夢のように日は過ぎて (新潮文庫) 価格:¥ 460(税込) 発売日:1992-11 |
爪のお手入れをサロンでやってもらうようになったのは24歳のとき。新宿の近くに住んでいたので、伊勢丹の地下のオシャレな雑貨フロアの一角を占めていたアキコというお店によく行った。ここは表参道に本店があって技術もセンスも良い。土曜の午後、同じフロアにあったカフェで美味しいガレットとカフェオレを頂いたあと、1時間半くらいゆったりと爪をけずったりネイルを塗ってもらって過ごす。髪や爪や肌へのケアに時間をかけるのは、女性の特権だ。
この人の書く女性はほんとにリアルで、好き。現実的で胆がすわっていて、それに比して根性なし、器が小さい、働かない、自分のことしか考えてない・・という、とりわけダメダメな男性陣とのショートストーリー(笑)。周囲を見ても、よく気がついて人に配慮ができて、仕事への責任感が強いのは女性が多い。両性それぞれ長短あるけれども、私はやっぱり女性に生まれてきてよかったなと思うのである。
ところでこの前、新宿に行く用事があってついでに寄ってみたら、伊勢丹の地下はすっかり様変わり。あのガレット、素敵においしかったのになぁ。十年一日のごとく変わらないのは紀伊国屋書店とカレーの中村屋。でもお店が変わっても新宿のにぎやかで猥雑それでもセンスのよい不思議な雰囲気はそのまま。田辺聖子さんの小説のよう。