1 「発達障害のピアニストからの手紙」(野田あすか・福徳・恭子 著) アスコム 刊
あすかさんが20歳になるまで、ご両親は一寸変わった子だけど個性的と思って育ててきた。ところがウイーンに短期留学したとき発作を起こして、広汎性発達障害と診断された。
病気と闘うあすかさんとご両親の姿、それを支えるピアノの先生と周囲の人たちの様子がいきいきと描写されれている。本人も当時のことを思い出して「あすかからの手紙」として、随所に挿入されていてその苦しみが伝わってくる。とても感動を呼ぶ本である。
本書にはCDが付いていて、一部(愛燦々、アメイジンググレースなど)を除き、あすか自身の作詞・作曲・演奏(全11曲)で歌も含まれている。ピアノの音色がとても優しく響き、心が癒やされる。
2 「無言館の青春」 窪島誠一郎 著 講談社 刊
「無言館」は、長野県上田市にある戦没画学生慰霊の美術館(1997年開館-97名の遺作を展示)である。昨年訪れた際に購入したもの。
本書には展示されている絵画・遺品などの他、訪れた人の感想も載せられている。ユニークなのは2006年第4回目になる、館主催の成人式の様子だ。全国から30人ほどの新成人が集い、絵画鑑賞後各人にメインゲストから自筆の手紙のプレゼントがあるという。因みに第1回目は小宮山量平さん、続いて澤地久枝さん、山田洋次さん、小林亜星さんだったという。
因みに、著者は館長で水上勉氏のご子息、2005年には第53回菊池寛賞を受賞している。