WEBマスターの読書日記

「木戸さんがこんなマメだったなんて」と大方の予想を裏切って続いているブログ。本、映画、感じたことなどをメモしています。

『血流がすべて解決する』(著者:堀江 昭佳)

2016-07-31 19:07:44 | 本と雑誌

貧血ほどいやなものはない。10年ほど前、かなりの不摂生で体重が40キロを下回ったことがあって、そのときは指の先を少し切るとか、ほんのちょっと血が出るだけで、立ちくらみが起きた。あ、くるな、と思った瞬間、放送終了後のTVみたいな砂嵐が目の前にかかってみるまに視界が狭くなり、心臓の音がバクバク響くと、ふうっと意識が頭の奥から抜けていく。それで夜遅くまで出歩いたりお酒を飲んだり、もちろん仕事も終電かタクシー帰宅のハードワークで、思えばよく深刻な病気にならなかったものである。

比べると今はまったく健康だけれど、もっかのテーマは血を増やすこと。いまだに健康診断で血をアンプルに3本も採られると、気分が悪くなる。貧血をなくしたい。それで読んでみたら、今までの常識がことごとくひっくり返った。造血には、赤身のお肉(ステーキ)とほうれん草を食べる!と思ったら、大間違い。現代人の食生活は栄養過多のため、いくら食べても働きすぎで疲れた胃腸が吸収しないんだそう。さらに旬じゃない夏場のほうれん草は、鉄分が少ないらしい。

いいのは、鶏肉とお味噌、お米のごはん。そして胃が自分を掃除できる、空腹タイムを作ること。それ以外にも良い血液をたくさん作るベストウェイが満載。読んだら私、けっこう実践していた。盲腸で入院、絶食したとき、「たんぱく質を全くとっていないのにこんなに採血して大丈夫ですか」と心配のあまり看護婦さんに聞いて、「大丈夫です、点滴から血をつくってるから。ちなみにこれで5mlだけしか採っていないんですよ」と笑われた。体の血液量はぜんぶで4Lくらいあって、さらに私の赤血球数も、ちゃんと平均以上にあるそう。なんだ、貧血って気のせいだったのかしら。


『首のたるみが気になるの』(著者:ノーラ・エフロン 訳:阿川 佐和子)

2016-07-24 17:40:32 | 本と雑誌

序文で「ノーラ・エフロンっておかしなオバサン」と愛情をこめて語る阿川佐和子さんも相当、おもしろい。翻訳をノーラ本人から持ちかけられながら、夏休みの宿題のごとく、手をつけられないままズルズルと日がたち、あっというまに数年がたち、そしてとうとう本人が亡くなってしまう。大ヒット作「ユー・ガット・メール」「めぐり逢えたら」の監督&脚本家ですよ?この本も発売からニューヨークの超話題作、大ベストセラーです。私だったら待ちきれなくて瞬速で訳すけど・・・ "I Feel Bad About My Neck" タイトルからしてイケてる。

うちのバスルームの棚には、クリームといったらニベアしかないし、割賦償却しなくてもカプチーノ代程度のコストしかかからない牛乳石鹸を愛用しているが、肌にはシミもシワもない。と思ったら、首の老化がはじまるのは43歳かららしい。マジかー。センスがよく、超おもしろく、ちょっぴり皮肉のきいた、そして女性であることをめいいっぱい幸せと思わせてくれる話が満載。

先週はうちの会社の半期に1度の大イベントがあり、私も新サービスを立ち上げたため仕事が山積みで過去最高に近い忙しさ。とはいえ、盲腸であれだけ痛い目にあったあとの厳守モットーは「よく噛んでゆっくり食べる」。ランチ時間はちゃんと確保し、たとえ机でサンドイッチとスープでも、何かしら読んで気分転換。しかしこの本は読みながら爆笑してしまって休憩にならない。ヘアもメイクも完璧、お手入れも買い物も大好きという女子っぽい女子より、ちょっとだけ変わってる人のほうがきっとおもしろく読める。


『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』(著者:中島 聡)

2016-07-18 17:09:10 | 本と雑誌

毎年そうだが沖縄から戻るととっても体調が良い。3連休、朝は7時には「もう起きてよ」と体が自然に起きたがって爽快に目覚め、ジョギングをすると全身の筋肉がいちいち喜んで動いているのがわかる。今日は梅雨明けに近い太陽の強さにも負けず、近くのゴルフ練習場で2時間近く過ごし、ドライバーのスイングに磨きをかける。ストレスがないと人間ってこんなに元気になるものなのか。

MSでWindows95を生み出した伝説のプログラマー、中島さんの時間術。タイトルも絶妙だが中身もいい。たとえば、10日でやらないといけないときは何があっても締切を死守する、マルチタスクは基礎中の基礎で出来ないとお話にならない、こんな常識がエイヤッと鮮やかに引っくり返される。キーワードは「ロケットスタート」。

スタートしてダメそうだったら素早く切り替える、いけそうだったら最後まで突っ走る、とにかく走りながら考える環境の中、タスクの量が増えてくると、どうしても、いくつかは状況が確定してからやったほうが効率的・・・と考えるようになってくる。しかし、絶対に後回しにしてはいけない。来たらまさにロケットのように、初動を全力フルパワーで、全体の8割を片付ける。理由も一つひとつロジカルで、目からウロコ。いくら頑張って片付けてもどうしても終わらないときに、万人に最強のソリューション。


『生きるコント2』(著者:大宮エリー)

2016-07-17 14:36:40 | 本と雑誌

何回も読み直す本でないと、本棚に残さないというルールを決めたら、本屋に行ってもワクワクしなくなってしまった。これおもしろそう、と思っても、次の瞬間、一度読んだらどうせブックオフするんだしと無意識のうちに選別するようになったのか。相当小さいころから長年、とにかく本を読むのがひたすら好きな私としては、自分が新しい本に囲まれて楽しくないというのが信じがたく、大げさに言えば自己の中核を崩壊させるようなショックである。

幸いにして、その時期は比較的早く終わった。救世主はキンドル。今まで使っていなかったのが不思議なくらい。WiFiさえあればワンクリックして数秒でダウンロード完了。かさばる海外の本や重いハードカバーが、この薄くてかるい端末の中にギッシリ入る。何日つけっ放しでも、びくともしない頼もしいバッテリーのもち。一番心配だった画面は、長時間読んでいても疲れない。ITの威力ってほんと素晴らしい。

これ、1週間ほど家族で旅行するのに、ボストンバッグにB5×厚さ3センチの児童文学書を10冊以上きちきちに詰めていって、親に呆れられた(というか怒られた)子どもの頃にこそ欲しかった。今でも何冊も並行して読む私のためにあるような、素敵なガジェットだ。ということで、書籍購入費が加速度的に増すこのごろ。これは満員電車で読んでいて、夜更けのサンバとお正月のおみくじについ笑いが止まらなくて困った「生きるコント」の続編。大宮エリーおもしろすぎるぞ。


『贋作』(著者:パトリシア ハイスミス 訳:上田 公子)

2016-07-16 19:19:16 | 本と雑誌

退院から1ヶ月後、再びCTスキャンで検査したところ、前に大きくくっきり映っていて家族を心配させた、ウズラの卵大の石がきれいになくなっていた。これなら大丈夫でしょう、と医師も太鼓判。再発の可能性は50%あるというが、まだ今、残っていたらスケジュールを調整して切る手術をしなければならず、また入院かぁと憂鬱だったのが雲が吹き飛ぶように気持ちが晴れる。

毎年この時期、真っ青な空とエメラルドグリーンの海が見たくて沖縄に行く。空気も水もきれいで泳げるし、豊かで新鮮な食材を使ったおいしい沖縄料理が大好き。ホテルのラウンジで静かに流れる時間もいい。昨年は、ゴールデンウィークに引いた風邪が、その後の忙しさでなかなか治らず、せっかく行ったのにお酒は飲めないし眠くて寝てばかりだしと切なかった。帰ってきたら南国効果で元気になったけれど。今年は体調はいいのに台風1号で雨か、あーあと思いきや、意外に晴れて抜けるような美しい空。

キンドルの便利さに目覚めて、持って行った紙の本は読みかけな「太陽がいっぱい」の続編だけ。トム・リプリーの、けっこう行きあたりばったりなのに状況が向こうから好転するラッキーさと、それをタイミングよく使い倒す度胸の良さで、限りなく疑わしいのに捕まらない、優雅な完全犯罪。ビーチで寝そべってキンキンに冷えたコロナを飲みながら読むには、これほど最適な小説もない。楽園を満喫。