実務家弁護士の法解釈のギモン

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詐害行為取消権の再構成(2)

2011-03-25 13:57:44 | 債権総論
 債務免除を詐害行為として取消した場合,その効果はどうなるか。
 この場合に限っては,判例,通説にいう相対効がある程度うまく機能しそうである。つまり,取消債権者との関係だけで免除された債権債務が相対的に復活するのである。したがって,この復活した債権(仮に1000万円としよう)を取消債権者(取消債権者の債権は仮に800万円としよう)が差し押さえて取り立てた残余(200万円)については,受益者は相変わらず免除の効力を自身の債権者に対して主張することが出来る。

 債権の存否という場面では,物権とは違い,基本的には対世的効力あるいは絶対的効力を考慮する必要がないといえるので,効果面だけを見れば,相対効がうまく機能する場面のようである。
 仮に責任説的に説明しようとしても,これと同じような説明にならざるを得ないのではないだろうか。取消の効果が責任的無効といい,債務者から受益者名義になった財産について受益者名義のまま強制執行を可能とするというのを基本原理としてみても,債務免除のように差押対象財産が完全に消滅してしまった場合,取消の効果として免除対象となった債権債務を何らかの形で復活を認めないと,差押対象財産そのものが存在しないことになるからである。
 絶対効で考えると,免除対象となった債権が完全に復活する。ただし,債権債務は1円単位で分割可能だとすれば,取消債権者の債権額の範囲内でしか取り消せないというように理解すべきことになろうか。

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