徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:中山七里著、『セイレーンの懺悔』(小学館文庫)

2023年05月05日 | 書評ー小説:作者サ・タ・ナ行

商品説明
マスコミは人の不幸を娯楽にする怪物なのか。

葛飾区で女子高生誘拐事件が発生し、不祥事により番組存続の危機にさらされた帝都テレビ「アフタヌーンJAPAN」の里谷太一と朝倉多香美は、起死回生のスクープを狙って奔走する。
しかし、多香美が廃工場で目撃したのは、暴行を受け、無惨にも顔を焼かれた被害者・東良綾香の遺体だった。綾香が“いじめられていた”という証言から浮かび上がる、少年少女のグループ。主犯格と思われる少女は、6年前の小学生連続レイプ事件の犠牲者だった……。
マスコミは、被害者の哀しみを娯楽にし、不幸を拡大再生産する怪物なのか。
多香美が辿り着く、警察が公表できない、法律が裁けない真実とは――
「報道」のタブーに切り込む、怒濤のノンストップ・ミステリ。

帝都テレビの「アフタヌーンJAPAN」というニュース番組は、他の中山七里作品にもたびたび登場するのですが、ここではストーリー展開の中心をなしており、誤報が作られていく過程が巧みに描かれています。
若手ジャーナリストの朝倉多香美が青臭い理想と、テレビ局の視聴率至上主義
とのはざまで翻弄され、失敗を重ねつつなんとか逞しく成長して行く過程が微笑ましいです。


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