WEBマスターの読書日記

「木戸さんがこんなマメだったなんて」と大方の予想を裏切って続いているブログ。本、映画、感じたことなどをメモしています。

"Shadow Of Night" written by Deborah Harkness

2013-04-28 13:15:56 | 本と雑誌
Shadow of NightShadow of Night
価格:¥ 1,792(税込)
発売日:2012-07-10


I read a best seller novel as I was listening to a Bill Evans piano performance. His playing sounds like spring mild raindrops. The novel I was absorbed in reading sold million copies in the US after being released in 2011. I like fiction based on recognition of history. The author is a professor of European science history at South California University. Because of it's great success in 40 countries, Warner Bros. bought rights of movie for this novel. Notable character such as an eminent Shakespearean scholar and great & aloof Queen Elizabeth were portrayed realistically.




『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(著者:村上 春樹)

2013-04-27 14:41:30 | 本と雑誌
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
価格:¥ 1,785(税込)
発売日:2013-04-12


連休前になんとか峠をこして、あわよくば10連休ともくろんでいた仕事が、読みが甘くかなり長丁場に続きそうである。あらら、暦通りには休めなさそうと思うと、一日一日をしっかり大切に過ごそうという気になる。初日の土曜日、早起きして、昨晩おもわず力尽きてしまった仕事のメールの返事を書き、掃除とお洗濯を片付けて、私が大好きなお店でゆっくりランチ。ソムリエが同じく村上春樹さんのファンで、ふたりで1Q84以来ひさしぶりのこの長編の話をする。



彼いわく、ファンの間では評判がわかれるそうだ。濃密な恋愛なし、不思議な世界もなし、ノルウェイやハードボイルド・ワンダーランド、1Q84に比べるとストーリーが地味だからという。でも、全作品読んでいる私としてはこれ、トップ5に入る名作である。干上がってかちかちに凍りついた小さな土壌に、少しずつ水が注ぎ込まれる、究極の癒しのようなテーマ。



村上作品には全部、あまりにも際立つのでいつまでも記憶に残ってしまう場面が一冊ごとにいくつかあって、これだけ長年、色あせずにそういうポイントを小説のなかに組み込めるなんて、驚異的。今回はピアノの鍵盤を縦横無尽に疾走する長くしっかりした指と、そのピアノの上におかれた六本目の小さな指のお守り。それに湖をわたる冷たい風、演奏の夢と、悲しみを抱えて眠りにおちる瞬間、・・・と、いくらでも出てくる。ほんとこの人の小説が好きなんだなあ。





『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代(上)』(著者:ゲーテ 訳:山崎 章甫)

2013-04-20 19:58:42 | 本と雑誌
ヴィルヘルム・マイスターの修業時代〈上〉 (岩波文庫)ヴィルヘルム・マイスターの修業時代〈上〉 (岩波文庫)
価格:¥ 819(税込)
発売日:2000-01-14


今日は肌寒い。一週間ぶんの疲労と軽い二日酔い、それに雨がふってきたが、ルーベンス展が明日で終わってしまうため、渋谷の雑踏をぬけて文化村へ。ウィークデイの仕事では人と話す時間が多いせいか、週末はピアノを弾いたり本を読んだりしてひたすら引きこもっているのが大好きなのだけれど、フランドルの巨匠の何枚かの稠密な絵をずっと見たく、楽しみにしていたので仕方なしに出かける支度。



そういえば先週の土曜日もコンサートの会場が渋谷で、2週連続でこの日本一クレイジーな人込みを我慢したことになる。プログラムのベートーヴェン「悲愴」「月光」「熱情」の3大ソナタはグールドのCDを聴いてからこよなく愛するようになり、死ぬときにはお墓に入れてもらってあの世までもっていきたい曲の1つ。近藤嘉宏さんはグールドには似ても似つかないが、特に「熱情」の最終楽章は鍵盤を駆け抜ける音の洪水の圧倒的な表現力、とてもよかった。



小さいころ好きだった本に、ゲーテ作品を子ども向けになおした「君よ知るや南の国」という素敵な物語があって、ふと思いついてもう一度読みたいなぁとインターネットを検索したらこれがヒット。しかし貧乏な旅芸人の一座、ドイツ演劇論にシェークスピア、おぼえてる話はこの原作とかなり違うなぁ。しっかりゲーテ作って書いてあったけれど・・・




『新しい国へ』(著者:安倍 晋三)

2013-04-14 14:28:44 | 本と雑誌
新しい国へ 美しい国へ 完全版 (文春新書 903)新しい国へ 美しい国へ 完全版 (文春新書 903)
価格:¥ 840(税込)
発売日:2013-01-20


総裁選でこの人が1位選出されたとき、オイオイ自民党よ、大丈夫ですかと思った有権者のほうが多いのではないか。それほど、2007年に胃腸をこわし、いろんな問題を放り出すように辞めたときの、呆れた柔弱なお坊ちゃんぶりが記憶に残ってしまっている。それが今回、経験不足を露呈するだけに終わった民主党から鮮やかな大勝利で政権を奪い返し、米中韓との外交のしこりに自民ならではの老獪な後始末をつけ、交代させた日銀総裁と蜜月を結んで金融市場にストレートな未曾有の強力弾を打ち込んだ。



自分が当事者なのに、刻々と状況が悪くなっていくのを、何のコントロールもできずに茫然と、焦りと大きな不安、そして妙に冷静な目で眺めているしかできないときもある。その結果に大きなものを失って、人の侮蔑の目、自分で自分を切り刻みたいような恥かしさと悔しさの、深い井戸の中のような毎日を過ごし、そうしてそれから、その底から這い上がった人は強い。安倍さんの5年間はきっとそうだったのだろう。次に何をすればよいかを的確に考え、一つひとつのボールをしっかりと手のひらににぎり、投げるべき方向に力強く腕を振り切っている感じがする。



ちょっと理想論が多いかなぁと思って読んだが、日米関係と中国問題、年金と教育はなかなかにバランスのとれた施策提議。予算でも外交でも、キレイゴトではない、自民党の養分のたっぷり含まれた泥のような知恵と経験が、これまで50年以上も地層のように堆積されて戦後の日本を作ってきたのである。アベノミクスが効を奏し、よりよい時代になりますように。




『新源氏物語(上)』(著者:田辺 聖子)

2013-04-07 17:29:17 | 本と雑誌
新源氏物語 (上) (新潮文庫)新源氏物語 (上) (新潮文庫)
価格:¥ 704(税込)
発売日:1984-05


今日も土砂降りの雨かと思ったら、朝7時、まぶしい日光で目が覚める。夕方も日が長く、たそがれどきにビールのおいしい季節になってきた。明るいうちにお酒を飲みながらの読書は週末の至福。丸谷才一の「輝く日の宮」を読んだあと、むしょうに源氏物語が読みたくなり、原文はしんどいので現代名訳小説にする。



最近、会社の仲間とみなで夜、お酒を飲みながら恋愛観の話になって、私のふと言ったことにその場にいた男性全員から「木戸さん、それは完全に男の考えかた」と非難の嵐。え、どこが?と心外だったが、人の心に、恋を楽しむ、愛を思う箱があるとすると、一般論としてそれがたくさん、複数あるのが男性、そうでないのが女性。新しい恋がはじまるとき、だから女性は前の好きという思いをきれいに上書きして、いい思い出として都合よく忘れてしまうけれど、男性はそうはいかない。どの人のことも忘れられない。



平安時代の一夫多妻、通い婚は、こんな男女の相違にぴったり合ったスタイルだったのではなかろうか。しかし源氏物語では、あまりに男が完璧に魅力的すぎて、欠点がなく、女性は新しい恋を始められない。白昼、物狂おしく魂が抜け出たり、思い悩んだ挙句に病に伏したり、そのくらいならいっそと死ぬような覚悟で断髪して尼になったりする。きらきらするような文章と優雅な花鳥風月、次々と女性たちを不幸にしていく美しい貴公子の華麗なる宮廷絵巻・・・ではなく、じつは第二巻からがこの世界最古の小説の神髄。千年も前に、ほんとに奇跡のような書き手がいたものだ。