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肝臓友の会との関わりで成長した肝臓専門医のブログです。2017.2.12より新規開始しました。

テラビック(テラプレビル)2回投与でもいいみたいなど AASLD 第63回米国肝臓学会議から

2012年12月08日 | 学会研究会報告新聞記事など
発表演題名と一部抜粋 MSDのホームページからと解説(患者さん向けに川西が追記)としてみました。

OPTIMIZE試験:IFN未治療ジェノタイプ1型C型慢性肝炎患者におけるテラプレビル1日2回投与の8時間ごと投与に対する非劣性の検証
Hospital Valle Hebron and Ciberehd del Institut Carlos III, Barcelona(スペイン)
Maria Buti 氏

インターフェロン(IFN)未治療C型肝炎患者に対して,テラプレビル(TVR)を含むペグインターフェロン(PEG-IFN)α/リバビリンによる3剤併用療法が,PEG-IFNα/リバビリン併用療法に比較して,有効性および安全性ともに優れることを示したADVANCE試験では,TVRは8時間ごとに投与されている。その後,MarcellinらはTVR 750mgの8時間ごと投与と1,125mgの12時間ごと投与の有効性と安全性についていずれも同様であったことを報告した。

解説
 これは、テラプレビルの2回投与(12時間おきこれが標準投与法)と3回投与(8時間おき)では、効果に差がないことが報告されていました。
テラプレビルは普通3回投与なんですが、これが意外と患者さんにとってはのみにくい、寝る前と起きてからすぐってやってものみず来否とがいると思いますが、12時間おきなら飲みやすいってことで検討されていたようです。
これで、2回投与でもいいんじゃ無いかなあって思ってた先生方がより安心して処方できるかなあって思えました。

解説
札幌厚生病院肝臓科 狩野 吉康 医師から テラビックの高容量投与(2250mgの標準投与量のこと)が腎障害を介して貧血起こす事が報告されていました。もうちょっと減らした方がいいかもっていう、日本の臨床から発信で納得できる内容でした。

抜粋
ペグインターフェロン/リバビリン併用療法はC型肝炎ウイルスに起因する肝発がんの再発を抑制する
E-Da Hospital, Kaohsiung(台湾)Yao-Chun Hsu 氏から
後ろ向きコホート研究で,肝切除後のペグインターフェロン(PEG-IFN)/リバビリン併用療法がHCV関連の肝細胞がん再発や死亡リスクの減少に寄与することを示し,肝細胞がんに進行した後であってもC型慢性肝炎は治療した方がよく,治療が"遅過ぎる"ことはないと報告した。

解説
後ろ向き研究(前向きの方がデータの信頼性が高い)ではありますが、肝がんの治療後でも治療をした方がいいって内容でした、遅すぎることはないと。心強い内容でした。

抜粋
ALT正常のC型肝炎患者に対するPEG-IFN/リバビリン併用療法による肝細胞がんの抑制効果
大阪大学消化器内科原田 直毅 氏

原田氏らは,ALT正常のC型慢性肝炎患者において,肝細胞がんの累積発生率がウイルス学的著効(SVR)および再燃患者で有意に抑制されることを示すとともに,高齢者および男性は肝細胞がん発生の独立した予測因子であるため,高齢者や男性の患者はALTが正常であってもより早期に治療すべきとした。

解説
ALT正常値の場合は、治療をしなくても大丈夫といわれていた時期がありましたが、高齢者や男性ではそれでもした方が肝がんは抑制されることを示した報告でした。

患者さんにとって有用な発表がたくさんされていていいですねえ。