2007年8月1日のブログ記事一覧-ミューズの日記
ミューズ音楽館からの発信情報  ミューズのHP  http://www.muse-ongakukan.com/

 



去る7月15日に和声基礎講座 第2回目 カデンツァ(コード進行)を服部修司先生に実施いただきましたが、ブログでお伝えできなくて申し訳ありませんでした。私自身が講座を聞くことが出来なかった事と、参加者にレポートをお願いできなかったために内容をお伝えできませんでした。
しかし、和声学は自分で勉強してもなかなか難しいものです。出来るだけ講座に参加していただくと理解も深まると思います。と言う事でこのブログへの投稿も服部さんにお願いして14回目となりますが、次回で最終回となります。

和声学あれこれ(14) 転調 その5 属和音系を利用した転調III型

前回は共通和音を利用して転調する方法(II型・・S共通+D+T))を見てみましたが、今回はその共通和音を省いていきなり属和音系に連結するIII型について考えてみます。これもそんなに難しい方法ではなく、先行調(原調)の任意の和音(転出和音・離脱和音ともいいます)に後続調の任意の和音(転入和音)を連結します。転入和音には圧倒的に属和音系(属和音・属七・導七・減七)が多用されています。
II型の共通和音を省略というスタイルから発展したようです。
先行調の任意の和音(転出)+後続調のD(転入)+T(後続調の主和音)というパターンです。→図1 古典派時代から使われるようになりました。今では最も基本的な転調法です。ソルやジュリアーニの作品から見つけだすのは簡単です。
さて、そのD系には先行調にはない♯の付いた音(♭からナチュラルにするのも同じで特徴音といいます)が限定進行するため転調感が出ます。♯が付く音は導音で短二度上行し、♭が付く場合もある第7音は短二度下行します。これらの動きが主和音を導きだして転調感を満足させる訳です。

では、転出と転入の和音の関係を見てみますと、転入和音はどんな和音でもいいわけではなく、あくまで自然な流れが必要でそれにはやはり近親調のD系がいいでしょう。転調後の主和音に流れ込んでいきますので転調感がはっきり出る訳です。
逆にいえば自然な感じであればどんな和音でもいいわけですが、特徴音を含んだ和音のほうがベストです。聴いて違和感や猪突な感じ・不自然な連結を避けるためには1.共通音があればその高さで保留し、2.半音関係になる音は同じ高さで半音進行します。但し、転出和音が属七で転入和音も属七の場合、転出和音の導音は同じ高さで半音下行します。→図2

次回は最終回で、或る和音の一部を変化させて後続調の和音とする変化和音を利用した方法やその他の転調方法をみてみます。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )