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種の起源〈下〉 (光文社古典新訳文庫) 価格:¥ 880(税込) 発売日:2009-12-08 |
シベリアで約4万年前の新しい人類の指の骨が見つかったというニュースを、ちょうどこの下巻を読んでいるときに知った。
進化論、シルル紀よりも前にどこか一箇所で誕生した種が、進化と分岐を繰り返しながら世界中のあらゆる場所に分布したという壮大な仮説。ワトソンとクリックによるDNAの構造解明から100年も昔、種の個別創造という宗教的見解に反証するためにはこれほど膨大な標本検証とそこからの考察と、緻密な論理体系が必要だったことにまず気が遠くなる。
そして、気になる箇所を読み返してみて、ダーウィンが一語一句をいかに気をつかって書いたかに気づく。前の論考と矛盾しないよう、予想される反論に納得のいく回答ができるよう、実験からのデータに即した正確な表現になるよう。さぞかし和訳も大変だっただろう。そのおかげでわかりやすく、読むのは大変おもしろかった。