平成24年9月28日の朝日新聞に作家の橋本治さんが「「みんな」の時代」といった寄稿されていました。たいへんおもしろく読ませて頂きました。
『・・<省略>・・
「国民」という括(くく)りが、日本人の中から遠くなっているように思う。竹島や尖閣諸島の問題で、韓国や中国は「国民的な怒り」を爆発させているが、今の日本にそういうものはない。韓国や中国のやり方に対して怒る人はもちろんいるだろうけれど・・・・そのような行動をとる習慣も、そのようなことをしてしまうメンタリティも、日本人はいつの間にかなくしているからだ。 ・・<省略>・・
「平和ぼけ」と言われてしまえば確かにそうだが、それを言う前に考えるべきことがある。それは、いつの間にか日本人が「自分たちは日本国の国民だ」という考えをしなくなっていることである。・・<省略>・・・日本人の多くは、「日本国民の一人」と思うよりも、「自分はみんなの中の一人だ」と思いたいのだろう。 ・・<省略>・・・
今や日本は「みんな」の時代に入っていると思う。自民党政権が民主党政権に移行した根本原因は、自民党政権が「みんな」のあり方を理解出来ず、民主党が「みんな」的だったからだろう。・・<省略>・・・
「みんな」という集団は、そう複雑なことが決められない。それを始めたら意見の違いが露呈して、バラバラになってしまう。・・<省略>・・・
「みんな」は、横からの呼びかけで生まれるもので、横ならびのものだから、実のところリーダーを持ちにくい。持ったら、その段階で拡大は止まってしまう。政党のなすべきことは、「みんな」の声を吸い上げて、そしてその上で政党独自の判断をすることだから、実のところ、「みんな」と政治は直接に関われない。関わったら、政治家はシロートだらけになってしまう。・・<省略>・・・
リーダーに必要なのは決断力と、同時に「みんなの声を拾い上げる力」で、それは「みんなと喧嘩(けんか)をしても平気な信念を持つ」である。 ・・<省略>・・・
「みんな」も政治家も、もっと頭がよくならざるをえない時代が来ただけだろうと思う。
自民党の新総裁に安倍晋三氏が決まった。・・<省略>・・
今や政党自体が個人名を冠した個人商店的なものになっているからだ。たとえば、小沢党とか橋下党とか、野田党になれない民主党は崩壊の危機を迎えているが、自民党が安倍党になってしまって、それが分裂の危機を生まずにすむのかという危惧もある。
「みんな」の時代を理解出来ない政治は、小党乱立の方向へ進んで行くのかもしれない。』
まったく私がモヤモヤと感じていたことを、ピッタシと言い表してくれています。
朝日新聞らしくない・・・内容で・・・スッキリとした気がします。
『・・<省略>・・
「国民」という括(くく)りが、日本人の中から遠くなっているように思う。竹島や尖閣諸島の問題で、韓国や中国は「国民的な怒り」を爆発させているが、今の日本にそういうものはない。韓国や中国のやり方に対して怒る人はもちろんいるだろうけれど・・・・そのような行動をとる習慣も、そのようなことをしてしまうメンタリティも、日本人はいつの間にかなくしているからだ。 ・・<省略>・・
「平和ぼけ」と言われてしまえば確かにそうだが、それを言う前に考えるべきことがある。それは、いつの間にか日本人が「自分たちは日本国の国民だ」という考えをしなくなっていることである。・・<省略>・・・日本人の多くは、「日本国民の一人」と思うよりも、「自分はみんなの中の一人だ」と思いたいのだろう。 ・・<省略>・・・
今や日本は「みんな」の時代に入っていると思う。自民党政権が民主党政権に移行した根本原因は、自民党政権が「みんな」のあり方を理解出来ず、民主党が「みんな」的だったからだろう。・・<省略>・・・
「みんな」という集団は、そう複雑なことが決められない。それを始めたら意見の違いが露呈して、バラバラになってしまう。・・<省略>・・・
「みんな」は、横からの呼びかけで生まれるもので、横ならびのものだから、実のところリーダーを持ちにくい。持ったら、その段階で拡大は止まってしまう。政党のなすべきことは、「みんな」の声を吸い上げて、そしてその上で政党独自の判断をすることだから、実のところ、「みんな」と政治は直接に関われない。関わったら、政治家はシロートだらけになってしまう。・・<省略>・・・
リーダーに必要なのは決断力と、同時に「みんなの声を拾い上げる力」で、それは「みんなと喧嘩(けんか)をしても平気な信念を持つ」である。 ・・<省略>・・・
「みんな」も政治家も、もっと頭がよくならざるをえない時代が来ただけだろうと思う。
自民党の新総裁に安倍晋三氏が決まった。・・<省略>・・
今や政党自体が個人名を冠した個人商店的なものになっているからだ。たとえば、小沢党とか橋下党とか、野田党になれない民主党は崩壊の危機を迎えているが、自民党が安倍党になってしまって、それが分裂の危機を生まずにすむのかという危惧もある。
「みんな」の時代を理解出来ない政治は、小党乱立の方向へ進んで行くのかもしれない。』
まったく私がモヤモヤと感じていたことを、ピッタシと言い表してくれています。
朝日新聞らしくない・・・内容で・・・スッキリとした気がします。