足のリンパの流れが悪くなる原因
後藤 先生、よろしくお願いします。
今回のテーマは、「足のリンパを流す方法」です。
まずは、リンパについて、簡単に教えていただきますか?
はい、リンパは、体内を循環している器官のひとつで、血管とは別のルートで、体内の老廃物を回収しています。
基本的に、老廃物は血液が回収していますが、そこで回収しきれなくて血管から染み出してしまった老廃物を、リンパ管が回収しているイメージです。
リンパ管に回収した老廃物は、リンパ液が運んで、最終的には鎖骨のところで血管に合流します。
(参考:リンパセラピストに聞く鎖骨のリンパについて)
リンパは、体内の老廃物を回収する役割があるとのことですが、老廃物には、どんなものがあるんですか?
人間の身体は絶えず代謝していて、その際に、細胞からゴミの「代謝産物」が出ます。
基本的には、その代謝産物のことを、老廃物と呼びます。
リンパの流れが悪くなると、身体には色々な影響があるんですよね?
はい、リンパは疲労物質なども運んでいるので、リンパの流れが悪くなると、身体がだるくなりやすいですし、むくみなどの原因にもなります。
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足の付け根の「鼠径リンパ節」について
足のリンパを流すには、足の付け根がポイントになる場所という話を聞いたことがあります。
それは、どうしてですか?
足の付け根には、「鼠径(そけい)リンパ節」という大きなリンパ節があるためです。
リンパ節というのは、何ですか?
リンパ管は、最終的に鎖骨のところで血管に合流しますが、「リンパ節」は、そこまでの中間点として身体の各所にある器官、リンパ液をろ過する機能があります。
ですので、リンパ節の周りの筋肉が張っていたりすると、リンパ節が圧迫されてしまい、その機能がうまく働きづらくなります。
特に、足の付け根のところにある鼠径リンパ節は、骨盤の歪みや足の筋肉の緊張などで押しつぶされて、圧迫されやすい場所です。
リンパ節について
リンパを高速道路に例えると、リンパ管が「(高速道路の)本線」で、リンパ節が「(出口の)料金所」です。高速道路は、出口の料金所が混雑すると本線も渋滞するように、リンパも、リンパ節が詰まるとリンパの流れ自体が悪くなってしまいます。
足の付け根のリンパを流す効果
鼠径リンパ節の流れが悪くなると、身体にはどんな影響が出やすいですか?
鼠径リンパ節が滞ると、足の先っぽから上に向かって流れるリンパ液が、足の付け根のところでせき止められてしまいます。
そうすると、足全体の疲労が取れにくくなりますし、足がむくみやすくなります。
それに、こむら返り(ふくらはぎなど足の筋肉の痙攣・けいれん)で足がつりやすくなったりもします。
後は、足の血流も全体的に悪くなりますので、冷えやセルライト(脂肪と老廃物が固まったもの)などの原因にもなります。
では、足のリンパを流すことで、どんな効果が期待できるでしょうか?
足の疲労が取れやすくなりますし、むくみの解消にもつながります。
それに、冷えの改善も見込めます。
それから、老廃物が流れることで血流が良くなって、代謝も上がりますので、燃えやすい体質になって脂肪も分解されやすくなり、下半身太りにもいいですよ。
足のリンパを流す効果
・足の疲労が取れやすくなる
・足のむくみの解消になる
・足の冷えが改善する
・下半身太りの解消につながる
など
生活習慣で原因になること
足のリンパの流れが悪くなるのは、どんなことが原因になるんですか?
血液には、心臓という大きなポンプがありますが、リンパには、それに当たるものはありません。
足のリンパは、足のふくらはぎの筋肉がポンプの代わりになって、リンパ液を流しています。
ですので、足の筋肉が硬くなっていたり筋力が弱かったりすると、リンパの流れが悪くなりやすいです。
鼠径リンパ節が滞る原因としては、運動不足も大きいですし、骨盤の歪みも関係してきます。
それに、現代社会では、股関節を動かす機会が少ないことも、影響していると思います。
股関節を動かさないと、足の筋肉も動かないので、リンパの流れが悪くなってしまいますよね…。
はい、それから、足を組む癖のある方もいらっしゃいますが、足を組むと、鼠径リンパ節を圧迫してしまいますし、骨盤の歪みを引き起こす原因にもなります。
後は、お腹が冷えていたりすると、鼠径リンパ節の周辺も冷えてしまいますので、リンパの流れも悪くなります。
他にも、太ももの前面の筋肉は鼠径部にもつながっているので、そこが緊張していると、鼠径リンパ節も圧迫されやすいです。
足の付け根のリンパを流す方法
1. しゃがんで股関節を動かす
足の付け根のリンパを流す…つまり、足のリンパの流れを良くする、ということですね…それには、どうしたらいいですか?
まずは、足をよく動かすことです。
足を動かして筋肉を動かすことで、リンパを流していくということですね。
はい、それには、日常生活の中で、よくしゃがむことを心がけるといいですよ。
え、それだけでいいんですか(笑)?
はい(笑)。
特に、デスクワークのお仕事をされている方は、長時間、股関節を折った状態で動かさずにいることが多いと思います。
そうすると、鼠径リンパ節のところで、リンパが詰まりやすくなってしまいます。
ですので、同じ姿勢が続いたときは、時々しゃがんだりして股関節を動かしてあげるといいですよ。
たしかに、私もデスクワークをしているときは、股関節をほとんど動かしません。
でも、足の付け根のリンパを流すのに、しゃがむだけでいいのでしたら、すごく簡単です(笑)。
2. 足の付け根を優しく叩いてマッサージ
しゃがむことに慣れていないと、いざしゃがもうとしても、やりづらい方もいらっしゃると思います。
そういう方は、足の付け根をさすったりトントンと優しく叩いて刺激してあげたりしてマッサージするのもいいです。
足の付け根のマッサージも、トントンと叩くだけでいいんですか(笑)。
それは、どのくらいの力でやるといいですか?
マッサージは、「痛気持ちいい」くらいで行います。
強くマッサージをすれば、リンパがよく流れるというわけではありませんので、筋肉をほぐすようなイメージで行っていただくといいですよ。
顔のリンパマッサージは、さするくらいの力で行うと聞いたことがあります。
(参考:リンパ専門家に聞く顔のリンパマッサージのやり方)
足の付け根のリンパマッサージは、「痛気持ちいい」くらいの力で行うとのことでしたが、それは、鼠径リンパ節は少し深い場所にあるからなんですか?
というよりも、足はお顔と違って、筋肉が厚いです。
足も、さするくらいのマッサージでリンパの流れを良くすることはできますが、それでは、筋肉はほぐれづらいです。
ですので、足の付け根をマッサージするときは、ある程度は力を入れても大丈夫ですよ。
たしかに、筋肉が硬くなっていると、リンパの流れも悪くなってしまうというお話しもありました。
足の付け根のマッサージでは、鼠径リンパ節を流すこともそうですが、その周りの筋肉もほぐしてあげたいんですね。
はい、そうです。
足の付け根のマッサージは、どのくらいの時間やるといいですか?
夜寝る前に集中して行うのであれば、片足に5~10分くらいずつ時間をかけてあげるのが理想です。
ただ、マッサージは毎日継続的に行うことがいちばん大事ですので、ご自分で継続できる時間…例えば1~2分であっても継続的に行っていただきたいです。
最初から設定を高くして、途中で面倒くさくなってやめてしまうのは、もったいないですから。
マッサージを行うのに、おすすめのタイミングはありますか?
いちばんは、お風呂の後です。
お風呂上りは、体温が高くなっていますし、血液の流れも良くなっていますので。
3. 足先から足の付け根まで流すマッサージ
足の付け根のリンパを流す方法を教えていただきましたが、足全体のリンパの流れを良くするマッサージはありますか?
足全体をマッサージするときは、手の平全体を足に密着させて、取りこぼしがないように下から上に流して、鼠径リンパ節のほうに流してあげます。
足のマッサージは摩擦が起きないように、クリームなどを使うか、お風呂でボディソープを使って行うのがおすすめです。
それから、リンパは、最終的に鎖骨のところで血管に合流します。
そこの出口が硬くなっていると、リンパが血管にうまく合流できなくなります。
ですので、下半身のマッサージは、鎖骨のラインをほぐしてから行うといいですよ。
(参考:リンパセラピストに聞く鎖骨のリンパを流す方法)
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まとめ
足のリンパを流すには、足の付け根がポイントになります。
それは、足の付け根には「鼠径リンパ節」があり、足のリンパはそこを通って上半身へと戻っていくためです。
足の付け根のリンパを流すには、しゃがむだけでも効果が期待できますし、優しくトントンと叩くだけでもマッサージになります。
どちらも、いつでもどこでも行える方法だと思います。
皆さまも、足の付け根のリンパを流すのに、普段から意識してしゃがむようにしてはいかがでしょうか?
* 2017年11月15日に公開した『足のリンパを流す簡単な方法3つ!しゃがむだけで足痩せに?』を再編集しました。
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