子どもたちが何やら言い合っていた。「殴られたら、どうする?」「俺は殴り返す」「だよなぁー」。そんなことにならないようにして欲しいと思ったが、そう言えば最近、テレビが何度も「万一について、充分備えてください」と言っていたのを思い出した。
強力な台風が接近している。南海トラフで大規模な地震が起きる。発生は食い止めることは出来ないが、災害被害を最小限にすることは出来る。そのために、日頃から気を配り、備えて置く必要がある。そんな風にテレビは報じていた。
自然災害はそんなことで、何とか乗り越えられるだろう。けれど、いざ、戦争となるとどうなるのだろう。台湾有事が叫ばれている。「台湾に中国が侵攻してきたら」、米軍は中国軍を攻撃するだろう。そうなれば、中国に近い米軍基地は沖縄だから、中国軍は沖縄基地に報復攻撃してくるだろう。
戦争に勝つためには、相手よりも強力な武器を備える必要がある。だから、どんな小国でも核ミサイルを持つことで対抗しようとする。「殴られたら、殴り返す」ために、子どもたちは強靭な身体づくりに励むとともに、相手が降参するように武器を隠し持つだろう。
子どもたちが「やり返す」と口にするように、各国の政治家も「やり返す」と言う。大人も子どもと同じレベルでしかない。けれど大人は、大勢の人を殺し、暮らしを破壊する強力な武器を持っている。
武器は対面する相手を殺すだけでなく、遠く離れた場所を攻撃出来るまでに発達した。一端、戦争になれば、理由はどうであれ泥沼の殺戮が繰り返される。ウクライナとロシア、イスラエルとパレスチナ、紛争の続く地域はどこも殺戮の連鎖である。
「万一に備える」ためには、「話し合う」ことしかない。武器を捨てる覚悟が無ければ、話し合いも成立しない。「殴られたら、どうする?」では無く、なぜ殴り合うのか、その原因を解決する「話し合い」をすることだ。
大人も子どもも、夏休みが明けたら、早速取り掛かろう。