みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0108「まさかのほこり」

2017-11-25 18:37:32 | ブログ短編

 三日間、あたしは旅行(りょこう)に出かけた。気さくな友達(ともだち)と一緒(いっしょ)に、とても楽しい時間を過ごした。すっかり身も心もリフレッシュしたし、明日から仕事(しごと)をがんばろう。
 だが、そう思ったのもつかの間だった。あたしは部屋(へや)の中に異変(いへん)を感じた。あれが…、あれを見つけてしまったのだ。旅行に出かける前には、絶対(ぜったい)になかったはずなのに。どうして、あんなところにたまっているの?
 あたしの頭(あたま)をよぎったのは、「いつ、掃除(そうじ)をしたっけ?」
 あたしは掃除が嫌(きら)いなわけじゃないのよ。ただ、ちょっと仕事が忙(いそが)しかったりすると、まあいいかって思っちゃって…。それじゃいけないことは分かってるわ。分かってるけど、どうしても後回(あとまわ)しにしてしまう。あたしだって、ちゃんと掃除しようって思ってるのよ。
 部屋の隅(すみ)でふわふわの固(かた)まりになって、あたしのことをあざ笑っているようだ。
「よし、こうなったら今から掃除しよう」
 その気になった時にやらないと、またずるずるになってしまう。あたしは、掃除機(そうじき)を手にした。そして、〈覚悟(かくご)しなさい〉とばかり、ふわふわの固まりに照準(しょうじゅん)を合わせた。固まりが掃除機に吸(す)い込まれていくのは、何だか気分(きぶん)がいい。ふっとその時、ソファに目がいった。ソファの下の暗闇(くらやみ)。きっと、そこにも…。あたしは、身震(みぶる)いした。
<つぶやき>気をつけましょう。知らない間に、あれはあなたのそばに忍(しの)び寄っています。
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