みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0217「再就職の行方」

2018-06-02 19:57:39 | ブログ短編

「えーと、神崎香苗(かんざきかなえ)さん」面接官(めんせつかん)は履歴書(りれきしょ)の写真(しゃしん)と見比(みくら)べながら言った。
「帝都大(ていとだい)を卒業(そつぎょう)。それから、一流企業(いちりゅうきぎょう)に就職(しゅうしょく)されてますね。どうして辞(や)められたんですか」
「私、もっといろんなことに挑戦(ちょうせん)して自分を磨(みが)いていこうと思いまして」
「なるほど。キャリアアップをお考えなんですね。しかし、我(わ)が社では業種(ぎょうしゅ)が…」
「ですから、まったく新しい分野(ぶんや)で、自分の可能性(かのうせい)を試(ため)したいと考えています」
 面接官は履歴書の一点に注目(ちゅうもく)した。そして、何度も履歴書を確認(かくにん)して言った。
「年齢(ねんれい)が25才とありますが…。これは間違(まちが)いじゃありませんか?」
「いえ。私、25ですが。それが何か?」
「いや、この学歴(がくれき)などを拝見(はいけん)しますと、年数(ねんすう)が合わないような…」
「そんなことありません。飛び級(きゅう)しましたので。私、こう見えても優秀(ゆうしゅう)なんですの」
「しかし、どう見ても25には…」面接官は香苗の顔を見ながら首(くび)をひねった。
「私、老(ふ)けて見られることが多いんです。私の知性(ちせい)が、そうさせるのかもしれません」
「今回の募集(ぼしゅう)は25才まで、と言うことはご存じですよね。本当のことをおっしゃって…」
「だから、言ってるじゃないですか。私は25です。間違いありません」
「そうですか…。では、結果(けっか)は後日、お知らせしますので。もう、結構(けっこう)ですよ」
 香苗は面接官に好印象(こういんしょう)を残そうと、にっこり微笑(ほほえ)んでその場をあとにした。
<つぶやき>次の仕事を見つけるは大変なんです。なりふりなんか、かまってられません。
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