肝臓病と共に生きる人たちを応援します

肝臓友の会との関わりで成長した肝臓専門医のブログです。2017.2.12より新規開始しました。

北海道肝臓病談話会から

2012年12月05日 | 学会研究会報告新聞記事など
いつも大変お世話になっております。
勉強会でのメモです。いつものように誤字脱字内容間違いあり得ますので、お許し下さい。内容は医師向けです。

B型肝炎治療の最前線
旭川赤十字病院 消化器内科 長谷部千登美医師

平成22年11月から消化器科部長。9月の岡山で話した内容と大体同じ。

北海道はB型が全国平均より多い(日赤データより)
肝細胞癌死亡の推移はB型は変わっていない、C型は減ってきている。

s抗原の陰性化が治癒とはならないこともわかってきた。

赤色紋理 肝細胞壊死部分を表している赤い・・に見えているbridging necrosis
つぎに 斑紋 再生細胞の集合、再生結節の芽

初診時のAFPが50以上できって発がんはしやすい

セロコンのあとに進展する因子 肝障害とDNAレベル
正確な評価には B型肝炎は腹腔鏡がベストだが、肝生検ですませている場合が増えてきている

肝がんの人で血小板20万前後やALTは低い人が多いのがC型と違うところ
キャリアと言われていても肝硬変だったり肝がんだったりがあり得る。

びっくりした症例 初診で肝がんとか
キャリアと思っていたら肝がんがあった
高齢でウイルス量が多いとちょっと注意が必要だろう。

e抗体出来てるから大丈夫と言われた患者さん 一見何ともないが、よくみるとアルブミンとPTが下がっていた
AFP4045 巨大HCC 肝機能にでていないと 発見後3ヶ月で亡くなった

DNA4以上かALT31以上または血小板15万は専門医へが言われている。
B型は治っているとか来院不要は言ってはいけない。

他科の先生はこれも難しいからs抗原陽性なら内科に紹介して下さいにしている。

治療はALTが31以上で
e抗原陽性はDNAが5以上
e抗原陰性は4以上を治療へ

35才未満はやめられる治療をまずはやってみよう
ペグインターフェロン
DNA7以上はなかなか陰性化しない

237例をフォロー中 日赤
核酸アナログ 109例いる 使っていない人は78例(キャリアもいる)

インターフェロンと核酸アナログの比較
インターフェロンは
効果は不確実で高価 スミフェロン OIF フェロン 24週 ペガシス 48週
1回で効くことはあまりない
どういう人で効いたかな
6ヶ月までにALTが正常したひとは 44% 若い方、軽い方、治療直前に急性増悪した方

核酸アナログは
抗ウイルス効果は確実 低額(IFNと比べ) 通院回数も少なくてすむ

ラミブジンは2000年9月 ヘプセラ2004年10月 バラクルード2006年7月 承認年月
75%がエンテカになってきている
TDFテノホビルがもう少ししたら使えるようになる

ラミブジンのブレイクスルー3年で約半数に耐性
エンテカは6ヶ月以内に3を切ることがほとんど
全体で74%がDNAが2.1未満まで(陽性を含む)いける

これでも、効かない人発がんする人がいる
ChildCのひとはエンテカ注意、ラミブジンから開始。

いつまで治療が必要か
核酸アナログの絶対安全な中止基準はない
s抗原が消えて来たらやめてもいいだろうと
e抗原陰性でDNAが2年以上陰性コアが低値なら慎重に中止できるかも

田中先生が出した指標
s抗原 80IU/mlみまんCLIA法で定量をすること(緑愛だと16分の一が大体あってる)

全国赤十字肝臓部会でやっている、シークエンシャル療法
治療を終了するのを目標にしている e抗原陰性、DNA1年以上陰性、s抗原1000以下

B型肝炎にもいろいろな種類が B型なのにアルファベットで分けるのはセンスないなあと確かに。
北海道は90%以上がC型といわれていたが、旭川でbが2割いた。
キャリアの人にbが多い、肝硬変ではほとんどbがいない。
癌が出ないわけではない。

ゴールは
1.ウイルスの完全排除
2.沈静化
3.進行の抑制
2.3.はかなり達成されてきた

核酸アナログはs抗原の合成を減らしているわけではない
s抗原の陰性化を目指すには、cccDNAを減らすこと、感染細胞を減らすこと

s抗原の量も発がんに関与するといわれるようになった
DNAをそろえても、s抗原が多いと高い
s抗原が多いってことは感染してる細胞が多いと言うことを示している。

HBsAg抗原2000以上で区切ってもそうなっている

アラスカのデータはs抗原陰性と陽性でくらべて発がんがへるジェノタイプaが多い

核酸アナログ使用者で年率0.97%が陰性化するというデータもある。

自然経過で陰性化した群とe抗原陰性と同年齢性でそろえたe抗原陰性203例
s抗原が200未満は消えてくる可能性が有るかも

旭川日赤では、消えやすそうな人を集めてみたら男性だった。
ゲノタイプはs抗原が低いと判定できない。。。(s抗原で測っているからDNAで測ればいんだけどと)

肝機能異常を指摘されていない人をinactive carrierとして分析すると
男性の方がs抗原が低い人が多い
悪くなりやすいのは男性なのに逆なのは不思議
推測 男性の方が免疫反応が強くいい方に行くも悪い方に行くもあり得るのか

核酸アナログと比較してインターフェロンをしたひとの方がs抗原が減りやすい DNAはあまり動かない。
ウイルスの感染した肝細胞を減らしていることが推測される

最近は、シークエンシャルだけではなく、核酸アナログの間にIFNをいれるのも検討中

s抗原陰性化を目指すには 年間1%陰性化
無治療症例は 年齢が高い人、ゲノタイプb、s抗原が低いか下がってきているかた
核酸アナログ治療中の人は、インターフェロンを受けた方、ジェノタイプb、s抗原低いか低下してる方

DNAが5越え出してくるとALTが上がりはじめる人が多いからそこまでは、テノホ使わず我慢してみてる。

ワクチン職員に打っていて 陽性にならない人には、(0.1.6ヶ月目数%つかない人がいる)
妊娠についてはワクチンは心配ないといわれているが避けている。
陽性が陰性化になったら、常に10以上を保つって言うのと1回なったら感染したらブースタかかるからうたなくていいという説がある

核酸アナログとシークエンシャルを繰り返すのも方法かもと

再活性化はDNAが陽性化したら薬
治療後1年は毎月ウイルス量をみる 肝臓の先生以外はなかなか難しいがやるようになってきている。
保険も通ることになっているコメントはした方がいい。

ガイドラインもくっつけてだしてからはこなくなりつつあるかなと

3月に1回s抗原がいいところかも、東京だとそうなってきている
治療のコメントがあれば認められるとなってきているかなと

s抗原消える人とアルコールはどうかと質問、はっきりしてるものはないが、急性増悪を起こすなどが関係してるかもしれないがはっきり印象はない。

とてもわかりやすく日常診療を大事してる長谷部先生らしい講演でした。みんなに聞かせてあげたいと思いましたー。