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徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

書評:石田リンネ著、『女王オフィーリアよ、己の死の謎を解け』(富士見L文庫)

2022年01月12日 | 書評ー小説:作者ア行

昨年11月に発売された『女王オフィーリアよ、己の死の謎を解け』を見逃していたのですが、先週末に偶然発見して即購入して一気読みしました。
ライトノベルなので2時間ぐらいで読み終わってしまいましたが、これは面白いですね。
粗筋はタイトルからお分かりのように、オフィーリア女王が殺され、死の間際、薄れゆく意識の中で 「私は、私を殺した犯人を知りたい」 と強く願ったため、王冠の持ち主にだけ与えられる“古の約束”により、妖精王リアによって10日間だけ生き返り、その間に犯人探しをするというファンタジー推理小説です。
生前は夫の影に隠れて政治にはほとんど関与せず、控えめな態度に徹していたのですが、生き返った後は怒りに駆られているのと、「どうせ10日間の命」という開き直りで、打って変わった活発な女性に変身。この彼女のこれまで抑圧されてきた気持ちや欲求をどんどん解放していくところが実に面白おかしく描写されていて、謎そのもの(誰がいつどのようにバルコニーの窓の鍵を開けてのか)が古典的な推理小説の設定であっても十分面白いです。



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茉莉花官吏伝

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 皇帝の恋心、花知らず』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 2~ 百年、玉霞を俟つ 』(ビーズログ文庫)

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書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 9 虎穴に入らずんば同盟を得ず』(ビーズログ文庫) 

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十三歳の誕生日、皇后になりました。

書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。 』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。 2』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。3』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。4』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。5』(ビーズログ文庫)


おこぼれ姫と円卓の騎士

書評:石田リンネ著、『おこぼれ姫と円卓の騎士』全17巻(ビーズログ文庫)


書評:江戸川乱歩編『世界推理短編傑作集 新版』2(創元推理文庫)

2022年01月02日 | 書評ー小説:作者ア行

江戸川乱歩編の世界推理短編傑作集の新版全5巻を買ったのは発売されてさほど経っていない2019年のことだったと思いますが、2020年1月~3月にかけて1巻を読んで以降、2~5巻は積読本化していたのですが、年末年始で仕事の隙間ができたので2巻をようやく手に取ってみました。

収録作品は次の9編:
  1. ロバート・バー『放心家組合』
  2. バルドゥイン・グロラー『奇妙な跡』
  3. G.K.チェスタトン『奇妙な足音』
  4. モーリス・ルブラン『赤い絹の肩かけ』
  5. オースチン・フリーマン『オスカー・ブロズキー事件』
  6. V.L.ホワイトチャーチ『ギルバート・マレル卿の絵』
  7. アーネスト・ブラマ『ブルックベンド荘の悲劇』
  8. M.D.ポースト『ズームドルフ事件』
  9. F.W.クロフツ『急行列車内の謎』

1.『放心家組合(The Absent-Minded Coterie)』(1905)
Robert Barrはスコットランド系カナダ人で1881年にロンドンに移住して作家活動を精力的に行ったため、「イギリスの大衆作家」とされることが多い。
推理小説はロンドン在住フランス人探偵のユウゼーヌ(またはユジェーヌ)・ヴァルモンを主人公とするシリーズで、『放心家組合』はそのうちの1作。
ロンドン在住のフランス人探偵というとアガサクリスティーのポワロを彷彿とさせますが、ポワロシリーズは1920年から始まっているので、1904年に始まったヴァルモンシリーズの方が先ですね。

『放心家組合』ではロンドンに濃霧が垂れ込める11月のある日に初めて聞いた「サマトリーズ事件」の回想という形で話が始まります。アメリカ有数の富豪であるブライアン氏が大統領選に落選したことと銀価格問題を新聞で読んでいるところにスコットランドヤードのスペンサー・ヘイルが訪ねてきて銀貨贋造団の話と怪しい人物であるラルフ・サマトリーズについての話をして、ヴァルモンに協力を要請します。
刑事と探偵のタッグはいかにも古典的推理小説という設定ですが、結末は「え、そういうオチ?」という意外なものでした。探偵小説自体のパロディーのような味わいがあります。

2. バルドゥイン・グロラー『奇妙な跡 (Die Seltsame Fährte)』(1909?)

Balduin Grollerは旧オーストリア=ハンガリー帝国の作家で、探偵ダゴベルトを主人公にした推理小説で知られています。「オーストリアのコナン・ドイル」と評されているらしいです。
『奇妙な跡』では産業クラブの会長アンドレアス・グルムバッハの森林管理人であるマティーアス・ディーヴァルトが森の外れで殺された事件を扱っています。ディーヴァルトは前日の金曜日に猟場番人や樵たちの週給を会計事務所で受け取ったあと酒場で一杯やった後に強盗殺人にあったようで、持っていたはずのお金が無くなっており、殺人現場には足跡ではなく奇妙な跡が残っていたことがテーマになっています。
ただ、どんな跡だったのか詳しく説明されないままダゴベルトが独自捜査をして犯人を捕まえてしまうので、読者が推理する余地は残されていません。
残されていた跡の説明をしてしまうと犯人がすぐにばれてしまうため、ぼかさざるを得なかったという印象を受けます。

3. G.K.チェスタトン『奇妙な足音 (The Queer Feet)』(1910)
『奇妙な足音』は「真正十二漁師クラブ」という謎のクラブに属する12人のイギリス貴族の会員が年一度のクラブの晩餐会を行うヴァーノン・ホテルで起こった事件をブラウン神父からの又聞きという形で語ります。
文体がややもったいぶってまだるっこしいのですが、一周回って面白いと言えるかもしれません。
ヴァーノン・ホテルの給仕の1人が急死したためにブラウン神父が呼ばれ、ホテルの事務所の横の私室を一時借りて書類の作成をしていると廊下を1人の人間が足早に歩いたり、ゆったりと歩いたりしているような足音を聞き、奇異に思ってその正体を突き止めようとしたという話です。
ストーリー自体よりも、イギリス貴族に対する皮肉な風刺の方が面白いですね。

4. モーリス・ルブラン『赤い絹の肩かけ (L'Écharpe de Soie Rouge)』(1911)
『赤い絹の肩掛け』はかの有名なアルセーニュ・リュパンと宿敵のガニマール警部のお話の1つです。
ある日リュパンが手の込んだやり方でガニマール警部をおびき出し、とある殺人事件の証拠品を預け、彼なりの殺人の経緯の推理を聞かせ、警部にその事件を解決するように依頼します。
その証拠品の1つである赤い絹の肩掛けの片割れだけはリュパンが手元に残し、それが必要になったら12月28日に警察の手に入るであろうもう一方の片割れを持って来るように言い残して消えてしまいます。
警部がむかむかしながら警察へ戻るとちょうどリュパンの言っていた殺人事件が警察の知るところとなり、警部が捜査を担当することになります。
リュパンの入れ知恵があったために早急に犯人逮捕に至り、ガニマール警部の名声も上がったのですが、公判の維持には決定的な証拠が欠けており、その証拠こそがリュパンが握っている肩掛けの片割れだったので、言われたとおりに12月28日に前回おびき寄せられた館へ向かいます。
リュパンが何のためにガニマール警部にそんなことをさせたのか?
もちろん警部はリュパンをあわよくば逮捕しようと準備していたのですが、案の定するりと逃げられてしまいます。

5. オースチン・フリーマン『オスカー・ブロズキー事件 (The Case of Oscar Brodski)』(1911)
この作品は科学者探偵であるソーンダイク博士が活躍するシリーズの1つで、フリーマンの提唱する倒叙推理小説という形式が最も成功していると言われています。
つまり、犯人視点の犯罪の過程がまず描写され、その後に探偵視点で残された手掛かりからその犯罪行為を推理し特定する過程が描写されるというものです。
サイラス・ヒックラーはその温厚な見かけによらず根っからの犯罪者で、計画的に犯罪を犯し、慎ましやかに暮らしていたのでそれまで捕まることがなかったのですが、ある日、ダイヤモンド商のオスカー・ブロズキーが偶然ヒックラー宅のそばを通りかかり、彼に駅までの道を訪ねます。ヒックラーは自分も次の列車でアムステルダムに出かける予定なので、それまでの間彼の家に上がって待ち、時間が来たら一緒に駅まで行きましょうとブロズキーを自宅に招き入れます。ヒックラーはダイヤモンド関係の商売にも携わったことがあるので、ブロズキーのことも知っていましたが、ブロズキーの方はヒックラーと多少の面識があることを思い出せないまま、何の警戒もせずに招きに応じて家に上がり、供されたウイスキーとオートミールのビスケットを夢中になって食べます。
そうしているうちにヒックラーがブロズキーが持っているだろうダイヤモンドの誘惑とそのための殺人の衝動に駆られ、ついに殺人に至ります。こうしてまんまとダイヤモンドを手に入れ、証拠隠滅を図り、列車に乗って出発するところで第一部が終了します。
第二部で携帯用実験室と呼べる様々な器具や薬品の入った緑のトランクを携えたソーンダイク博士が登場して、捜査が始まります。
探偵の推理する先のゴールが先に提示されているので、謎が次々に明かされていく楽しみがありません。必然的に推理の過程そのものに焦点が当たることになります。科学の力で微細な断片的物証からどんなことが類推可能になるのか、その一点にフォーカスされていると言っても過言ではないでしょう。
このような倒叙形式は、科学的捜査方法が最先端のものである場合に最も面白味があるのではないかと思います。ソーンダイク博士が使う検証のための道具は1911年時点では最先端だったのでしょうが、110年後の現在読んでも残念ながら真新しいものは何もありません。


6. V.L.ホワイトチャーチ『ギルバート・マレル卿の絵 (Sir Gilbert Murell's Picture)』(1912)
この作品は『ソープ・ヘイズルの事件簿』という短編集の中の1つ。
進行中の列車の中央部から貨車が一台抜き取られ、その貨車に積まれていた絵マレル卿の絵が贋作とすり替えられるという事件を扱います。
かなり大掛かりなトリックですが、本当に描写されている方法でそれが可能なのかどうか私には分かりかねます。
私は推理小説好きではあってもあまりトリッキーなものは好まないので、この短編はいまいちでした。

7. アーネスト・ブラマ『ブルックベンド荘の悲劇 (The Tragedy at Brookbend Cottage)』(1913)
この作品はマックス・カラドスという盲人探偵が活躍するシリーズの代表作です。「盲人探偵」と言うからには安楽椅子探偵の類だろうと思いきや、友人のルイス・カーライルの助けを借りてかなり外に出かけてます。
ある日ホリヤー大尉というクライアントがカラドスを訪ねてくるところから話が始まります。ホリヤーはブルックベンド荘に住む姉夫婦の様子がおかしく、夫のクリークにそのうち何かされるのではないかと心配でカーライルに相談し、カラドスに頼ることになります。
こうしてカラドスが捜査に乗り出し、クリークの企みを徐々に暴いていき、最終的には警察の協力の下、クリークの工作をギリギリまで実行させて殺人未遂の角で逮捕に至るのですが、オチがなんとも釈然としない、題名の通り「悲劇」で終わってしまいます。
全体的にさほど面白くないと感じました。どこら辺が「傑作」なのかよく分かりません。翻訳がところどころ分かりにくいのも玉に瑕ですね。

8. M.D.ポースト『ズームドルフ事件 (The Doomdorf Mystery)』 (1914)
この作品はアンクル・アプナー探偵シリーズの1つで、密室殺人事件を扱います。
傭兵上がりらしいズームドルフはヴァージニア州の岩山に居を構えて桃を植え、収穫した桃で酒を醸造して販売し、村人たちを堕落させ、逃走に明け暮れさせたと政府に目をつけられます。彼に酒の醸造販売を止めさせようとランドルフ治安官がアプナーを伴ってズームドルフを訪ねると、彼は外から閂のかかった寝室で猟銃に胸を撃たれて死んでいました。誰が彼を殺したのか?
すると、彼らよりも先に来ていたメソジスト派巡回僧のブロンソンが自分が彼を殺したと言い、また、ズームドルフの家政婦も「やっと殺してやった」などと口走ります。
しかし、話を聞いてみるとブロンソンは「天の火」の仕業だと言い、家政婦は呪いの蝋人形を使ったと言います。
では、誰が猟銃を撃ったのか?その謎はアプナーがあっさりと解き明かします。
アルコールが禁制だった開拓時代のアメリカの話ですから、酒醸造販売をしていたズームドルフは天罰が下って当然の悪人という扱いです。非常に宗教色も濃厚な作品で、推理小説というよりは風俗小説の一種のようです。


9. F.W.クロフツ『急行列車内の謎 (The Mystery of the Sleeping Car Express)』(1921)
この作品はタイトルからも察せられるように列車という大きな密室の殺人事件を扱います。事件自体は1909年の秋にノース・ウェスタン急行列車がプレストンとカーライルの中間に差し掛かった際に起き、英国全土を騒がせたものの、結局未解決のままお蔵入りとなったのですが、著者はつい最近とある偶然から事件の詳細を知るに至ったので、その仔細を書き留めることにした、という感じに物語が始まります。
そして列車の構造の描写やどこにどんな乗客がいて、車掌がどのように動き、事件が発見された経緯や発見後に車掌の取った行動や警察の調べなどが淡々と語れられ、様々な推論の検証などが行われますが、結局、犯人がどうやって列車から出たのかという謎が解けずにお蔵入りになるところで前半部が終了し、後半部は事故で死にかけている犯人が著者である医者にそのすべての経緯を告白します。探偵ではなく下手人本人の告白による謎解きというパターンの典型ですね。


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書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 十一 其の才、花と共に発くを争うことなかれ』(ビーズログ文庫)

2021年11月21日 | 書評ー小説:作者ア行

『茉莉花官吏伝』の最新刊が出ていたので早速購入して一気読みしました。😊 
ラノベは軽く読めていい気晴らしになりますよね。

さて、『茉莉花官吏伝』のヒロイン・茉莉花はこれまで無理難題をいくつも乗り越え手柄を立てて、破竹の勢いで出世しているため、嫉妬という名の“やっかいごと”に巻き込まれないよう皇帝・珀陽が次に出した課題は「絶対に失敗する任務」で、山に囲まれたバシュルク国への潜入捜査です。その首都トゥーリは難攻不落な要塞都市として知られており、いざという時は外側(アオセン)を切り捨てて内側(イネン)に籠れるように設計されています。外国人に対して鷹揚で、外側ならば比較的自由に外国人の出入りができるものの、立てこもるための要塞機能を持つ内側はどんな間諜でも手に入れられなかった機密情報であり、情報管理は徹底しているという。茉莉花の任務はそうした機密情報を掴み、首都攻略の方法を探るというもの。
この任務のため、茉莉花は以前恩を売っておいた赤奏国で戸籍を作り、サーラ国でジャスミン・ラクテスとしての滞在記録を偽造してもらい、「内乱や戦争のせいでその両国にいられなくなって仕方なく異国人でも入れるというバシュルク国の傭兵学校で勉強するよう知人に勧められた」という設定で傭兵学校への潜入に成功し、順調に優秀さを認められて進級していきますが、想定外の事態に巻き込まれて「次巻に続く」になります。
「え、もう終わり?」という物足りなさが残ってしまう感じですね。

ところで、外側(アオセン)はドイツ語の außen、内側(イネン)は innen だということにだいぶ後になって気づきました。「バシュルク」という国名も何かドイツ語と縁のあるものからもじったものなのでしょうか。山に囲まれ資源に乏しいという国のイメージからすると、スイスがモデルになっているように思えます。だからドイツ語の単語をほんの少し採用したのでしょうか。他にも「ユール」という冬の祝祭に言及されており、これは北欧起源のお祭りで、やはりゲルマン系と言えるので、古代ゲルマン風のファンタジー世界観が構築されているようです。
漢字+カタカナで表記されたドイツ語単語は、アルファベット表記に馴染んでいる私にはある意味新鮮でした。


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茉莉花官吏伝

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 皇帝の恋心、花知らず』(ビーズログ文庫)

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十三歳の誕生日、皇后になりました。

書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。 』(ビーズログ文庫)

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書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。4』(ビーズログ文庫)

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おこぼれ姫と円卓の騎士

書評:石田リンネ著、『おこぼれ姫と円卓の騎士』全17巻(ビーズログ文庫)


書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。5』(ビーズログ文庫)

2021年08月08日 | 書評ー小説:作者ア行


積読本が100冊近くになり、さすがに新しい本を買うのを控えようと思っているところなのですが、やはり続き物は新刊が出ればすぐに読みたくなりますよね?

『十三歳の誕生日、皇后になりました。』の5巻は赤奏国皇后宛のお手紙箱に入っていた「洪水の心配」と「妹の心配」が書かれた手紙を受け取った皇后・莉杏が人身御供を心配して真相を探るべく河川の街を訪れ、そこで生贄にされそうになっていた異国の青年を助けたら、その青年は実は叉羅国の司祭をつかさどる家の1つ・ヴァルマ家当主ラーナシュだった---と洪水という国内問題と隣国の重要人物の急な訪れという外交問題を同時に抱えるストーリーです。
このラーナシュが赤奏国皇帝・暁月の策略もあって隣国・白楼国へ入って『茉莉花官吏伝 7 恋と嫉妬は虎よりも猛し』に話が繋がっていきます。

このシリーズは幼い莉杏が皇后として国や国民のことを考え、自分が何をすべきかを一所懸命学びながら成長していく少女成長物語であると同時に、莉杏を「ちょうどよかったから」という理由で妃にした暁月がだんだん幼な妻の成長を喜び、誇りに思うようになっていき、いつかは夫婦愛となるかもしれないことをほんのり匂わす恋愛物語でもあります。赤奏国に伝わる守護神獣・朱雀の比翼連理を体現するかのように「一緒に国を立て直して行こう」という共通の目標で強く結ばれている二人の物語はほのぼのとさせる一方、少々緊迫感に欠け、今一つ「この先どうなっちゃうの?!」という興奮が足りないのが残念なところです。読み始めてしまった続き物なので惰性で買い続けていますが、ストーリーとしては先に始まった『茉莉花官吏伝』の方がずっと面白いですね。恋愛話としてもすでに夫婦になっている二人より、皇帝とそれに見込まれ・惚れこまれた女性官吏の関係の方が不安定で障害も多いので物語に緊迫感があります。
その意味でも『十三歳の誕生日、皇后になりました。』は少々長くなってしまっている『茉莉花官吏伝』のスピンオフ的な位置づけに過ぎないような気がします。


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茉莉花官吏伝

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 皇帝の恋心、花知らず』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 2~ 百年、玉霞を俟つ 』(ビーズログ文庫)

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十三歳の誕生日、皇后になりました。

書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。 』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。 2』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。3』(ビーズログ文庫)

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おこぼれ姫と円卓の騎士

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書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 10 中原の鹿を逐わず』(ビーズログ文庫)

2021年05月23日 | 書評ー小説:作者ア行

『茉莉花官吏伝』の最新刊をまたもや発売早々に購入して一気読みしてしまいました。

茉莉花は今度は大虎こと冬虎皇弟殿下の付き添いとして北の珀陽の命を狙っていた黒槐国へ送られます。任務は、茉莉花が白楼国内で高まっている侵略戦争をすべきか否かをめぐる議論に巻き込まれないようにすることと、大逆罪で囚われていた珀陽の叔父・仁耀が脱獄後に黒槐国へ潜入したかどうかを確認することでした。

茉莉花が、だんだん甘さが取れてきて、禁色の小物を受けた官吏として相応しい思考と行動をするようになってきているので、読んでいて小気味いいです。
今回も任務以上の功績を立てて黒槐国に恩を売ることで「戦争するのはもったいない」と白楼国の誰もが考えざるを得ない状況を作り出して帰国しますが、その破竹の勢いに対する「調整」が必要だと彼女の師でもある子星が彼女のための次のミッションインポッシブルを予告したところで次巻に続く、となっています。どんなミッションなのか楽しみですね。
「出る杭は打たれる」けれども、あまりにも高い空を飛ぶ鳥に手を出そうとするものはいないので、茉莉花も子星のようにそう思われるようなことを成し遂げるべきだということです。

珀陽と茉莉花の淡い恋の描写がもうちょっと多くてもいいのにと思うほど、今回はそっちの甘さが少なかったですね。残念。




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茉莉花官吏伝

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 皇帝の恋心、花知らず』(ビーズログ文庫)

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十三歳の誕生日、皇后になりました。

書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。 』(ビーズログ文庫)

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おこぼれ姫と円卓の騎士

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書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。4』(ビーズログ文庫)

2020年11月16日 | 書評ー小説:作者ア行


『十三歳の誕生日、皇后になりました。』の第4弾が出ていたので、『茉莉花官吏伝 9 虎穴に入らずんば同盟を得ず 』と一緒に購入し、あっという間に一気読みしてしまいました。

もう『茉莉花官吏伝』と重なる部分はなく、完全に独立した赤奏国のお話になっています。後宮の幽霊話と現在進行形の皇帝・皇后・皇太子暗殺計画などを絡めた、ほどよいサスペンスス―トーリーです。
13歳の皇后・莉杏がとてもけなげで、一生懸命に考えて、ちゃんと大人の気づかいができるのが、ちょっとできすぎのような気がしないでもありません。皇帝・暁月がだんだんそんな彼女に真剣に惹かれ始めて、ちょっと嫉妬してしまうところがかわいらしいですね。
『茉莉花官吏伝』は立身出世物語&恋物語なのでゴールの方向性が見えますが、この皇后を主人公にした、好きな相手とすでに結婚してしまっている設定の物語はそういう明確なゴールは見えません。このまま赤奏国の事件と莉杏の成長物語として展開するのでしょうか?

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茉莉花官吏伝

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 皇帝の恋心、花知らず』(ビーズログ文庫)

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十三歳の誕生日、皇后になりました

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おこぼれ姫と円卓の騎士

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書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 9 虎穴に入らずんば同盟を得ず』(ビーズログ文庫)

2020年11月16日 | 書評ー小説:作者ア行


『茉莉花官吏伝 9 虎穴に入らずんば同盟を得ず』は、叉羅(サーラ)国に派遣されていた茉莉花が、サーラ国に侵攻しようとする隣国があるために急ぎ帰国命令に従って帰国しますが、その際に司祭の1人で彼女がそもそもサーラ国に行くことになった原因であるラーナシュもともに白楼国の皇帝・珀陽に同盟を求めるために白楼国に行きます。
いろいろな紆余曲折の結果、同盟は叶い、外敵も追い払い、残るのは初めからあった二重王朝問題となります。こうなったときに内乱が勃発しかけて、ラーナシュともう一人の司祭シヴァンともども茉莉花もかなり危機的な状況に陥ってしまいます。
まあ、予想通り茉莉花はサーラ国の司祭たちに恩を売って帰国できるわけですが、そうすると今度は白楼国がきな臭い状況になっていて、「次巻に続く」となっています。
今回は発売早々に買ってしまったので、次巻発売までかなり間がありますね。先が気になって悶絶ものです(笑)
この巻では脇役のちょっとしたエピソードも挟まれていて、ストーリーもなかなか濃いものとなっています。

 

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書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 皇帝の恋心、花知らず』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 2~ 百年、玉霞を俟つ 』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 3 月下賢人、堂に垂せず』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 4 良禽、茘枝を択んで棲む』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 5 天花恢恢疎にして漏らさず』 (ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 6 水は方円の器を満たす 』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 7 恋と嫉妬は虎よりも猛し 』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 8 三司の奴は詩をうたう 』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。 』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。 2』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。3』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『おこぼれ姫と円卓の騎士』全17巻(ビーズログ文庫)


書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。3』(ビーズログ文庫)

2020年10月29日 | 書評ー小説:作者ア行


『十三歳の誕生日、皇后になりました。』の第3弾が出ていたので、『茉莉花官吏伝 8 三司の奴は詩をうたう 』と一緒に購入し、あっという間に一気読みしてしまいました。
ストーリーの時系列としては、『茉莉花官吏伝』の4巻で茉莉花が赤奏国に派遣される少し前から内乱を無欠で終了したのちに皇后莉杏が皇帝代理としてお礼を言いに白楼国へ行って帰国するまでに当たり、莉杏視点で出来事が描かれています。
13歳という低年齢ながら皇后としての自覚を持ち、自分に何ができるのかを常に考え続ける姿勢が大人びていて感心する一方で、皇帝・暁月に対する純な恋心が少女らしくて微笑ましい感じです。
茉莉花官吏伝との関わりがある部分はこの巻で終了したので、次からは赤奏国内の独自展開ということになるのでしょうか。茉莉花官吏伝のスピンオフにとどまらない、莉杏の物語に発展していくのか否か、まあ楽しみにしておきましょう。


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書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 皇帝の恋心、花知らず』(ビーズログ文庫)

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書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 8 三司の奴は詩をうたう 』(ビーズログ文庫)

2020年10月27日 | 書評ー小説:作者ア行


『茉莉花官吏伝 8 三司の奴は詩をうたう』は発売から半年以上経過してます。このシリーズは今まで紙書籍で揃えていたのですが、コロナのせいで郵便物に制限が加わり、なんと「ドイツへの発送ができません」と断られて入手できなかったのです。
コロナが収束するどころか第二波が来て全然収まりそうにないので、もう紙書籍は諦め、電子書籍で読むことにしました。

叉羅(サーラ)国の高貴な客人ラーナシュに、王の証(コ・イ・ヌール)というとんでもないものを押し付けられた茉莉花は、視察と称して叉羅国に返してくるよう珀陽に頼まれて、いよいよ叉羅国に入りますが、入国した途端にラーナシュが命を狙われてしまいます。宿の火事を辛くも逃げ出した茉莉花は、偶然の出会いとはいえ、よりによってラーナシュと敵対中の司祭の家の当主シヴァンに助けを求めてしまいます。叉羅国では異国人には非常に厳しいのが普通なのに、もてなされたりして訳が分からないなりに叉羅国を理解し、可能な限り将来的に白楼国皇帝のためになるような恩を売るにはどうしたらいいのか手探りしていきます。
皇帝から直々に禁色の小物を授与された官吏としての自覚が強くなってきて、茉莉花がグッと成長している感じなのが好印象です。
 
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書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 皇帝の恋心、花知らず』(ビーズログ文庫)

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書評:バロネス・オルツィ著、『ダブリン事件』(世界推理短編傑作集1、創元推理文庫)

2020年03月08日 | 書評ー小説:作者ア行


江戸川乱歩編『世界推理短編傑作集1』の7番目に収録されている作品は、バロネス・オルツィ著、『ダブリン事件』(1902)。
「隅の老人」とだけ呼ばれる(元?)探偵がかつてダブリンで起こった遺言偽造事件について語ります。ブルックス家の兄弟マレーとパーシヴァルが遺産相続をめぐって遺言書の真贋を争います。
パーシヴァルだけが有利になっている新遺言書は果たして本当に父親が亡くなる直前に書き直したという遺言書なのか、パーシヴァルによる偽造なのか、その遺言書を預かっていたはずの弁護士の殺害事件は関連があるのかないのかというミステリーを解いていきます。
導かれる結論は、「人は見かけによらない」ということですね。
多くの推理小説に見られる類型の古典版というところでしょうか。


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