小さい頃、母が行李を出して衣替えをする日が
大好きでした。
去年着た服も新鮮で、樟脳のにおいは苦手だった
けれど、母と服を入れ替える時間が何だか
幼い私にとっての晴れの日だったのです。
それが、息子が亡くなってからの私にとり
衣替えは苦しい時間となったのです。
我が家には、パンドラの箱のような衣装箱があり、
今年こそはと決心して開けたのですが…
手に取ったのが、息子が着ていた中学の校章が
縫い付けてあるワイシャツ
意を決して捨てようと思ったけれど、涙が
溢れ、またパンドラの衣装箱に逆戻り
こんなことを何年繰り返しているのでしょう…
気持ちが落ち着き、服の入れ替えをしていたら
今度は、突如 初女先生に会いたくなって
「初女先生、会いたいよ~」と、子どものように
声をあげて泣いてしまいました。
私にとって衣替えは、何なのでしょう…
初女先生が、いないことが今頃になって
ボディーブローのようにきいて来ています。
先生に会いたい…
いつかお墓参りに行こう、先生のお墓から岩木山を
見ながら、初女先生を感じたいな~
パンドラの箱の衣装箱は、また眠ったまま
時を過ごすことになりました。