WEBマスターの読書日記

「木戸さんがこんなマメだったなんて」と大方の予想を裏切って続いているブログ。本、映画、感じたことなどをメモしています。

『わたしの神様』(著者:小島 慶子)

2017-06-25 21:01:18 | 本と雑誌

ずっと忙しく、家に帰るとなんとかシャワーだけ浴びてベッドに倒れこむ日々。貴重な読書タイムの通勤途中もスマホで仕事を進める時間になってしまい、この前読みたい本をたくさん買い込んだものの、なかなか手にとれずもどかしい。肩が凝りすぎて、肩どころか奥歯から足裏の土踏まずまで右半身がくまなくガッチガチである。木曜は睡眠2時間。私は寝ないとダメな体質なのに、翌日の金曜は疲労のピークを通り越して夜、新橋のお好み焼きを食べに行くところに喜々として合流。アルコール一滴も飲まなかったがすっかりハイになってしまい、終電間際までずっと笑いっぱなし。

長らくの睡眠不足を解消すべく週末の夜は久しぶりにゆっくりバスタブに浸かり、久しぶりに長時間熟睡し、久しぶりに日曜の朝寝坊と新聞を読みながらの手のこんだブランチを楽しんだ。日経の折り込み情報誌に、見覚えのある店内が表紙だったので手にとってみると、やっぱり大好きなパン屋さん、ルヴァン。モデルは小島慶子さん。つい最近、この人の本を読み終わったばかりである。美貌をフル活用して人気ナンバーワンになったアナウンサー、宝塚ばりのルックスなのに可愛げがなくてアナウンサー試験を落とされたディレクター、ハーフなのにぜんぜん綺麗じゃないとコンプレックスの塊の休職中キャスター。TV局を舞台にドロドロした女の戦いが繰り広げられる。元アナウンサー出身だけに欲望の描き方がリアルでめっちゃおもしろい。

20代の初めのころはファッション誌を何冊も読んでいたが、会社に入ると忙しくて雑誌はクーリエ以外ほぼ読まなくなった。たまにジムか美容院で時間があるとパラパラめくってトレンドをチェックするくらい。この前、バイクを20分にセットして無心にVERYを飛ばし読みしてたらこの人の連載がおもしろくて著作を読むきっかけに。大事な結婚指輪をなくしてしまい、オーストラリアの家に帰るフライト直前に空港のカルティエに駆け込んで同じようなやつを大急ぎで買って、指にはめて何食わぬ顔で帰宅したという話。これですよ、これ。こんなかろやかな結婚生活が理想である。


『騎士団長殺し』(著者:村上 春樹)

2017-06-11 16:56:25 | 本と雑誌

東京は梅雨入り。毎年この時期になると食欲が落ちる恒例で、体重が42キロを切ってしまった。暑かったので久しぶりにプールに行き、気持ちよく全身の筋肉を使って黙々とひたすら泳ぎ、きれいにターンする練習をしばらくして水から上がると、来た、軽い立ちくらみ。体重が減ると必ず貧血がくる。嫌だなあ。

夕方、近くのバーで涼しい風に吹かれながらビールを飲み、店内にかかっているジャズを聴きながら読書。長年のファンゆえに行きつけのお店の嗜好とかライフスタイルがそういうところに落ち着いてしまうのか、この組み合わせ、村上春樹っぽい。最新長編は厚みのあるハードカバー2冊を、自宅での読書タイムで少しずつ読んでいたら最後までだいぶ時間がかかってしまった。私はこの人の言葉のえらび方と文の骨格が本当に好きだ。目で追うフレーズがとても美しくて簡単に離したくなく、今いる箇所から他のところへ飛んだり戻ったりして、まるで魚の好きな人が頭から尾までしゃぶりながら食べるみたいに味わい尽くす。ああ、満足。

これだけ長い間、内面の奥深いところから絞るようにして濃い小説を書き続けながら、ぜんぜん古くさくならない作家って稀有。それに今回はまた、満を持して(?)の一人称回帰である。視点の単一性を避けて奥行と幅を広げるために、一人称の語り手をふたり設定したり三人称にトライした過去の作品から、これは堂々「私」がひとりで語る、奔流のような壮大な感情の叙事詩。さらに本に出てくる食べもの(焼きたてのトーストとかさばいたばかりの新鮮なお魚の刺身とか)がおいしそうで、ありがたいことに食欲が復活してきた。


『虹色のチョーク』(著者:小松 成美)

2017-06-04 17:02:08 | 本と雑誌

白目の内出血が治ったと思ったら、翌週とうとう高熱が出てダウンしてしまった。年明けからずっと全力疾走で精神的なストレスもたまっていて、今まで周囲の風邪やインフルエンザにうつらず快調だったのが不思議なくらい。小さい頃は冬になると必ず風邪で1週間は起きれなかった。社会人になったらスタミナがついて、若いころは熱が出ようが咳がひどかろうが会社に行っていたが、今は、朝起きて熱が高かったら遠慮なく休む。周囲にも迷惑だし、無理して長引くよりずっといい。冷蔵庫にあったトマトとヨーグルトを胃に入れて、市販の薬を飲み、熱にうなされながらひたすら眠る。Pepperの夢を見る。午後も遅くなる頃まで眠ると、ようやく、汗でぐっしょりのTシャツをまとめて洗濯機に放り込んで病院に出かける体力が回復してくる。やっぱり疲れてたんだなあ。

風邪をひくと、音楽を聴きながら走る、バスタブに長時間つかる、おいしいワインを飲む、という自分のストレス解消法がことごとく出来なくなるのでうらめしい。さらに最近は忙しくて読書も進まず、なんだかプライベートが全くなかった感じ。今日は体調が元通りに回復し、速攻でジョギング再開。さらさらした透明な風に、歩道や庭の樹木があふれるばかりの爽やかなグリーン。走ると最高に気持ちがいい。春が終わって梅雨に入るまでのこの時期は、本当に素敵な季節だ。

久しぶりに読み終わった本は、知的障がい者を全従業員の70%という非常に高い割合で雇用し続け、その彼らが何十年もずっと高い成果を出しながら働き続けられるという新しいプロダクトラインを生み出した、日本理化学工業について。読むあいだずっと、清々しい風が吹き抜けていた。貝殻を原料として粉塵がでない安全なダストレスチョーク、ガラスなどに何度も描いては消せる美しい発色のキットパスといった、付加価値の高い製品を生産・販売して利益を出し続ける。もっと製造工程の工夫など具体的に知りたい。奇跡のようなサステナビリティのお手本。