23日の祝日は再びの撮影でスタジオへ。今回は午後だけだったので、終わってから井の頭線で渋谷に出て、約束していた友人と食事をする。嬉しいことに、ちょっと早めのクリスマスプレゼントを頂いた。ジョー・マローンのコロンで、ポメグラネート・ノアールという香り。ここ10年以上、自分の肌に合っているものから変えたことがなかったが、つけてみるとこれが素晴らしい。甘いのにしつこくなく、少しエキゾチックで、とても気に入った。体を動かすと、ふわっと淡く余韻が残る。このブランドがブレイクしているのも頷ける。
香水を変えてみると、刺激でいつもより嗅覚が鋭くなったみたい。風邪をひいている間は、東京が嫌で、きれいな緑や海に囲まれた北海道か沖縄に早く逃げ出したいとばかり考えていたが、健康が戻ってみると、都会の空気も悪くない。雪が降る前の冷たくて凛とした香りや、混雑したお店から漂ってくるお醤油だしの混じった湯気、冬を迎える街路樹から伐り出されて道路に積もる葉の匂い。
空に吹き渡る風とコーヒーをテーマにしたこの本も、片岡義男氏らしい独特の雰囲気を存分に楽しめる。晴れの日、土砂降り、曇り空、バイク、ハワイの朝、学校をサボる繊細な少年など、さまざまな景色に気持ちのいい風が通り抜けていく瞬間を切り取った短編がぎっしり。この人の小説を読むと、いい大人なんだから時間の過ごし方に余裕を持たなきゃと、普段せわしない日々の自分に反省しきり。