毎年、お雛祭りの頃になると、北野天満宮の周辺の住宅地にある「平野の家 わざ永々棟」で開催される「高津古文化会館」の収蔵物などを展示するお雛様の特別展。今年も、雅に開催です。



毎年楽しみにしているミモロ「今年は、どんなお雛様に出会えるのかなぁー」と、いそいそと出かけました。
京都市内で、いろいろ開催されている雛人形の特別展の中でも、ここは、りっぱな和風建築の中で、ゆったりと見学できるのが魅力。お雛様とじっくりと対面できます。




展示物は、「高津古文化会館」所蔵のものなど、江戸時代の貴重なお雛様や調度品で、その質の高さには感激します。
今回は、「京の雛さま 江戸の雛さま」をテーマに、東西のひなくらべが楽しめる趣向。
ミモロが、尊敬する高津古文化会館の学芸員の雨宮六途子先生

1階奥のお座敷の入口に設えられた雛壇には、今回のゲストともいえる江戸生まれの「江戸の雛さま」がずらり。

「東京生まれなんだー。ミモロと一緒だ~」と、親しみを覚えるミモロでした。
「あのー東京生まれと、京都生まれと、どこが違うですか?」と雨宮先生に尋ねます。
そもそもお雛様は、京都生まれだったそう。それを江戸の商人が買い付けて、日本橋などで販売を。でも江戸中期明和・安永年間(田沼意次の時代)のころ、世の中が安定し、江戸の町の拡大に伴う人工増加などで、お雛様を求める人が急増し、そのニーズに応えられなく、常に品不足に。そこで、それなら江戸で作ろうということで、江戸生まれのお雛様が登場。その第一人者が、堺出身で、江戸で活躍する絵師でもあった人形師の原舟月(はらしゅうげつ)です。
京都の有職雛をベースに、彼ならでは創作を加えて、生まれたお雛さまが、「古今雛」というもの。その後、江戸では、このお雛様が大評判。女の子たちの憧れの品になりました。
「はい、よ~くお顔をみてください…」

「構造も京雛とは、違っているんですよ。京雛のボディは、藁で、衣装を着つけ、形を整えたところに、木串についた頭を差し込むもの。一方江戸雛は、ボディは、木で、頭は針金についているので、このように首を傾げることが可能なんです」と、雨宮先生。
纏う衣装の好みも江戸風とか。「京都のお雛様は、華やかな色使いですが、江戸は、どちらかというと落ち着いたシックな色調ですね」と。
また、五人囃子は、古今雛から登場したそう。京雛は、雌雛と雄雛1対の内裏雛と呼ばれるものが基本。今や一般的な五人囃子は、江戸から生まれたもの。「へー知らなかった~」と、改めて五人囃子を見つめます。
表情の豊かさも特徴で、「この川端玉山作の五人囃子には、表情や動きがイキイキしてるでしょ!これ私のお気に入りなんです」と雨宮先生。

「きっとその当時の人気グループバンドって感じ…」とミモロ。
さて、江戸雛のパイオニアの人形師、初代原舟月は、その活躍ぶりが幕府の目にさわり、江戸追放後、京都でその生涯を閉じることに。
さらに、過熱する雛人形ブームに、水を注すのが、江戸幕府に登場する松平定信の贅沢禁止令です。
初代舟月から、技を引き継ぐ二代目、三代目…さまざまな優れた人形を世に出して行きますが、「大きくて、立派なお雛様は贅沢…」ということで、取り締まりはいっそう厳しく…。
幕府の言いなりにならないという江戸っ子たちの気性から、人形職人たちは、幕府の取り締まりをくぐるために様々な工夫を…。
「それで生まれたのが、小さな芥子雛です。小さいながら、作りは、実に精巧で、見事…。人形の大きさが小さくなるのに伴い、雛道具も極小のものが次々に登場。本物そっくりの精巧なミニチュア版で、1つ1両(約10万円)ほどしたものの…」



「ちっちゃいけど、堂々とした風格が漂うねー」と、ミモロ。
狭い住宅事情に合わせた、小さな団地サイズ雛とは、作る発想が違います。本物にこだわりぬく、職人の意地を感じる品。
ところで、京雛も見て行きましょう。2階のお座敷に並ぶ、これまた風格漂うお雛様たち。


そして、ゆったりとくつろいだ雰囲気が漂うのは、珍しくカジュアルな直衣を纏った有職雛。

「京のお雛様のお顔って、どこか雅でゆったりした感じ…」「そうですね。京雛は、切れ長の一重まぶたで、ふっくらとしたお顔立ですねー」。今作られる目に玉が入った京雛は、江戸の影響を受けたもの。
会場には、お道具や珍しい檜皮葺屋根を持つ御殿造の雛飾りもいろいろと。


ミモロが、見学していると、着物姿の女の子が…。

おばあちゃまに着つけてもらったお着物でいらした方。雛祭りには、いつも着るようにしているそう。京都の女の子たちは、子供のころから、着物に馴れるようにしているよう。京の女性のたしなみを、子供の頃から学びます。
「お雛祭りは、女の子のお祭りと思われていますが、昔は、家族総出で楽しんだ御節句です。旧暦ですから、今の4月で、桜のお花見も兼ねて、緋毛氈とお弁当を持って、野遊びをしたんですよ。春を愛でる楽しみなイベントだったわけ…」
「現在、お雛祭りは、3月3日ですが、すぐに仕舞わずに、旧暦まで、ずっとお雛飾りを楽しむのもいいのでは…」と、雨宮先生。もともと旧暦の方が、昔ながらのものなのですから。
また、お内裏様は、雌雛と雄雛の位置が、京都と東京では、右と左が違うとか…
でも、みんな人形の世界のこと、どちらでもいいとおっしゃいます。
伝統行事の雛祭り。でも、時代と共に、さまざまな変遷してきた歴史を持ちます。飾り方より、春の訪れや、家族の健康などに感謝しながら、楽しむことが一番なのかも…。
「ミモロちゃん、こんにちはー」

「あのねー。今年も3月2日に『ひな茶会』するの」と。茶道を習う少女たちがお点前とお運びをする、恒例の茶会です。
「前にミモロも参加したお茶会ねー。楽しかった~」と。当日は、お着物姿で登場するそう。
「あのーお雛さまのお菓子も食べれるの?」「もちろん…」お雛菓子の「引千切」(ひきちぎり)も展示期間中楽しめます。
京都の町の各所では、3月3日に雛祭りが行われます。
「下鴨神社の流し雛、上賀茂神社や貴船神社では、桃花神事でしょー。三十三間堂や市比売神社でも神事だあるんだー。どうしよう、どれに今年は、行こうかなぁー」と、悩むミモロ。行きたいところがいっぱいで、しかも神事の時間がほぼ同じ。「わーん、どうしよう~梅の花も見頃だしー」と、頭を抱えるミモロでした。
*「平野の家 永々棟」京都市北区北野東紅梅町11 075-462-014 「春季特別展 京の雛さま 江戸の雛さまー東西ひなくらべー」は、3月30日まで。10:00~16:30(入館)月曜休み 入館料:1000円 菓子・薄茶1000円です。アクセス:北野天満宮から徒歩3分。梅が見ごろを迎えた北野天満宮と共に、ぜひ・・・・

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歴史を感じますねぇ。
こんなところで、ほっこりするのも良いですねぇ。
私も思い出として残っているのよねぇ。
毎年、お雛様飾りをしていたこと。
今なら、祖父母達や両親の思いをおしはかる事が出来るわね。娘にスクスク育って欲しい、って。
この立派なお雛様達も、そんな思いが一杯詰まっているんでしょうねぇ。
願う親心がつまっているのでしょうねー。
ミモロもお雛様もってるの。
ミモロのしあわせ願ってくれているのかなぁー
しあわせ・・・