徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

【フェイクニュースに要注意】「ドイツが東京オリンピックボイコットの可能性」はデマ

2018年10月15日 | 社会

しばらく前から「ドイツが東京オリンピックをボイコットするかも」というデマ・フェイクニュースがネットで拡散されています。真に受けないようにご注意ください。

とはいえ、「火のない所に煙は立たぬ」というように、このフェイクニュースの火元はなくはないです。その「火元」と思われるのが、Sayonara Nuke Berlinでも紹介されている、「IPPNWドイツ支部キャンペーン”2020年東京「放射能」オリンピック”」です。

呼び掛け文のドイツ語原文はこちらです。この呼び掛け文を全文読んでいただければお分かりになるかと思いますが、決してオリンピック自体をボイコットしようとするものではなく、オリンピックというマスコミ注目度の高い催し物を利用して、被曝の危険性に関する啓蒙キャンペーンおよび日本政府による「日常生活が戻った」かのような印象操作に対する抗議活動を行うというものです。

恐らくタイトルしか読まないネットリテラシーの低い方が「放射能オリンピック」という刺激語を見て「オリンピックボイコット」を連想し、それを拡散したということではないかと思われます。ほんの少し中身を確認すればそういう早とちりはしなくて済むものです。脊髄反射的に刺激的な内容の拡散をする人が多いのには呆れるばかりです。クリック数を稼ぐための意図的なフェイクニュース拡散なら、なおたちが悪いと思います。そのようなものに踊らされないように情報を吟味していただきたいものです。

ちなみに現在、ドイツのホットな話題が東京オリンピックでないことは明々白々です。オリンピックの「オ」の字すら話題になっていません。今、最もホットな話題は「ポスト・メルケル」でしょう。昨日(2018/10/14)CDUの姉妹党であるCSUがバイエルン州議会選挙で史上2番目に悪い結果を出して、CSU党首・現職バイエルン首相の今後の動向やメルケル退陣のタイミング(自らの意思決定の余裕のあるうちに辞任するか、退陣に追い込まれるまで在任し続けるのか)などが一層注目されています。

 

以下はSayonara Nuke Berlinの日本語紹介文の転載です。

IPPNW核戦争防止国際医師会議ドイツ支部のキャンペーンを日本語翻訳で紹介します。


2020年東京「放射能」オリンピック

2018年7月16日付
日本は世界各地からアスリートを招こうとしています。2020年に東京でオリンピックが開催されることになっているからです。私たちは平和でフェアなスポーツ競争を願うものですが、同時に大変懸念もしています。というのは福島県の県庁所在地でもオリンピック競技が開かれる計画だからです。野球とソフトボールの試合が福島市で開催されるということです。ここは原発事故のあった福島第一原発から50キロほどしか離れていません。2011年にはここで複数の原子炉事故が相次いで起き、放射能雲が日本と周辺の海を汚染しました。この災害と唯一比較できるのはチェルノブイリ原発事故だけです。

これによって生態系と社会は深く影響を受け、それらは日本ではまだ消滅していません。故郷を失ってしまったたくさんの家族、住民がこぞって避難して人のいなくなってしまった地域、汚染土を入れた何百万というフレコンバッグ、放射能で汚染された森林、川、湖。「通常な状態」などに日本は戻っていないのです。

事故を起こして破壊した原子炉もまだまだ危険が去ったわけではありません。今も変わらずここから放射能汚染が出続けています。海、空気、土の放射能汚染は日々増えているのです。大量の放射性物質は壊れた原子炉建屋に今もあるだけでなく、原発敷地にも屋外で放射性物質が放置されたままです。この状況では、もし次に大地震があった場合に人間と環境におびただしい危険を及ぼす可能性があります。放射線災害はまだ続いているのです。この警告はそして、当分解除されることがないでしょう。

2020年のオリンピックの日本での開催にあたり、IPPNWドイツ支部では国際キャンペーンを始めることにしました。私たちは、参加するアスリートと競技を見物する観客たちがフクシマ近郊で被ばくするのではないかと懸念しています。特に放射線感受性の高い妊婦や子供たちが心配です。

日本政府は、このオリンピック開催には最終的に120億ユーロかかると予測しています。しかし同時に日本政府は、避難指示解除後、故郷に帰還しようとしない避難者たちには支援金の支払いを止めると脅しています。

国際的に、放射線災害があった場合に住民は、自然放射線を除いて年間で1ミリシーベルトしか放射線を被ばくしてはいけないと規定されています。フクシマの帰還政策により帰還を促された地域では、住民はそれより20倍も高い20ミリシーベルトまでの被ばくは我慢するように求められているのです。すでに村や町が除染された場合でも、森や山は放射線汚染を「貯蔵」する役割を果たすため、風や天気次第ですぐにまた汚染させられる可能性は高いのです。

この国際キャンペーンを通じて私たちはまた、世界中にまだ一つとして放射線廃棄物の最終処分場すらないことも改めて訴えていく次第です。原子力産業が残す猛毒の負の遺産を安全に保管できる場所はないのです。

オリンピックに対しては世界のマスコミが注目します。これを利用して私たちは、日本の脱原発の市民運動を支援し、世界的なエネルギー政策変換を訴えていきたいと思います。化石燃料と核燃料に別れを告げ、再生エネルギーへ向かわなければならないと訴えます。

キャンペーンでは、世界中の政治家がいかに軍産複合体と一緒になって政策を推し進めているか、より明確に指摘していきたいと思います。

IPPNWは放射能に汚染された地域にあたかも「日常生活」が戻ったような印象を世界に与えようとする日本政府に対しはっきり「ノー」を突きつけます。

このキャンペーン趣旨に賛同する個人または団体は、次のメールアドレスを通じてキャンペーンチームに連絡をくださるようお願いします。
olympia2020[at]ippnw.de

(翻訳:Yu Kajikawa von Sayonara Nukes Berlin)

#IPPNWGermany #IPPNWドイツ支部 呼びかけドイツ語 原文:http://www.ippnw.de/atomenergie/artikel/de/tokyo-2020.html