みけの物語カフェ ブログ版

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0205「猫の学校」

2018-04-22 19:01:27 | ブログ短編

 公園(こうえん)の端(はし)の茂(しげ)みの中。子猫(こねこ)たちを集めて、猫教師(きょうし)の講義(こうぎ)の真っ最中(さいちゅう)。
 騒(さわ)いでいる子猫たちを静かにさせると猫教師は言った。「これから、人間(にんげん)の世界(せかい)でいかに生き抜(ぬ)くかを教えます。これは、とっても大切(たいせつ)な心得(こころえ)です。しっかりと聞くように」
 子猫たちは、何が始まるのか興味津々(きょうみしんしん)で聞き耳をたてる。先生は続けた。
「まず、人間は私たちの召使(めしつか)いです。けっして媚(こ)びたりしないこと。いつも気高(けだか)く、毅然(きぜん)とした態度(たいど)でいなさい。彼らが何をしようと、相手(あいて)をしてはいけません」
「でも先生、猫じゃらしを振(ふ)られたらどうするの?」
「その時は、あなたたちの能力(のうりょく)を存分(ぞんぶん)に見せつけてやりなさい」
「お腹(なか)が空(す)いたら、どうしたらいいの?」
「それはいい質問(しつもん)です。人間は時間になれば食事(しょくじ)を出してくれます。もし人間が忘(わす)れているようなら、そいつの顔を見てひと声鳴(な)いて足にすり寄りなさい。それでもダメなときは、躊躇(ちゅうちょ)することなく人間の足を引っかいてやりなさい」
「そんなことをしたら、ひどい目にあわされちゃうよ」子猫たちは騒ぎ出す。
 先生は一喝(いっかつ)すると言った。「あなたたちには野性(やせい)の血(ち)が流れています。それを忘れてはいけません。人間など、我々(われわれ)にとっては必要不可欠(ひつようふかけつ)な存在(そんざい)ではありません。そんな時は、人間など捨(す)ててしまいなさい。住み家(か)を変えるのです」
<つぶやき>猫って不思議(ふしぎ)な動物。気分屋(きぶんや)なのに、寂(さび)しい時にはちゃんと癒(いや)してくれる。
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