WEBマスターの読書日記

「木戸さんがこんなマメだったなんて」と大方の予想を裏切って続いているブログ。本、映画、感じたことなどをメモしています。

『プラダを着た悪魔 リベンジ! (上)(下)』(著者:ローレン・ワイズバーガー 訳:佐竹 史子)

2017-08-27 21:17:50 | 本と雑誌

耳鼻科の先生からジョギング再開のお許しも出たものの、ほんの2、3週間前まではまだひどい咳が止まらなかったので、ここで気をゆるめずに安静な生活とワークライフバランス維持に努めている。杉本貴司氏の「孫正義 300年王国への野望」を読み終わり、恵比寿でチェ・ゲバラの撮影した写真展を堪能し(写真も良かったが本人がめっちゃイケメン)、岩波文庫の「戦争と平和」を順調に読み進め(長い)、いっぺん通して観たかった「ゴッドファーザー」を手に汗を握りながら制覇(3作あわせて9時間超え。これまた長い)。

私の行きつけのネイルサロンでは、カウンターの後ろに小さなテレビが置いてあって、DVDでお洒落な映画を流している。ケアしてもらっている間に画面を見るともなく見ていたら、アン・ハサウェイ主演の「プラダ」が始まった。この映画のアンは最高にかわいい。「ヴォーグ」の名物編集長アナ・ウィンターにヘアスタイルがそっくりなメリル・ストリープの演技も素晴らしい。なつかしくて、小説の続編を読みたくなって、早速ダウンロード。下巻までノンストップで読んでしまった。

前作の最後にパリでブチ切れた主人公は、その後オリジナルの雑誌立ち上げに成功し、リッチな御曹司とも結婚して順風満帆な日々。そこにまた、あの悪魔があらわれて・・・ところが今回は、冷酷非道のヤバイ上司に振り回されっぱなしだった10年前と違い、だんぜん大人になったアンドレア。雑誌買収のプロポーザルに、やっと認めてもらえるかも!と舞い上がる相方エミリーと対照的、冷静に状況を観察し分析し、傷つきながらもベストな判断を下そうとする。スモアに船上パーティにマグロのお寿司と、ニューヨーカーの旬なトレンドが今作でも満載。


『セプテンバー・ラプソディ』(著者:サラ・パレツキー 訳:山本 やよい)

2017-08-19 16:44:19 | 本と雑誌

来る日も来る日もどんより曇った空とぱらつく雨の日が続く。8月ってこんなに長雨だったっけ。とはいえ、体調不良でプライベートの予定をすべて取り止めた私には雨模様のほうがむしろ好ましい。夏らしくスカッとした快晴だったら、海に行ってビールを飲んだり北海道でゴルフやおいしいジンギスカンを楽しんだりできないことが、さぞや恨めしかったことだろう。そういえば、だいぶ前にゴホゴホ咳をしながら麻布十番の耳鼻科に行ったとき、美味しい店が軒を並べるこの街はちょうどハッピーアワータイムで、駅から病院までの道にずっと、美しい琥珀色の空から気持ちいい風の吹き抜けるテラスが続き、心底、お酒の飲めないのがつらかった。アルコールだけじゃなくて、大好きなカレーも、スパイスのきいた料理は刺激で気管支を痛めるからと全部ダメ。夏なのに何を食べればいいんだ。

先週はひたすら体を休め、ノー残業、ノーストレス、ノーショートスリープと7時帰宅を徹底したおかげか、かなり長い間、断続的に続いた息苦しさと咳はすっかり治まった。薬をのんでものんでも続くので、これは抗生物質も効かない特殊なウイルスに肺が侵されているのかとおびえたら、耳鼻科の先生いわく「乾燥した中での寝冷え」との診断。嘘でしょう、東京の夏はこんだけ高温多湿だよ・・・と目が点になったが、エアコンの設定温度を2度上げ、長袖のシャツを着て、愛用しているカッシーナのタオルラックに濡れタオルをかけて寝たら、鼻の奥の炎症が一晩で治ってしまった。ここ最近、夏になると体調を崩していたのはこれだったのか。とはいえ、ちゃんと寝てちゃんと食べないと、と先生からも釘をさされる。

いいことは、自宅にいる時間が長いので読書が進む。第二次世界大戦下、ウイーンで原子核の研究に魅せられた女性科学者の生涯を軸に、アンシュルスから現代まで70年もの期間を壮大に描く長編。この作品でもヴィクは、悪党と取っ組み合ったり炎天下に廃棄薬品でドロドロの沼から書類をあさったりした後で、水の冷たいミシガン湖で沖合まで泳いで気分転換を図るというタフネスぶり。ところで本を読んでいても、アメリカの食事どきに必ず出てくる冷えたおいしそうな白ワインがうらやましくて仕方ない。と、先生に訴えたら、咳が止まったので来週からアルコールも大丈夫でしょうと。やったあ。


『上と外(上)(下)』(著者:恩田 陸)

2017-08-10 20:51:15 | 本と雑誌

 

この連休中は一切仕事しないぞ!と決めて、引きこもり生活。抗生物質に咳止めにアレルギー鼻炎を止める錠剤と色とりどりに何種類もの薬を三食ごとに飲む。薬は嫌いだが仕方ない。やっぱり体力が落ちていて少しフラフラする。今のうちに練習しようとピアノを弾く指にもなんだか力が入らない。それでも食欲はあるのが幸いで、きちんと栄養のある食事を摂って回復に努める。先週はお味噌汁をちゃちゃっと作る時間すらなくて、ろくなものを食べていなかった。それに今までずっと、忙しかった間は、週の半ばになると必ず定期的に眠れない夜が来る。これじゃあ病気にもなるわけだ。

療養中は念願の読書漬け、冬休みに読んだ「蜜蜂と遠雷」があまりにも良くて、同じ作家の別の著作をキンドルに落とし、ワクワクと読み始めた。これまた、めっちゃめちゃおもしろい。マヤの遺跡を抱えるジャングルに墜落した子供ふたりの過酷なサバイバル生活。食料なし水なし、血に飢えた巨大な肉食獣に迷宮みたいなマヤの地下水路、さらに火山が・・・と普通なら何回もジ・エンドな危険を、大人顔負けの根気と知恵で切り抜けていく。手に汗を握る疾走感に一気に読んでしまった。やっぱりこの人の魅力的なストーリーテリングは素晴らしい。

そういえば私の父も不眠症で、特に40代~50代にかけては日に3~4時間くらいの睡眠時間だった。母の手料理でお酒をがっつり飲んで12時くらいに寝て、4時前にはもう目がばちっと覚めてしまう。朝に漢字テストの勉強をしたいから必ず起こしてねと言うと、目覚まし時計をかけなくても比類ない正確さで叩き起こしてくれたものだ。私は父親似なので、うわ寝れないのは遺伝なのかしら、と思っていたら、忙しかった仕事が一区切りついてほっと神経がゆるんだのか今度は際限なく眠れる。密林に開けた石畳の上でリュックを枕に仮眠をとる描写がリアルなこの物語を読んだあとは、清潔なシーツとふわふわのブランケットがたまらなく快適である。


『私が失敗した理由は』(著者:真梨 幸子)

2017-08-09 16:18:12 | 本と雑誌

 

案件のスケジュールがみごとに重なって、日々忙しく、さすがに体調を崩してしまった。あ、疲れたなと思いつつ、軽い咳が出るのを耳鼻科で出してもらった薬でなだめて頑張っていると、刻一刻とひどくなってもう薬も効かない。しまった、私は気管支炎になりやすくて咳は要注意なんだったと思い出してもすでに後の祭り。さらに先週は玉川学園でのイベントで、だるい体で暑いところを駆け回っていたせいか、日だまりに置かれていたお菓子をばくばく食べたせいか、最終日の日曜午後になって熱中症を併発。ひどい咳と強烈な吐き気で、久しぶりに体力の限界に。

間の悪いことは重なるもので、うちのマンションは今大規模修繕工事の真っ最中、外壁を塗るためペンキよけのビニールシートで窓ガラスがすっぽり覆われてしまった。朝目が覚めても、夜くたくたになって帰宅しても、視界に入るのは一面灰色のビニールシートだけ。うう、私は自分の部屋から見える広い空と、夜はジュエリーみたいになる街の明かりがことのほか気に入っているのに。美味しいお酒とジョギングと長風呂というストレス解消法が、咳が出るためにすべて禁じられてしまっている中で、これは精神的にきつい。今振り返るとよく乗り越えられたものだ。

そして乗り越えてみると、この素敵に大きな解放感(笑)。史上最高に忙しい夏が終わった(と思いたい)。今日、明日と代休をとって5連休、咳が治まるまでプライベートの予定はすべてキャンセル。今朝は快適に目覚め、たまりにたまった洗濯物を片付けつつ本を読み放題。タイミングよく窓のビニールシートも今日撤去されて、夏の青空が広がる。この本で「イヤミス」というジャンルを初めて知った。読み終わったときに嫌な気分になるミステリーなんだそう。笑えておもしろかったけどな。