徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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2019年度欧州議会選挙~ドイツ事情

2019年05月12日 | 社会

欧州議会選挙の投票開始日まで残すところ2週間を切り、街頭でもテレビでも選挙の話題で持ち切り、とまではいかないまでもかなり話題になっています。

私は投票期間中(5月23日~26日)スペインにバカンスに行く予定なので不在投票用の書類を申請したのですが、投票用紙を開けてびっくり。

ドイツからはなんと41の政党が候補者を出します。私はリストの上位12位までの政党しか見たことも聞いたこともなかったのですが、よく見てみると結構面白そうな政党があります。名称を見た限りでの判断ですが。動物保護や環境保護を政党名に冠しているところが複数あり、なんで統一しないかなと疑問に思うばかりです。

死に票になるのが分かり切っているトップ10に入らない[その他]の政党は無視するとしても、トップ10政党のそれぞれの選挙公約を精読するのも面倒なので、欧州政治に関する38の設問を元に各政党との意見の一致度を見られるツール「Wahl-o-Mat」を試してみました。

以下がその設問です。

  1. EU全体で拘束力のある住民投票を導入
  2. EUはCO2排出量削減に関してもっと高い目標を掲げるべき
  3. EU加盟国は共同の軍隊を創設すべき
  4. EUはオーガニック農業を優先的に助成すべき
  5. ドイツはユーロの代わりに国民通貨を再導入すべき
  6. EUは地中海における民間の難破船救済イニシアティブをサポートすべき
  7. 金融取引税:株などの金融商品の取引に対して課税すべき
  8. 遺伝子組換え植物の栽培をEU内で許可すべき
  9. EU市民が他のEU国に移住した場合、そこで受けられる社会保障は制限されるべき
  10. EU市民は欧州議会選挙において、他国の政党にも投票できるようにすべき
  11. EUは途上国援助にもっと予算を割くべき
  12. EU加盟国は航空旅客のデータ保存義務を継続すべき
  13. EUは全加盟国がそれぞれの最低賃金を導入するよう働きかけるべき
  14. EUはトルコとの難民に関する合意を堅持すべき
  15. EUでは、監査役会における女性枠を設定すべき
  16. ドイツはEUから離脱すべき
  17. ドイツ以外のEU加盟国では原発が今後も許されるべき
  18. EUはEU以外の第三国からの技能者を積極的に受け入れるべき
  19. EUは報道の自由・メディアの自由を侵害する加盟国に対して財政的な罰を課すべき
  20. EU内の経済的に弱い地域に対する経済支援額を削減するべき
  21. 医学研究における動物実験は今後も許されるべき
  22. 欧州警察機関であるユーロポールは、権限を拡大すべき
  23. EU全体の法人税の最小税率を導入すべき
  24. EUは全加盟国が同性婚を合法化するよう働きかけるべき
  25. 国家債務制限のためのEU規則に違反する加盟国に対して罰則を徹底させるべき
  26. トラックに対するハイウェイ料金をEU全体で導入すべき
  27. EUはキリスト教的価値観の共同体であるべき
  28. 銀行はすべて国営化すべき
  29. 地中海を超えてEUに入って難民申請をしようとする者は全員祖国送還すべき
  30. EUはロシアに対する制裁措置を緩和させるべき
  31. 全EU加盟国においてプラスチック包装材に課税すべき
  32. EUにおいては、アンチ・セミティズム(反ユダヤ主義)に対抗するイニシアティブは経済的に支援されるべき
  33. EUにおける外交に関する意思決定は全会一致ではなく、多数決でもよい項目を増やすべき
  34. 難民申請者は全EU加盟国に均等に応能配分されるべき
  35. EUの漁獲量はさらに制限されるべき
  36. EU加盟国間の国境管理は常設されるべき
  37. EUは長期的には欧州合衆国になるべき
  38. 欧州議会選挙の投票可能年齢は16歳に引き下げられるべき
以上の設問に賛成・反対・どちらでもないで回答した後に41の政党の中から特に興味のある政党を8党選ぶと、自分の回答と選択政党との一致度が表示されます。
各政党の設問に対する回答の比較はこちら
 
私個人の回答は置いておくとして、2019年5月10日に発表された世論調査「Politbarometer」の結果によると、今回の欧州議会選挙は一般人の関心が前回(2014年、赤い線)に比べて35%から56%へと21ポイントも上昇しています。 
 
 
欧州議会選挙の投票先としては連立与党のCDU/CSU(キリスト教民主同盟+姉妹党)が32%で断トツの支持率を獲得しているのに対して、もう1つの連立与党のSPD(ドイツ社会民主党)は落ち込む一方(16%)で、野党のみどりの党の19%に負けています。
 

SPDの落ち込みには、先日青年部代表のケビン・キューナートが大企業の国営化を提唱して党内でも物議を醸したことも関係していると思われます。

また、みどりの党の伸びには毎週金曜日に行われる子どもたちのデモ「Friday for Future」で欧州議会選挙で環境保護に力を入れている政党に投票するように呼び掛けていることも影響していると思われます。

また、欧州議会選挙では「その他(Andere)」の割合が高くなっているのも特徴的です。すでに述べたように政党が41もあれば主要政党以外に投票してみようという人の割合も増えるというものです。

ちなみに「今度の日曜日がドイツ連邦議会選挙だったならどの政党に投票しますか」という質問では以下のグラフのように「その他」の割合は5%に過ぎません。

 

欧州議会選挙で盛り上がるのはいいのですが、そもそもの問題は欧州議会自体に対した決定権限がないということなんですね。各国政府の代表で形成される欧州委員会の方が強い権限を持っているため、EUの民主化は遠い道のりです。ロビイストの暗躍を抑制するためにもEUの透明化・民主化のための構造改革は必須です。AfDのように離脱して終わりにしようとするのではなく、積極的に改革を進めて、「ヨーロッパ」という平和プロジェクトをより完成に近づけるために真剣に努力するという政党があれば迷わず投票するのですが。。。

 

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