観 察 月 日 2015.5.23.晴 24℃
観 察 場 所 群馬県 水上町 藤原
土地の人が呼ぶ、悪沢沿いの林道を行く。入口付近の開けた場 ( ハウチワカエデ)
所は、イタドリが領有しているが、私達の背をゆうに越す北国に多い
オオイタドリだ。子供の頃テントウムシと思ったイタドリハムシが群れ
ている。
しばらく進むと山側はヒノキの大木が続き、根元には雪が残り、冷
たい風が流れて来る。天狗のうちわを思わせるハウチワカエデの葉
が揺れ、紅く染めた細かな花が覗いた。
落葉の積もる林道を、忍者の如く足早に歩く昆虫がいた。体全体黒
緑色に光るヒメツチハンミヨウだ。少ない種類の様だが、春先は出会
う事が多い。時折立ち止まっては立ち上がる姿勢を見せ、触角、足、
頭部、や口を手入れする動作を見せる。雌でお腹が卵ではち切れそ
うだ。飛ぶ羽を持たないので産卵場所を歩いて見つけるのだろ。
「小さなハンミョウがいますよ」と、Y氏が私の顔を見た。すぐ足元の
ブナの落葉の積もる林床を、せっせと歩く、(私が初めて出会った)”マ
ガタマハンミヨウ“だ。鞘翅に”勾玉マーク”が付いている事から名前
が付いたと言う。 普通ハンミョウの仲間は山道等で出会うと、一定
の距離を保って先へ先へと飛ぶ。だから人は“道教え”と呼んだりす
る。所が、マガタマハンミヨウは飛ぶ羽を持たない為、歩くのが専門
だ。出会いは道ではなく、ブナの落葉の積もる林の中であった。
殆ど人の入らない林道、悪沢を遡る。
オオイタドリが、繁茂する。
イタドリハムシが群生している。
葉を食べるもの、茎を食べるもの、いろいろだ。
ブナの葉の上には、孵ったばかりのキリギリスの幼虫が。
雌のヒメツチハンミョウが 歩く歩く。
時々止まっては、体のお手入れを。
マガタマハンミョウも 翅を欠くので 歩け歩け。
* 豊かな森に いのちを繋ぐ。