どこか古典派(クラシック) (中公文庫) 価格:¥ 580(税込) 発売日:2002-10 |
ピアノは、頭や指だけでなくペダルを踏む足先の神経、腕や背中の筋肉、腰、くるぶしと、まさに全身を使う。それが健康によい?のか、コンサートピアニストには90歳、100歳までステージに上がる人もいるという。それに、楽器をやると頭(特に記憶力)が抜群によくなるらしい。私も今後の人生、ずっとピアノを弾くと決めたので(笑)、たとえ練習曲が難しくて気落ちするような時でも、「ステップバイステップ」と自分に言い聞かせながらがんばっている。どんなに難しい曲でも、練習次第で弾けるようになるから不思議で楽しい。
12月にサントリーホールで聴いた中村紘子さんのデビュー50周年コンサートは、すごい迫力だった。
天才的な技量ばかりか美貌、頭脳、それに文才まで、「天は二物を与えず」なんてこの人の場合は当てはまらない、という後書きが多く、それを読んで「恵まれてるなぁ」と誤解する人も多いと思うのだが、それは違う。おそらく凄まじい努力がいろいろなものを支えているのだ。
たとえば、ショパン・コンクールに参加されたとき、食料事情の悪さから体力が落ち、本番の日は高熱をおして演奏。でも、結果日本人初という輝かしい成績をとる。西洋音楽の本場で、アジアの、しかも女性ピアニストなんて認められていない時代だ。プレッシャー・緊張感・体調最悪と3拍子そろった中で、最後まで完全な演奏を通すなんて、とてもなまはんかな意志ではない。
つらいこと大変なこともたくさんあったと思うのに、エッセイでも、それを微塵も感じさせない明るいユーモラスな話題。次は、ご主人の庄司薫氏の本も読んでみよう。