これは、シェパード・ペイン氏の「A wolf in sheep's clothing」です。先週、静岡ホビーショーに行った際、会場近くのタミヤ本社にこの作品があると聞き、見に行ってきたのです。
コメントをつけるのも恐れ多いので、とにかく写真を貼ります。ショーケース内だったので、反射などの写りこみもありますが、ご了承下さい。
以上です。いかがだったでしょうか。私にとって、模型製作の原点といえる作品は2つありまして、これはそのひとつなんです。もちろん、現物を見るのは初めてでした。勝手な思い込みなんですが、これは海外にあって見ることはできないだろうな、とあきらめてたんですね。
静岡ホビーショーに行って、その夜の宴席で私が何かの話の流れで「ペイン氏の88のジオラマは自分にとっての原点なんですよー。いつか見てみたいなあ」というようなことを話すと、同席させていただいた山田卓司氏が「あ、それタミヤ本社にあるよ」「あ、そうなんですか、、、、、、。え?ええーっ!!マジっすか!!!」
というわけで翌日タミヤ本社に駆け込んだのでした。静岡ホビーショーにはこれまで何度も行ってるのですが、タミヤには行ったことがなかったんですね。行きたいなあ、とは思ってたんですが「やっぱり会場にできるだけいたいし、まあそのうち行くか」くらいの感じだったんですね(なんて傲岸不遜なんだ、、)。
で、タミヤ本社は、噂どおりのスゲーところでした。「今まで行かなかった俺のバカバカバカ!」という感じでありました。
展示物のいろいろがいちいち凄くて、じっくり見たいのですが、ここはグッとこらえてペイン氏の作品を探します。歴史館にそれはありました。写真撮影はOKとのことなので、わき目も振らずに撮ったのが上の写真というわけです。
で、さっき「原点といえる作品は2つ」と書きました。ひとつはペイン氏の88のジオラマで、もうひとつがこれ。金子辰也氏の「DRAWBRIDGE」(跳ね橋)です。
2015年の静岡ホビーショーの会期と重なって金子氏の作品展が静岡ホビースクエアで開かれており、その際にこの作品を見ることができ、感無量でした。
で、なぜこの2作品が原点かというと、どちらも子供のころに見て衝撃を受け、かつ今の自分の模型作品にかなりの影響を受けているからなんですね。
それらを見たのがこの2冊です。跳ね橋は「プラモデル入門大百科」(ケイブン社)で、88は「モデルグラフィックス1985年1月号」で見ました。順番で言うと、跳ね橋が先で、88がその数年後です。
もう一冊の「情景ガイドブック」(タミヤ)も、私の中で大切な1冊です(後述します)。
私は近所にあった本屋に物心付いたころから足しげく通っていました。通い出したのは、一人でうろうろできるようになってきた小学校2年生くらいです。「プラモデル入門大百科」と出合ったのはまさにその最初期の頃でした。プラモ自体は幼稚園から作ってたので、書店でこの本を見かけて手に取るのは必然的行為であったわけです。本をぱらぱらめくって、このページを見たときの「うわっ!」という感覚は今でも覚えています。
戦車や飛行機のプラモデルを、地面に載せたジオラマなるものがあるということは知っていましたが、その表現の可能性はもの凄いものがある、ということを感じたような、、。といまから解説するともっともらしいんですけど、当時はただ「スゲー!」と思っただけなんですけどね(笑)
こちらはモデルグラフィックスの88のジオラマのページ。この見開き、ほんと凄いですね。88や兵士よりも、とにかくステンドグラスのインパクトが凄かった。
どちらの作品も技術的にも素晴らしいのはもちろんなのですが、のちのち考えを整理してみると、どうもそれだけじゃないんですね。もっというと、衝撃を受けたポイントは「上手い」とか「凄い」とかいうのとはちょっと違うところにあったんじゃないかな、と。
要するに、この2作品は「戦争とはどういうものなのか」をきっちりと「表現」している訳です。美しいステンドグラスのある教会や、水路をまたぐ古い跳ね橋は「平和」の象徴なんですね。でも、そこに兵士や兵器が入り込んで「戦争」をしている。でも、兵士たちは自ら望んで積極的に「戦争」をしているようにはとても見えない。でも、彼らは彼らなりに与えられた義務を、自分たちなりにキッチリと全うしようとしているようにも見える。その「矛盾」が凝縮されている、なんともいえないもどかしい空気感がそこにあるように感じられるわけです。
パウル・カレルの名著「彼らは来た」に、ドイツ軍のある伍長が登場します。アメリカ軍がノルマンディーに上陸して、MG42の射手である彼の前に押し寄せてきます。彼は農家の出身で、養蜂が好きで、戦争なんてやりたいとも思ってもない人間です。でも、彼の手にはMG42(第二次大戦で使われた中では最優秀クラスの機関銃です)がある。彼は、後退命令があるまでとにかくMG42を撃ち続けます。恐らく、戦史に残る中では、MG42で最も多くの敵兵を打ち倒した兵士の一人なんじゃないかな、と。で、パウル・カレルの表現は秀逸で、かつ戦慄します。「運命は、彼に戦争を押し付けた」と、、、。
ミリタリーモデリングというのは矛盾の塊みたいなものだなあと思ってます。兵器や兵士はとてもカッコいいんだけど、それを手放しで礼賛することはできない。でもカッコいいんだよなあ、、。という葛藤を、自分の中で無限にループするという因果な趣味です(笑)。しかも、資料や本を読めば読むほどそのループは深く、かつ複雑になっていきます。
でも、やっぱり、ミリタリーモデリングというのはやめられないんですね。例えば、その伍長が抱えた、押し付けられたような「何か」を表現してみたい、という気が年を追うごとにじわじわ大きくなってきています。
で、この2作品というのは最初からそういう「何か」がつまってるんですね。だから「原点」なんですね。だから、凄いなあ、と。
この2作品に出会ってからも、いろんな模型雑誌でいろんなジオラマを見ました。いいものもあれば、もうひとつのもありましたが、それがわかるのも自分の中で「原点」が定まってたからで、この2作がなければわかるものもわからないものもわからない、という感じになってたんだろうな、と今になってよくわかります。中学生の頃に買ったタミヤの「情景ガイドブック」は、ジオラマの作成法を紹介している素晴らしい本で、お手本として「88」や「跳ね橋」はじめ、多くの先達のジオラマも紹介されいて、この本で「原点」がキッチリ定まったように思ってます。なので、この本もとても大切な一冊です。
このページの「PARTY'S OVER」「THE DUGOUT」にも衝撃を受けました。これも凄い作品だと思ってます。で、88のジオラマが「タミヤにあるよ」と教えて下さったのがこの作品の作者の山田卓司氏でして、小学生の頃にこの本を見ていて「これスゲーなあ」と思ってた作品の作者に、それを教えてもらうことになるとは夢にも思ってなかった、という。そのこと自体がスゲーんじゃないか、と(笑)。人生、何がどうなるかわかったもんじゃないですね。ほんと。
シェパード・ペイン氏の作品については、こういう決定版といえる本が出ています。「SHEPARD PAINE THE LIFE AND WORK OF A MASTER MODELER AND MILITARY HISTORIAN」です。ハードカバーで約270ページの大著です。
まあ、もう圧巻です。とにかく買って下さい、としか言いようがないです(笑)
とはいえ、88のジオラマについてはほんのちょっと触れられている程度です。
残念ではありますが、それを補って余りあるくらいペイン氏の作品を堪能できる本です。ほんと買ってよかったです。
で、そういう風に先達の作品を見て影響を受けて、私自身も私なりに模型を作っています。「88」と「跳ね橋」のどこが凄いのか、というのは先ほど書きました。そういうエッセンスを確実にいただいてるんだなあ、と確認できたのがこれです。「SWEET HOME」という、日本本土決戦をテーマにした作品です。アーマーモデリング誌2015年4月号に掲載していただいたものです。
完成して結構たってから「あ、これ、ペイン氏の88のジオラマだ」と気付きました。平和の象徴である「家」が「戦争」で破壊され、さらに「戦争」のために利用されている、というシチュエーション自体が「それ」なんですよね。もっというと、砲が外を向いていて、空間全体の意識を外に向けさせようとしているのも同じです。
さらにもっと細かいところをいえば、梁が折れた感じとか、ガラスの割れた雰囲気とか、そういう印象も完全に影響を受けています。
家具とか食器など「平和」を感じさせる小道具を配置しているのも、そうですね。形は違えど、ベクトルとしてはもちろん「跳ね橋」にも通じています。
これは言い訳とかじゃなくて、全て完成後に「あっ!」と気が付いたことです。製作中はまったく考えもしなかったんですね。こういうものを作る方にはわかっていただけるかと思いますが、製作中はとにかく自作を作ることしか考えませんから、影響を受けた先達の作品についてはとても思い至らないんですよね。そもそも、ちょっとでも「オマージュ」とかそういう意識があれば、雑誌に載るのなら記事の中で、絶対そう書きますしね(リスペクトしているなら書かないこと自体、自己否定になってしまうので、、)。
で、この作品の誌面掲載にあたって、写真データや原稿のやりとりを担当してくださったのが金子氏でした。私は努めてフツーに金子氏に応対させていただいてたのですが、実はずっと頭がクラクラしていました(笑)7歳くらいのときに見て衝撃を受けたジオラマの作者が、私の作ったジオラマの作品のことであれこれ連絡をしてきてくれてるのって、どう考えても正気ではいられないです(笑) 山田氏との件も含めて、人生って何がどうなるかわかったもんじゃないなあ、と、ほんとに思います。
戦車や飛行機、それにまつわる歴史、そしてプラモデルというものを知って、「何か面白いものがあるな。もっともっと知りたいな。もっとちゃんと作りたいな」と思い出した7歳のころの私にとって、こういった風になったとは思いもよらないことです。なんというか、ずっとやってて本当によかったな、と思ってます。
で、金子氏や山田氏とお知り合いになれたのは中四国AFVの会のお手伝いをさせていただくようになったからなんですね。これもほんとに縁の持つ力かな、と。今発売中の月刊アーマーモデリング6月号で、先月開催された中四国AFVの会のレポートが掲載されています。とても丁寧かつ親切に紹介していただいておりますので、ぜひご覧下さい。
コンテストの各受賞作はもちろんのこと、受付など裏方さんについても漏れなく紹介してくださっております。ほんと、ありがたいことです。
というわけでお終いです。ペイン氏の作品は、ほんと写真では伝わらないくらい凄いので、機会があればぜひ現物を見ていただければと思います。私も来年以降静岡に行くことがあればまた見に行きたいと思ってます。
でもいやほんと「もっともっと頑張らなきゃなあ!」と思いました。7歳の頃の私をびっくりさせるような作品をいつか作りたいなあ、と、、、。
それでは。
金子氏の作品展の訪問記はこちらです。跳ね橋以外の作品も紹介しているのでぜひ。
https://blog.goo.ne.jp/morio1945/e/34bd557401b49a68a8176dee0d914236
コメントをつけるのも恐れ多いので、とにかく写真を貼ります。ショーケース内だったので、反射などの写りこみもありますが、ご了承下さい。
以上です。いかがだったでしょうか。私にとって、模型製作の原点といえる作品は2つありまして、これはそのひとつなんです。もちろん、現物を見るのは初めてでした。勝手な思い込みなんですが、これは海外にあって見ることはできないだろうな、とあきらめてたんですね。
静岡ホビーショーに行って、その夜の宴席で私が何かの話の流れで「ペイン氏の88のジオラマは自分にとっての原点なんですよー。いつか見てみたいなあ」というようなことを話すと、同席させていただいた山田卓司氏が「あ、それタミヤ本社にあるよ」「あ、そうなんですか、、、、、、。え?ええーっ!!マジっすか!!!」
というわけで翌日タミヤ本社に駆け込んだのでした。静岡ホビーショーにはこれまで何度も行ってるのですが、タミヤには行ったことがなかったんですね。行きたいなあ、とは思ってたんですが「やっぱり会場にできるだけいたいし、まあそのうち行くか」くらいの感じだったんですね(なんて傲岸不遜なんだ、、)。
で、タミヤ本社は、噂どおりのスゲーところでした。「今まで行かなかった俺のバカバカバカ!」という感じでありました。
展示物のいろいろがいちいち凄くて、じっくり見たいのですが、ここはグッとこらえてペイン氏の作品を探します。歴史館にそれはありました。写真撮影はOKとのことなので、わき目も振らずに撮ったのが上の写真というわけです。
で、さっき「原点といえる作品は2つ」と書きました。ひとつはペイン氏の88のジオラマで、もうひとつがこれ。金子辰也氏の「DRAWBRIDGE」(跳ね橋)です。
2015年の静岡ホビーショーの会期と重なって金子氏の作品展が静岡ホビースクエアで開かれており、その際にこの作品を見ることができ、感無量でした。
で、なぜこの2作品が原点かというと、どちらも子供のころに見て衝撃を受け、かつ今の自分の模型作品にかなりの影響を受けているからなんですね。
それらを見たのがこの2冊です。跳ね橋は「プラモデル入門大百科」(ケイブン社)で、88は「モデルグラフィックス1985年1月号」で見ました。順番で言うと、跳ね橋が先で、88がその数年後です。
もう一冊の「情景ガイドブック」(タミヤ)も、私の中で大切な1冊です(後述します)。
私は近所にあった本屋に物心付いたころから足しげく通っていました。通い出したのは、一人でうろうろできるようになってきた小学校2年生くらいです。「プラモデル入門大百科」と出合ったのはまさにその最初期の頃でした。プラモ自体は幼稚園から作ってたので、書店でこの本を見かけて手に取るのは必然的行為であったわけです。本をぱらぱらめくって、このページを見たときの「うわっ!」という感覚は今でも覚えています。
戦車や飛行機のプラモデルを、地面に載せたジオラマなるものがあるということは知っていましたが、その表現の可能性はもの凄いものがある、ということを感じたような、、。といまから解説するともっともらしいんですけど、当時はただ「スゲー!」と思っただけなんですけどね(笑)
こちらはモデルグラフィックスの88のジオラマのページ。この見開き、ほんと凄いですね。88や兵士よりも、とにかくステンドグラスのインパクトが凄かった。
どちらの作品も技術的にも素晴らしいのはもちろんなのですが、のちのち考えを整理してみると、どうもそれだけじゃないんですね。もっというと、衝撃を受けたポイントは「上手い」とか「凄い」とかいうのとはちょっと違うところにあったんじゃないかな、と。
要するに、この2作品は「戦争とはどういうものなのか」をきっちりと「表現」している訳です。美しいステンドグラスのある教会や、水路をまたぐ古い跳ね橋は「平和」の象徴なんですね。でも、そこに兵士や兵器が入り込んで「戦争」をしている。でも、兵士たちは自ら望んで積極的に「戦争」をしているようにはとても見えない。でも、彼らは彼らなりに与えられた義務を、自分たちなりにキッチリと全うしようとしているようにも見える。その「矛盾」が凝縮されている、なんともいえないもどかしい空気感がそこにあるように感じられるわけです。
パウル・カレルの名著「彼らは来た」に、ドイツ軍のある伍長が登場します。アメリカ軍がノルマンディーに上陸して、MG42の射手である彼の前に押し寄せてきます。彼は農家の出身で、養蜂が好きで、戦争なんてやりたいとも思ってもない人間です。でも、彼の手にはMG42(第二次大戦で使われた中では最優秀クラスの機関銃です)がある。彼は、後退命令があるまでとにかくMG42を撃ち続けます。恐らく、戦史に残る中では、MG42で最も多くの敵兵を打ち倒した兵士の一人なんじゃないかな、と。で、パウル・カレルの表現は秀逸で、かつ戦慄します。「運命は、彼に戦争を押し付けた」と、、、。
ミリタリーモデリングというのは矛盾の塊みたいなものだなあと思ってます。兵器や兵士はとてもカッコいいんだけど、それを手放しで礼賛することはできない。でもカッコいいんだよなあ、、。という葛藤を、自分の中で無限にループするという因果な趣味です(笑)。しかも、資料や本を読めば読むほどそのループは深く、かつ複雑になっていきます。
でも、やっぱり、ミリタリーモデリングというのはやめられないんですね。例えば、その伍長が抱えた、押し付けられたような「何か」を表現してみたい、という気が年を追うごとにじわじわ大きくなってきています。
で、この2作品というのは最初からそういう「何か」がつまってるんですね。だから「原点」なんですね。だから、凄いなあ、と。
この2作品に出会ってからも、いろんな模型雑誌でいろんなジオラマを見ました。いいものもあれば、もうひとつのもありましたが、それがわかるのも自分の中で「原点」が定まってたからで、この2作がなければわかるものもわからないものもわからない、という感じになってたんだろうな、と今になってよくわかります。中学生の頃に買ったタミヤの「情景ガイドブック」は、ジオラマの作成法を紹介している素晴らしい本で、お手本として「88」や「跳ね橋」はじめ、多くの先達のジオラマも紹介されいて、この本で「原点」がキッチリ定まったように思ってます。なので、この本もとても大切な一冊です。
このページの「PARTY'S OVER」「THE DUGOUT」にも衝撃を受けました。これも凄い作品だと思ってます。で、88のジオラマが「タミヤにあるよ」と教えて下さったのがこの作品の作者の山田卓司氏でして、小学生の頃にこの本を見ていて「これスゲーなあ」と思ってた作品の作者に、それを教えてもらうことになるとは夢にも思ってなかった、という。そのこと自体がスゲーんじゃないか、と(笑)。人生、何がどうなるかわかったもんじゃないですね。ほんと。
シェパード・ペイン氏の作品については、こういう決定版といえる本が出ています。「SHEPARD PAINE THE LIFE AND WORK OF A MASTER MODELER AND MILITARY HISTORIAN」です。ハードカバーで約270ページの大著です。
まあ、もう圧巻です。とにかく買って下さい、としか言いようがないです(笑)
とはいえ、88のジオラマについてはほんのちょっと触れられている程度です。
残念ではありますが、それを補って余りあるくらいペイン氏の作品を堪能できる本です。ほんと買ってよかったです。
で、そういう風に先達の作品を見て影響を受けて、私自身も私なりに模型を作っています。「88」と「跳ね橋」のどこが凄いのか、というのは先ほど書きました。そういうエッセンスを確実にいただいてるんだなあ、と確認できたのがこれです。「SWEET HOME」という、日本本土決戦をテーマにした作品です。アーマーモデリング誌2015年4月号に掲載していただいたものです。
完成して結構たってから「あ、これ、ペイン氏の88のジオラマだ」と気付きました。平和の象徴である「家」が「戦争」で破壊され、さらに「戦争」のために利用されている、というシチュエーション自体が「それ」なんですよね。もっというと、砲が外を向いていて、空間全体の意識を外に向けさせようとしているのも同じです。
さらにもっと細かいところをいえば、梁が折れた感じとか、ガラスの割れた雰囲気とか、そういう印象も完全に影響を受けています。
家具とか食器など「平和」を感じさせる小道具を配置しているのも、そうですね。形は違えど、ベクトルとしてはもちろん「跳ね橋」にも通じています。
これは言い訳とかじゃなくて、全て完成後に「あっ!」と気が付いたことです。製作中はまったく考えもしなかったんですね。こういうものを作る方にはわかっていただけるかと思いますが、製作中はとにかく自作を作ることしか考えませんから、影響を受けた先達の作品についてはとても思い至らないんですよね。そもそも、ちょっとでも「オマージュ」とかそういう意識があれば、雑誌に載るのなら記事の中で、絶対そう書きますしね(リスペクトしているなら書かないこと自体、自己否定になってしまうので、、)。
で、この作品の誌面掲載にあたって、写真データや原稿のやりとりを担当してくださったのが金子氏でした。私は努めてフツーに金子氏に応対させていただいてたのですが、実はずっと頭がクラクラしていました(笑)7歳くらいのときに見て衝撃を受けたジオラマの作者が、私の作ったジオラマの作品のことであれこれ連絡をしてきてくれてるのって、どう考えても正気ではいられないです(笑) 山田氏との件も含めて、人生って何がどうなるかわかったもんじゃないなあ、と、ほんとに思います。
戦車や飛行機、それにまつわる歴史、そしてプラモデルというものを知って、「何か面白いものがあるな。もっともっと知りたいな。もっとちゃんと作りたいな」と思い出した7歳のころの私にとって、こういった風になったとは思いもよらないことです。なんというか、ずっとやってて本当によかったな、と思ってます。
で、金子氏や山田氏とお知り合いになれたのは中四国AFVの会のお手伝いをさせていただくようになったからなんですね。これもほんとに縁の持つ力かな、と。今発売中の月刊アーマーモデリング6月号で、先月開催された中四国AFVの会のレポートが掲載されています。とても丁寧かつ親切に紹介していただいておりますので、ぜひご覧下さい。
コンテストの各受賞作はもちろんのこと、受付など裏方さんについても漏れなく紹介してくださっております。ほんと、ありがたいことです。
というわけでお終いです。ペイン氏の作品は、ほんと写真では伝わらないくらい凄いので、機会があればぜひ現物を見ていただければと思います。私も来年以降静岡に行くことがあればまた見に行きたいと思ってます。
でもいやほんと「もっともっと頑張らなきゃなあ!」と思いました。7歳の頃の私をびっくりさせるような作品をいつか作りたいなあ、と、、、。
それでは。
金子氏の作品展の訪問記はこちらです。跳ね橋以外の作品も紹介しているのでぜひ。
https://blog.goo.ne.jp/morio1945/e/34bd557401b49a68a8176dee0d914236