私がソフトバンクに入社して2~3年目のころ、当時はまだ通信といえばブロードバンド事業。先週の水曜日は、そのときに鍛えていただいた元上司(当時の宣伝部長)と部下一同が定期的に集まる飲み会で、南阿佐ヶ谷のとってもおいしい「牛酔い」へ。最高級のルビー色に美しいお肉が次々に出てきて、何を食べてもほんとに美味しい。しかし、網で分厚いお肉を焼きながら、ふとこの本の冒頭、赤身のひき肉をフライパンに入れて焼けるのが待ち切れず、30秒ほどで生のまま貪り食べるシーンが強烈にフラッシュバック。困った。
20代のころスティーブン・キングの作品が好きで、当時出ていた作品はほぼ全部読んだが(「呪われた町」とか今でも真剣にこわい)、全16冊の「ダークタワー」を何とか読み切ってあまりに大作すぎて息もたえだえ、自分の中のキング熱が燃え尽きた。それから長い時間が過ぎ、やっと読む気が復活の最新刊。舞台はフロリダの美しい島、海に面したコテージで静かに繰り返される創作活動の日々に「お、今回はこわくないな」と思いきや、ジワジワと不気味な影がさしはじめ、突然襲い掛かってくる非情で残酷な超自然パワー。キングの真骨頂である。何がこわいって、普通の生活のすぐ外に半歩踏み出しただけで異次元的な救いのなさが待っているという、なさそうでありそうなところが超おそろしい。
けれども、A5ランクの脂がふわっと口のなかでとろける極上お肉はやっぱり美味しく、相当量焼いてからお替りまでして頂いた。大盛のごはんに、〆の冷麺までしっかり食べたのに、赤身のダイエット効果で体重もちゃんと減っていた。大満足。