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04B型肝炎ウイスル薬開始のタイミング

2008年01月06日 | B型肝炎ウイルスの治療

B型肝炎ウイルス用の抗ウイルス薬としては、ゼフィックスがはじめて保険適応になった薬でした。それまでは、エイズで使われていたエピビルという薬を自費診療で使ったりしていたのですが、保険診療で使えるようになり、たくさんの人が救われるようになりました。しかし、初めは、慢性肝炎の人にしか使えず、進行すると命に関わる肝硬変や肝癌の患者さんには使えないというしばりがありました。今考えると全く患者にとって、役に立たないしばりだったわけですが、それが無くなってから、本当に命に関わるような肝炎の増悪などにも使えるようになり、よりたくさんの人たちが救われています。肝癌になってからも肝炎が沈静化することで、肝癌の治療がより十分に行えるようになったり、非常に貴重な薬です。
 しかし、耐性ウイルスが出現する問題があり、3~5年で効果が無くなってしまう患者さんがいて、その人たちにとっては薬の効果が無くなるに等しい場合がありました。その問題を解決してくれたのがヘプセラという薬です。効果が出てくる速度が遅めではありますが、耐性ウイルスが出現しづらい特徴もあり、この2種類の抗ウイルス薬がしばらく使われていました。
 最近出た、バラクルードという薬は、耐性ウイスルが出現しづらいため、B型肝炎ウイルス薬を最初に投与するときにはこの薬を選択するようになっています。

ゼフィックスを飲んでいる患者さんでも耐性ウイルスが出現していないうちは、切り替えた方が耐性ウイルスがでづらくなるということで、3年以内であれば切り替えを検討して良いという方針がでています。しかし、この検討と言うのがやっかいで耐性ウイルスがいるかどうかを採血でチェックできないため、耐性ウイルスがでている人に使うとさらにバラクルードに耐性のウイルスがでやすくなるため切り替えることのメリットがなくなるという問題があるのです。なんだか、だんだん難しい話になってきますが、この採血での耐性ウイルスのチェックができないうちに切り替えるのは若干心配があり、1年以内であればまず大丈夫というラインが、私は使いやすい気がしています。

ゼフィックスとヘプセラを両方使っているかたは、バラクルードに切り替えずにそのまま継続することを勧めています。

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