消防士 兼 旅人の日記

消防署での出来事、ダラダラした日常生活を綴ります。

緊張とため息と

2007-09-18 21:46:18 | 消防・救急

前回の当番は8件。夜中は出場して帰ってきて、ちょっと寝てはまた出場の繰り返し。

7時間ほどある仮眠時間の半分は救急車の中。帰ってきてからは出かける用事があったため、ブログを更新する体力が残っていませんでした。


前回の内容もタイトル通り、そりゃ無いでしょ!と言うのからCPA(疑い)まで。

中身の濃い1当番だったような気がしました。


前回のある事案。

119通報時点でCPA(心肺停止)が疑われるため、PA連携で消防隊との同時出場。

出場報告と同時に詳細が入ってくる。


『本件は中年女性の縊首行為(いしゅこうい、首吊りのこと)。尚、家族に現在口頭指導中』とのでした。

急病・交通事故・一般負傷などが多い救急出場ですが、中にはこういった自損行為(じそんこうい、自分で自分を傷つける)での出場もあります。


現場到着。

傷病者は既に家族によって床に降ろされている。

家族に代わって救命士の資格を持つ上司が観察。

呼吸・脈は感じられる。CPAでは無い。しかし意識状態が良くないために高濃度酸素投与を実施。

隊長は状況を聴取、私は搬送準備をして消防隊と協力して救急車内に収容。

家族に一人乗ってもらって、救命センターへ搬送。


家族による発見が早かったため、一命は取り留めていますが気持ちは晴れず。

今までも何度か自損行為の現場に出場してはいますが、その度にモヤモヤしたものだけが残ります。

今回は死に至らずに済んだ事案でしたが、現場到着時には既に死亡兆候が出ていることも多いのです。


我々救急隊も精神的に受けるダメージがありますが、残された家族の精神的なダメージはもっと大きいものがあるでしょう。

ショックで取り乱す人もいれば、放心状態になってしまう人、現実を受け入れようとする人など様々です。

そんな現場に立ち会う我々も辛いものです。


家族に対する心のケアも、とても大切なのだと痛感した事案でした。



そんな緊張感のあった出場の後は、酔っ払いの自転車自過失事故による出場。

お酒が入っているせいで、まともな会話も難しい。

念のための病院受診を勧めるが、傷病者は頑なに搬送拒否。挙句の果てには自転車に乗って帰るんだ!と言い出す始末。


お酒入ってるんだから、自転車だって乗っちゃダメだよ…。


警察官を現場に要請し、引き継いで帰ってきました。

病院に行く行かないの押し問答だけで1時間ぐらいかかっています。

こんな時さっきみたくCPA事案あったら…と思うと、ため息しか出ませんでした。


お酒飲むなとは言わないけど、人に迷惑かけないよう程々にね



明日は仕事。

平和な1当番でありますように。