WEBマスターの読書日記

「木戸さんがこんなマメだったなんて」と大方の予想を裏切って続いているブログ。本、映画、感じたことなどをメモしています。

『ねじまき鳥クロニクル(3)』(著者:村上 春樹)

2011-06-26 11:05:16 | 本と雑誌
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫) ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)
価格:¥ 820(税込)
発売日:1997-09

日曜のこの時間はいつもジョギングだけれど、今日は休んで、ゆっくり朝食。キッチンで後片付けをしていて、下洗いした食器を食洗機に入れたり、包丁やフライパンを洗ったり、ドイツ製の美しいガラスのガス台をふいたりしていると、村上春樹のこの静謐な文章のように心が落ち着く。


24日は、一日に3本というイベントでずっと有楽町の国際フォーラムにいた。前日のリハーサル、前々日のスクリーンチェックと連日通う中で、1回だけ、レバンテという素敵なレストランで短時間ながらも食事ができた。ここのミックスフライはほんとに美味しい。


最初は、年度のサマリをまとめる事業報告映像を作るために入っていたのが、日をおうごとに対応物が雪崩のような勢いで増えていき、ひとつでもヌケモレがあったらまずいと集中していたせいか、ここ2週間ほどあまり食事の味を感じなかった。レバンテでカリカリにあがったフライに「うわ、美味しい」と思ったときと、終わって昨夕、夕方に冷えたコロナビールを飲んだときに、やっと普通の生活の感覚が戻ってきて、この仕事も最高に楽しかったけれど、今の休日も久しぶりに嬉しい。


『イスラーム生誕』(著者:井筒 俊彦)

2011-06-05 19:50:10 | 本と雑誌
イスラーム生誕 (中公文庫) イスラーム生誕 (中公文庫)
価格:¥ 620(税込)
発売日:1990-08

今日はもったりと湿気を含んで空が重く、少し仕事をしたあとに窓の向こうを眺めながらプルーストを読んでいたら、気がつくと眠りに落ちていた。寝ても寝ても眠いのは健康的な証拠か、それに食欲がおそろしいほどあって、1日5回も食べていた学生時代を思い出す。朝でしょ、昼、夕方にラーメン、または友達と喫茶店でケーキ、その後でしっかり夕食、それに夜食でおにぎりとかピザ・・・成長期とはいえ我ながらよく食べていたものだ(笑)。


天才言語学者、井筒俊彦氏の若き日に書かれた「ムハンマド伝」。いきいきと美しい叙情的な文章に目があらわれる。めくる1ページ目から、イスラム誕生以前の、自主自立をもっとも高貴とするジャーヒリーヤ時代と、アッラーに己の全てをゆだねるムスリム、マホメット伝道を境に180度反転してしまったアラブの精神世界がゆたかに立ち上がって、とても素晴らしい著作。後半の「イスラームとは何か」は、壮大で複雑なテーマを、いったん主要な要素にわけて、共通項をもとに組み立てなおすという意味文節理論を用いて論じられたもの。こちらもひとつひとつの語彙、表現、構造が、論理的にも日本語としても美しい。久しぶりに読書を心から堪能。