徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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ドイツ:グローンデ原発で事故。作業員1名死亡

2016年08月27日 | 社会

ドイツ・ニーダーザクセン州のヴェーザー川に面して建っているグローンデ原発で今日(8月27日)午前10時(現地時間)に、点検作業の際にボイラーから突然水蒸気が漏れ出すという事故が起こりました。その際、作業員の一人(55)が重傷を負い、お亡くなりになったそうです。所轄警察や検察は既に捜査を開始しました。監督当局であるニーダーザクセン州環境省も調査を開始しました。

事故の詳細はまだ不明ですが、ボイラーは核分野外の部分なので、放射能漏れなどの心配はないようです。

グローンデ原発は今年の4月に冷却ポンプの故障のため停止しましたが、修繕終了後も再稼働されずにいました。7月30日にしずく状のリーケージが見つかり、調査の結果、調節検査管との溶接継ぎ目が漏れやすくなっていることが確認されました。プロイセンエレクトラ社は修理計画案を提出し、配管の一部を交換すると明言し、実験室で原因究明のために、比較可能な小規模管で疑似検査を行う予定だと8月初めに発表し、8月14日に再稼働の予定でした。

もうこれは再稼働を諦めて廃炉にすべきでしょう。2011/12年のEUのいわゆる「ストレステスト」でも「地震対策が不十分」が確認されていたことですし、こうもあちこち故障続きなのは老朽化の表れです。2021年末ではなく、即時廃炉にした方が住民も安心です。

グローンデ原発敷地内には大規模な中間貯蔵施設があり、Castor V/19型のキャスク100個分、使用済み核燃料1000トン分の収容能力を有していますが、バート・ピュルモント温泉施設のための鉱泉水源保護地区V内に位置し、他の飲料水保護地区から1キロしか離れていないこともあり、環境保護団体から常に批判の対象とされてきました。従って、即時廃炉してもこの中間貯蔵の問題は残念ながら、依然として残ることになります。

参照記事:
ハノーバー新聞、2016.08.27、「グローンデ原発で男性死亡」 
プロイセンエレクトラ、2016.08.26のプレスリリース、「作業員、グローンデ原発で事故により死亡

グローンデ原発

株主:エーオン83.3%、ビーレフェルト市営企業16.7%

事業者:共同原発有限会社グローンデ

営業開始:1985.02.01

稼働終了予定:2021.12.31

原子炉:加圧水型(酸化ウラン燃料、2013年よりMOX燃料も使用)、ジーメンス製

実質発電容量:1360MW

報告義務のある事象:1985年以来累計200件以上、うちレベル1事象1件。

 


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