2006年8月3日のブログ記事一覧-ミューズの日記
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<あれも聴きたい、これも聴きたい> パガニーニ:ヴァイオリンとギター

 懐かしいレコードが出てきた。
もう40年近く以前になると思うが、大学に入ったばかりのころ、なんでもパガニーニにギターとヴァイオリンの二重奏の作品があるということを知り、そんなレコードが無いかと探していた時、ちょうど発売になったのがこのレコードだ。
 なにしろ、ギターのことしか頭にないくらい、ギターのことしか頭になかったので(なんのこっちゃ)、「ヴァイオリンと一緒に室内楽ができる」と、何だかワクワクして聴いた覚えがある。

 その頃、楽譜はなんとか荒井貿易で手に入ったが、音を聴いたことがない。
このレコードの解説にも、その当時の状況をうかがわせる文章が載っております。
「このレコードに収められた-これまで、おそらく全くと云ってよいほど聴く機会に恵まれなかった-作品は・・・」
 ねえ、分かるでしょ?
 それくらい、当時ギターを含んだ室内楽のレコードは少なかったのです。
 この他には、ボッケリーニのギター五重奏曲もまだレコードがなかったか、手に入っていなかった。とにかく、ギターを含む室内楽がどんな曲なのか、どんな響きがするのか、聴きとおて聴きとおて。それこそ「あれも聴きたい、これも聴きたい」と、♪まーいにち、まーいにちぼくらはてっぱんのー、うーえーで、待っておりました。(どっかで聞いたことあるせりふだなあ)

 演奏はギターがマルガ・ボイムルというケルン出身の女性ギタリスト。
写真もなーんも載っていないので、どんなお顔かまったく分からないのですが、旦那のワルター・クラジンツが弾くヴァイオリンと息もぴったり、とってもいい演奏であらしゃいます。特に、A面前半の、協奏風ソナタ(ソナタ・コンチェルタンテ)は、当時ギターだけの世界から離れ、一般音楽の世界の仲間入りができたような気がして、とっても新鮮だった。4月に、東京築地の浜離宮朝日ホールで、村治佳織さんがヴァイオリンの漆原啓子さんと協演。とっても白熱したいい演奏を聴かせてくれましたが、今このレコードを聴き直してみると、マルガ・ボイムルさんも、とても明るい音色とすばらしいテクニックで、颯爽に弾いとります。
 B面は、有名なヴァイオリン伴奏付の「大ソナタ」。
 これもオリジナル通り、ヴァイオリン伴奏のまま弾いていて、これまた大変な名演。

 このあと、パガニーニのヴァイオリンとギターのレコードは何種類か発売になり、今となっては何も珍しい曲ではありませんが、当時としては、ギターで室内楽の仲間入りができた気がする、大事な大事なレコードでおじゃりました。
 (それにしても、このマルガ・ボイムルさん、その他にレコードを入れたといううわさをとんと聞かないのですが、レコードはこれだけなのか、それとも他にもなにか録音されているのか、気になるところでござりまするなあ)
 折りしもある演奏会で、ヴァイオリンの方と二重奏をというお話が持ち上がり、喜び勇んでこの協奏風ソナタを演奏させてもらいました。大学の一年か二年のころでありました。ヴァイオリンの方も、「パガニーニがこんな作品を書いていたなんて、知らなかった」といって、とても喜んでくれました。まあ、その楽しかったこと、楽しかったこと! 

それから数年後、マンドリンの榊原さんと組むことになり、何年間も、みっちりデュオをやっておりましたが、そのとき、この協奏風ソナタは何回も弾かせてもらいましたので、一時マンドリンの世界では、これをやりたいと言う人が、何万人も列をつくって、大変なことであらしゃいました・・・。(そんなわきゃあないか)
ちなみに、私がヴァイオリンとデュオをやったその演奏会では、現在ミューズの講座でお馴染みの、服部修司さんとご一緒して、当時ものすごく上手かった大須賀郁男(郁夫?)さんと三人で、ギター三重奏もやりましたっけねえ。(この大須賀さんのことは、酒井康雄君がよーくご存知ですから、どれくらい上手い人だったか知りたい人は、ぜひ一度酒井君にお尋ねください)
 でも、その時のこと、服部さん覚えとるじゃろか?

内生蔵 幹(うちうぞう みき)


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