徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

書評:スコット・ギャロウェイ著、『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』(東洋経済新報社)

2018年09月12日 | 書評ー歴史・政治・経済・社会・宗教

「GAFA」とは現在世界を支配していると言える4大企業「Google」、「Apple」、「Facebook」、「Amazon」のことで、この4社をヨハネ黙示録の四騎士になぞらえて、軽快な筆致でユーモアたっぷりに分析します。

本書の大きなテーマは、「GAFAはなぜ、これほどの力を得たのか」、「GAFAは世界をどう支配し、どう創り変えたのか」、「GAFAが創り変えた世界で、僕たちはどう生きるか」の3つ。

目次

第1章 GAFA――世界を創り変えた四騎士

第2章 アマゾン――1兆ドルに最も近い巨人

第3章 アップル――ジョブズという教祖を崇める宗教

第4章 フェイスブック――人類の1/4をつなげた怪物

第5章 グーグル――全知全能で無慈悲な神

第6章 四騎士は「ペテン師」から成り上がった

第7章 脳・心・性器を標的にする四騎士

第8章 四騎士が共有する「覇権の8遺伝子」

第9章 NEXT GAFA――第五の騎士は誰なのか

第10章 GAFA「以後」の世界で生き残るための武器

第11章 少数の支配者と多数の農奴が生きる世界

謝辞

図表出所


本書を読んで納得がいくのは、やはり大きなお金を稼ぐようになるにはきれいごとでは済まされないということです。今や世界中の数十億という人々の日常生活に無くてはならない製品やサービスを提供している4社は、どれも脱税企業であり、前世紀に大量の雇用を生み出した製造業と比べるとごくわずかな従業員しか雇用せず、これまでになかったような利益を生み出し、その利益は税金として国に還元されることなく、新たなイノベーションまたは事業拡大に回るか、株主に配当される。また成長する前はどの会社も「ペテン」とも言うべき盗みを働いているーという指摘は目から鱗が落ちる感じですね。

また、Appleの成功の秘訣が高級品戦略にあり、iPhoneがスマホ市場の13・4%のシェアしかないのにもかかわらず業界利益の70%以上を占めるという実に美味しい商売をしている実態には呆れるばかりです。つまり、iPhoneは下手をすると他社のスマホよりも低コストで製造されているにもかかわらずAppleのクールなブランド力で法外な値段で売られ、またそれを買う「クールに見られたい」消費者がいるということです。今度からiPhone使用者を見たら「ぼったくられていることに気づかないおバカさん」と思うことにしようかと思います。(笑)

第11章で今後の展望として、「多数の農奴が生きる世界」が提示されており、早いうちに政治介入をしないと本当に中産階級が崩壊し、貧困層が拡大するのを止められないようです。解決策は示されていませんが、少なくとも問題が指摘され、この4社の動向を注視する必要があるという警鐘を鳴らしたことは高く評価されるべきでしょう。不信感を持ちつつうまく付き合っていくことが重要。