
1990年代初頭の当時、世間で「単気筒エンジン」を搭載したオートバイと言えば、どちらかと言うと「ノスタルジー」だったり「街乗りでドコドコ走るバイク」と言う
イメージが強かったのですが、それとは違う味付けで単気筒エンジンを搭載したモデルが唯一、1台だけありました、それが今日ご紹介するこのスズキ「グース350」です。
姉妹車に車検不要の250ccモデル「グース250」もありましたが、スズキが考える新たなコンセプト「単気筒の可能性」をしっかり押さえたものと言えば、やはりこちらの
スズキ「グース350」を取り上げる事になります。具体的には「単気筒」でも「レーサー的な要素を強めたマシンは作れる」と言うもので、この「グース350」はそれを実際
に実現してみせた車両であったんですよね。例えば空冷式に「油冷を追加」した冷却システムや、三軸三角形レイアウト、これは当時の「GSX-R750」で採用されてたもの
で、分かりやすく言えば「GSX-R750」のエンジンの「1/4エンジン」を搭載したオートバイだったと考えれば分かりやすいです。また吸気ポートとキャブの大経化、吸気の
ハイカム化、またフロントの倒立フォークや、フロントの大軽ディスクブレーキ、更にサーキット走行を考慮した強固なスチール製フレームに、異例とも言えるアルミ製の
ピポットプレート、強めの前傾製となるセパレートハンドルに、排気効率の高いマフラーなど、それを彷彿させる部分を取り上げれば各所にレーサーマシンとしての機能が
満載されていたんですよね。これはまさに「単気筒でどこまでスポーツバイクを作ることが出来るか!」と言うスズキの挑戦だった事は明らかです。しかし、そこまでの
道のりは遠回りなもので、まず1986年に同一のコンセプトで出したスズキ「NZ250/S」と言う車両で1回「大失敗を犯していた」とう経緯がありました。全然売れなかった
んですよね。この事から一旦はスズキ社内では「やはり単気筒スポーツは売れない」って結論が出てしまっていたのですが、当時「GSX-R750」のエンジンを設計したある
才能の高い社員の方が、もう一度、自分を中心に、改めて車両開発に挑戦したいと言う熱い思いから、この「グース350」の開発に至ったと言う経緯があった様です。で、
まさにそれが大成功し、1991年に初期モデルが販売開始となるのですが、直ぐ世間に人気モデルとして受け入れられます。時代背景が変わって来たこともありましたが、
これが結構売れたんですよね。実際、非公認であったもののエリアでの草レースでも使われてた様で、レースを趣味とする多くのユーザーがこの「グース350」をカスタムして
乗っていた様です。で、エンジンパワーは最高出力で33psほどでしたが車体がコンパクトで、細そく軽い車重(150kg)がアドバンテージとなり、同時期にあった4スト4気筒
エンジンを搭載した400ccモデルに「肉薄する性能」を叩き出していたと言う感じだったみたいです。また、このモデルに目を付けた、あの有名なパーツショップ「ヨシムラ」
の、POP吉村さんが「グース350」のパーツ製作を開始し、当時多くのヨシムラ製アフターパーツが売られてもいた様です。これも「グース350」を求めるユーザーを増やした
要因となってて、まさに「単気筒の可能性」をより強める結果となります。ボクがかつてサーキットを中心にオートバイと勤しんでいた頃、聞いた話ですがFCRキャブに
ヨシムラのマフラーを搭載し、社外のEIUを交換してセッティングを施しただけで50ps近くまでパワーが上がってたと聞いたことがあります。とにかく2スト250ccレプリカ
並みに軽量な車体だったので、いわゆるパワーウエイトレシオで言えば、確かに4スト4気筒エンジンを搭載した400ccモデルと全く遜色ない性能であったと言えそうです。
いやぁ、すみません(笑)個人的にこの「グース350」の様な単気筒スポーツが好きなボクなので、熱く色々書いちゃいましたが、全て事実で誇大評価してる訳では決して
ありませんから(笑) で、最後に現在の中市場を見てみますと、大体安いもので40万円あたりから、高いものでも60万円前後で取引されています。1991年式から1999年式
まであるのですが、どの年式もさして変更点は無いので状態の良いものに高値がついている様ですが、決して高額ではなので、しっかり探して選べば、まだまだ楽しめる車両も
たくさん残ってる様です。さて、今日はそんな単気筒スポーツとして誕生した「グース350」でしたが、いかがだったでしょう!(笑)
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