WEBマスターの読書日記

「木戸さんがこんなマメだったなんて」と大方の予想を裏切って続いているブログ。本、映画、感じたことなどをメモしています。

『蜜蜂と遠雷』(著者:恩田 陸)

2017-01-15 20:48:16 | 本と雑誌

年始早々、今年最高の本と出会ってしまった!ピアノ好きなら絶対に楽しめる。浜松がモデルと思われる(?)都市で開催される国際コンクールが舞台、予選の一次、二次、三次、本選とコンテスタントたちが繰り広げる一回限りの真剣勝負。古典から近代までレパートリー豊かな曲の選び方もさることながら、鍵盤からなだれ落ちる芳醇で甘い音の瀑布、ステージ上のピアニストにどんな世界が見えているかのリアルな心理描写まで、とにかく素晴らしい!!お正月から読み始め、ピアノの世界に心ゆくまで耽溺し、何があっても他の予定を入れないようにしている辻井伸行くんのコンサートプログラムを予習しつつ読み終わる。ヴェートーベンのスタンダードナンバーは暗譜してるし自分でも弾くので良いとして、この本を読みながら、バッハの洒脱なイタリア変奏曲、モーツァルトのソナタ K570で色々なピアニストの演奏を聴き比べて、それもとても楽しかった。

先週、ピアノを弾いている時に指が何だかむっちりしてきたのが気になり、慌てて体重チェック。太っちゃって、と言うと周囲からシラーっとした目で見られるが、野放図に食べて人生最太の体重を記録し、ボトムを全て買い替えた2年前の轍を踏むことだけは避けたい。さらにそのときはバターコーヒーで一気にやせたため、また全部買い替えることになって我ながらほんとに無駄な出費であった。体重こそ増えていなかったが、お腹まわりをチェックしたら、やっぱりうっすら贅肉が。最近めちゃめちゃ忙しく仕事が朝から晩まで分単位、そして帰省のお土産やら差し入れのお菓子やらが机の上に豊富にあるので、夕方になるとついつい糖分をとってしまい、仕事初めからたった2週間でこれか。・・・と反省したのに、やっぱり冬の食欲は旺盛で、今月パリで挙式をあげる先輩と中華でランチして、寒かったので大きなラーメン丼になみなみと入った担々麺に加えてセットのご飯ものまで食べてしまった。まずい、本気で節制せねば。


『都政大改革』(著者:野田 数)

2017-01-08 19:06:15 | 本と雑誌

3連休の日曜、どんより曇った低い空が冬らしく寒い1日。こういう日に暖かくて快適な部屋にこもっていると大変に幸せである(朝、ジムで走ってきたけど)。本を1冊読み終える。

今週は年明け早々から思っていた以上に忙しく、年末年始が充実してエネルギーをチャージできたためか楽しく、仕事のひとつひとつがキラキラ輝いて見える(笑)。席の近くにいたフランス人から何かいいことあったの?と聞かれて、理由もないけれどすごく幸せと答えたら、ふうーんと肩をすくめられてしまった。しかし上機嫌は伝染して、彼も鼻歌を歌い出す。相当ハードな毎日だけど充実、というのは私のような凡人に比べるのも非常に申し訳ないが、この都政改革に立ったチームもそうであろう。

都内に住民票を移して20年近く、なるべく選挙の時は億劫がらずに投票してきて、今回ほど名前を書く人をはっきり決めていた時はない。きっかけは石原慎太郎氏の「年増」発言。私は「太陽の季節」の作風がわりと好きだし、長らく都政を率いてきた政治家として尊敬もしていたのに、あらら不適切きわまりないタイミングでこんなこと言っちゃって・・・とびっくりしたのを覚えている。すかさず「年増じゃなくて(選挙区が)豊島なんです」と余裕で切り返す街頭演説の小池百合子氏に、投票日は迷うことなく1票を投じた。同じように感じた人も多いんじゃないか。

個人対組織を全面的に打ち出して、SNSをフル活用した選挙戦も巧みだったし、体力・気力とも消耗する夏場の炎天下で都内どころか離島にまで移動して、疲れを全く感じさせない強靭な戦いっぷり。お若く見えるので55歳くらいかと思っていたら、実際には60代も半ばという年齢なのにタフで恐れ入る。何より打ち出す政策がわかりやすくポイントがよく練られており、誰がどう見ても他の候補者との差は圧倒的だった。結果が300万票近くを獲得した圧勝というのも頷ける。そして当選するやいなや外部の専門家チームの招聘に、都議選をにらんだ政治塾の立ち上げ、情報開示のマメさ、このスピード感と戦略的な進め方は、都市行政の長というよりダイナミックな経営判断が求められるグローバル企業の経営者のようだ。このまま優れた結果を出していって欲しい。


『コンビニ人間』(著者:村田 沙耶香)

2017-01-02 20:50:08 | 本と雑誌

久しぶりに1週間、のんびりした年末年始休暇。これまた久しぶりにジュンク堂に行って長時間を過ごし、嬉々としていっぱい買った本の袋を抱えて帰る道すがら、この中身が本じゃなくてお菓子とカップ麺だったら、あたし完全な引きこもりだなぁとおかしくなった。この前、私のパーソナリティをある意味誰よりも理解している人から「引きこもり」と評されて、的確な指摘にさすがであるとつくづく感心。例えば恵比寿のバーでクラフトビールを飲みながら、シンギュラリティは実際何年後かとか「エクス・マキナ」は何故ピンとこないのかという会話で盛り上がっていても、ふと、このまま家に帰ってあったかいご飯に納豆をのせて食べたいとえらく地味なことを考えている(笑)

だから、これ、わかるー。読み出したら止まらなくて面白かった。コンビニのアルバイト歴18年、狭いアパートで食事はコンビニの売れ残り、そこにどうしようもない男が転がり込んできて・・・分かりやすい設定はコンビニというメタファーを強調、世間との繋がりや対人関係といったものについて著者のこんな言葉が聞こえてきそうだ。コンビニを何かに置き換えて、程度を加減したら、今時ほら誰だって同じとこがあるでしょうと。ラストの壮大な開き直りもすがすがしくて爽快。

どうせなら休暇の最初から最後までぬくぬく引きこもって、プロコフィエフのピアノ協奏曲を聴きながら読書に埋没していたかったけれど、公開されたローグ・ワンも見たいし、この前浅草フィルで聴いた白鳥の湖がとても良くてお正月のキエフ・バレエを予約しちゃったし、なんだかんだと出かけている毎日。今朝は初詣に行ったらおみくじが大吉だった。「恋愛運も強い。今年は長い片想いが実る」と書いてあって、おぉ~やったぁ!!と大喜び、しかしふと、あれ、私片想いなんかしてたっけ?と我に返る。まあ大吉なんだから細かいところはいいか。2017年も自分らしく良い1年でありますように。