実務家弁護士の法解釈のギモン

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理解不能な欠損填補責任(2)

2018-07-18 09:39:31 | 会社法
 そもそも、剰余金の配当や自己株式の取得は、分配可能額の範囲内で行うこととされている。その計算方法は461条2項に規定されており、複雑なのであるが、計算の出発点は、剰余金の額からである。この剰余金そのものの計算方法も会社法446条に規定されているのであるが、これもまた面倒な規定なのであるが、基本は同条1号であり、最終事業年度末日における計算書類が出発点になることが分かる。要は、計算書類が確定した場合の貸借対照表の記載が分配可能額計算の前提となるのである。

 そして、再び欠損填補責任の465条1項を見ると、剰余金の配当等をした事業年度の計算書類において欠損を生じさせたことが責任の発生の要件となっている。
 例えば、事業年度を4月1日から3月31日までとする会社において、9月末に中間配当をした場合を考えると、当該事業年度は翌3月31日にで決算を迎えるので(仮に、この期間を当期といおう)、当期の計算書類は、その後の6月頃(既に次期に突入している)に開催される株主総会で確定することになる。そこで確定する計算書類において欠損が生じたか否かが問題になるのである。

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