6月15日、日本外国特派員協会での記者会見で面白いやりとりがありました。
質問者はエコノミスト誌のマクニール記者、答えたのは慶応大名誉教授の小林節さん(憲法学)です。
小林さんは例の憲法審査会で安保法制を「違憲」と言い切った3学者の1人です。
小林さんは、もともとは憲法学会で改憲派を代表する存在だったが、今回の安倍政権の解釈改憲については、立憲主義の根幹を揺るがすものだとして真っ向から反対しています。
マクニール記者「集団的自衛権行使を合憲としている憲法学者が3人いて、彼らはみんな、日本会議に属している。それは何を意味しているのか?」と質問しました。
日本会議は安倍政権の”黒幕”とも噂される日本最大規模の右派団体で、マクニール記者の言う3人とは、菅官房長官が安保法制を支持する憲法学者として名を挙げた西修・駒沢大名誉教授ら3氏を指します。
つまりマクニール記者は、日本の憲法学会に数えるほどしかいない”合憲派”の顔ぶれを見ると、そろいもそろって日本会議の関係者ということで、これはどういうことなのか、単なる偶然とは思えない、と言いたかったのでしょうね。
小林名誉教授は、「私は日本会議にはたくさん知人がいる。彼らに共通する思いは、第二次大戦での敗戦を受け入れがたい、だからその前の日本に戻したいということ。日本が明治憲法下で軍事5大国だったときのように、米国とともに世界に進軍したいという思いの人が集まっている。よく見ると、明治憲法下でエスタブリッシュメントだった人の子孫が多い。そう考えるとメイク・センス(理解できる)でしょ」と答えました。
日本会議には国会議員懇談会という超党派の集まりがあり、現在そこに属する国会議員は自民党を中心に約280人、衆参両院をあわせた定数は717人だから4割ほどが日本会議の構成メンバーという計算になります。
これは驚くべき数字ですね。
日本会議の構成員が閣僚に占める割合は、第一次安倍内閣では首相をはじめ12人、麻生内閣では9人、改造前の第二次安倍内閣で13人、現内閣では19人中15人に増えました。
公明党枠の1人を除く閣僚ポストの8割強を日本会議に関係する議員が占めています。
小林名誉教授が言うように、日本会議に属する人たちの「共通する思い」が、70年前の敗戦を受け入れがたく、明治憲法下の「日本に戻したい」ということだとするなら、現閣僚の大半が戦前の大日本帝国の再来を望んでいることになりますね。
日本会議のHPには、こう書かれています。
〈125代という悠久の歴史を重ねられる連綿とした皇室のご存在は、世界に類例をみないわが国の誇るべき宝〉であり〈皇室を中心に、同じ歴史、文化、伝統を共有しているという歴史認識こそが、(中略)国の力を大きくする原動力になると信じています〉
日本会議を仕切る事務総長や関連団体の責任者、安倍首相の側近議員、学者などの経歴に意外な共通点がありました。
彼らは青年時代、ある教団の信者だったそうです。
その教団の創始者は熱烈な天皇主義者で「敗戦した日本などない」と唱え、敗れたのは「偽の日本」で、天皇中心の真の日本ではない。我々の使命は明治憲法を復元することだ。
その言葉が青年らの心を捉え、日本会議の歴史はそこから始まるようです。
そう言えば、「強い日本を取り戻す」というスローガン、特定秘密保護法の成立、憲法解釈の変更、安全保障法制、教育改革、辺野古新基地、原発再稼働は、戦前の大日本帝国の再来を目論んでいるとしたら、納得できますね。
さて、皆さんは、大日本帝国の再来を望みますか?
私は、まっぴら御免ですね。
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