨウタンポポの花に止まった。

たぶんこの個体は成虫で冬を越すのだろう。そのためのエネルギーを

補給しているようだ。

 今日は風もなく陽射しは暖かく、予報以上の気温だ。タゲリの行動を

見ながら田んぼの道を歩いていると、足元から真っ白なチョウが飛び

立った。今度は、意外にも成虫では冬を越せないモンシロチョウであっ

た。私の頭の中では11月でモンシロチョウは終わっていたからだ。

 モンシロチョウの幼虫は、4令~5令の時期に厳しい冬の季節を乗り

越すため、休眠する蛹になるかどうかを決めなければならない。こよ

みの持っていない彼等は、冬がすぐそこまで来ているのを、何で知る

のだろうか。

 気温20℃の時、8~11時間の日長時間のもとでは、総て休眠蛹に

なる事が解っている。その後、歌川の土手まで来ると何匹ものモンシ

ロチョウが飛びかい春の景色の様であった。おかしいですね。

広々とした 田んぼ

1匹のタテハチョウが横切り 田んぼに止る。

ヒメアカタテハだ 

大山を望む田んぼ

足元から 真っ白なチョウが

意外にも モンシロチョウだ。

セイヨウタンポポは、花を咲かせる。

歌川の土手