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現代語訳 論語と算盤 (ちくま新書) 価格:¥ 798(税込) 発売日:2010-02-10 |
日本の資本主義の父、渋沢栄一の晩年の講義をもとにした現代語訳。尊皇攘夷の少年志士から、徳川慶喜に仕え、フランスへの渡航を経て明治政府の大蔵官僚として活躍し、33歳で退官して、92歳で亡くなるまで、産業界はこの人のもとで近代化を遂げた。東京電力、東京ガス、JR、王子製紙、サッポロビール、帝国ホテル、東京証券取引所・・・渋沢栄一が設立にかかわった会社の数、なんと470社。
今や世界のGDPの8.9%を占める国のビジネススキームを作り上げた途方もない巨人にいわゆる偉才の奇矯さはみじんもなく、誠実さを第一とし、良識を分かりやすく説き、その骨太な思考は揺るぎない巨木のよう。「我々は自国蔑視の風潮が強すぎる。いいかげん欧米心酔の夢から覚め、日本を誇る器量を持て」と高らかに言うくだり、講義を聞いていた人たちは満場、拍手喝采だっただろうなぁ(笑)今の日本にはしっかりした説教をしてくれる大人が減ってしまったけれど、こんなスケールの大きい先達が基礎を作ったと思うと、誇らしい気持ちがわいてくる。良書。