消防士 兼 旅人の日記

消防署での出来事、ダラダラした日常生活を綴ります。

不慮の事故

2008-04-06 16:32:26 | 消防・救急
前回は新年度になって初の1当番。件数は少なかったのですが、中身がものすごく濃かった1当番でした。

3件中2件がCPA事案。立て続けに救命センターへ搬送し、2件とも病院到着後には医師の死亡判断が下されました。


1つは自損行為によるCPA。もう1つは事故によるもの。

2名とも20代の方。一人は年下、もう一人も私と同い年ぐらいでした。


若い命が消えていく。特に自分とそう変わらない年代だったりすると、やっぱりやりきれませんね。



もう日付も変わろうかと言う時に救急指令。

事案が特定できてしまうとまずいので詳細は明らかにしませんが、お酒が入るような場所で起きた事故。

飲み過ぎたのかどうなのか原因は分かりませんが、吐いた物が気管に入ってしまったようで窒息しCPA状態。


最初は違う内容での出場でしたが、第2報でCPA(心肺停止)になったとの事で消防隊も支援出場。

CPR(心肺蘇生法)実施、モニター波形vf(心室細動)のため除細動実施。

車内収容して気道確保をして救命センターへ搬送しましたが、引き揚げる頃には死亡が確認されました。


我々救急隊が現場到着時、友人達が大勢付き添っていました。

混乱の現場で呆然とする人、ただただ倒れている人の名前を叫ぶ人。

何とかしてくれと我々救急隊にすがりつく人。


しかしその場でCPRをやっている人はいなかった。

ただ見ているだけだった。通報内容から察するに、CPAになってそうそう時間は経ってないはず。

誰か心肺蘇生法を知っていれば、誤嚥を防ぐために横向きにしておくことを知っていれば、違う結果があったかもしれません。


一緒にいた友人に、そしてこの方の家族に大きな心のダメージを与えた事故。

残念な事案でした。


最初は記事にするのをためらいましたが、この時期歓迎会等でお酒の席が多くなる季節。

新年度で気持ちも大きくなりがちな今だからこそ、こういった事案を紹介して、一人でも多くの方々の目に触れて理解して欲しいと思い、記事にしました。


防ぎえた事故で、命を落とすことが無いように。


お酒は楽しく、適量で。

イチ救急隊員からの、切なるお願いでした。



明日は仕事。

気持ちを切り替えて、頑張ります。