WEBマスターの読書日記

「木戸さんがこんなマメだったなんて」と大方の予想を裏切って続いているブログ。本、映画、感じたことなどをメモしています。

『コンラッド短篇集』 (著者:ジョウゼフ・コンラッド 訳:井上義夫)

2010-02-27 19:32:36 | 本と雑誌
コンラッド短篇集 (ちくま文庫) コンラッド短篇集 (ちくま文庫)
価格:¥ 903(税込)
発売日:2010-01-06

コンラッドを初めて読んだ。

モノゴコロついたときから読書が好きで、時間がたっぷりある小・中学校の夏休みなんかは、読みごたえのあるむつかしい本(源氏物語の訳注つき原文とか資本論)を買ってもらって、かじりついて読んでいた。アルバムでそのときの写真を見ると、小さい女の子がひたいにシワを寄せて一生懸命に指でページをたどっている、ちょっと恥ずかしくて笑ってしまった。

子供のころ、読んですぐには分からなくても、二度三度と読むと、そのあと何かを経験したときに、あの箇所に書かれていたことはこういう意味なんだ、と理解できることが多くて、それが感性や精神を大人のものに成長させるフックになっていたように思う。

この作家は今の自分にとってそういう作品を書く。一読して、まだ追いついていないなと思って、嬉しくなってもう一回読み直した。心にとまった文章をおぼえると、時間がたってから、ふと理解できるようになる時がくる。ああ前に進んでいるなという気がする。そういう作品はとても貴重。訳が悪いのでなければ(笑)


『春情蛸の足』 (著者:田辺聖子)

2010-02-25 14:15:33 | 本と雑誌
春情蛸の足 (講談社文庫) 春情蛸の足 (講談社文庫)
価格:¥ 630(税込)
発売日:2009-06-12

今日は有給消化月間でオフ、午前中はコーヒーをいれて自宅でゆっくり仕事。書きものが進む。会社のTwitterアカウント@30th_sbの今後のアウトラインを仕上げてから、一区切りでおうちごはん。

前の週末に作ったミートボール(・・・近所のイタリア料理のお店でレシピを教えてもらった。たまねぎのすりおろしとチーズを入れる、すごく美味しい)の残りをソースにして、パスタ。ふだん、仕事のある日は外で食事することが多いので、こんなふうに家で簡単に作って食べるのが幸せな気分。

高級フレンチで、凝ったソースのお料理なんかを食べると、なんだか完成させるまでの間のシェフの怨念がこもっているようで(笑)、どうも最近、美味しいと思わなくなってしまった。この本にある、すきやきとか、フグ鍋のあとのお雑炊とか、旬の食材と、いい味付けで、手もかけずに嬉しくいただけるものが一番だと思う。それにしても関西では「煮る」を「たく」というのね。なんて美しい日本語。


『次世代メディアマーケティング』 (著者:ケント・ワータイム/イアン・フェンウィック 訳:伊東奈美子)

2010-02-16 13:06:48 | 本と雑誌
次世代メディアマーケティング 次世代メディアマーケティング
価格:¥ 2,415(税込)
発売日:2009-12-14

半年ほど前、スケダチの高広さんと久しぶりにお会いしたとき、「いま、監修している本があるんですよ」とおっしゃっていたので、刊行を楽しみにしていた。先日、編集者の織茂さんから送っていただき、このデジタル領域の知の集積はすごいなと骨太な内容に驚く。

2000年、博報堂さんが出されたインタラクティブマーケティングの画期的な本を読んで、インターネットにはこんな素晴らしい世界が広がっているんだと感動したが(笑)、それから10年後の今、手法や表現の、ユーザー側の企業側の、デジタルが意味するものの、変わってきたこと、そして変わらないことを考えつつ読む。

ブランドの動的な(あるべき)マネジメントの手法は激変しても、より良いブランドコミュニケーションをお客様に提供しようと重ねる企業側のすさまじい努力は変わらない。これから勉強する世代には、先人が注ぎ込んだ膨大な時間を超えるくらいの気概をもちつつ、そんなこと知っていて当たり前と軽やかに仕事をしてほしい。読んでおいたほうがいい次世代の教科書。


『学問のすすめ』 (著者:福澤諭吉 訳:斎藤孝)

2010-02-14 21:21:59 | 本と雑誌
学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書) 学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)
価格:¥ 798(税込)
発売日:2009-02-09

ソフトバンクという激動の会社で仕事をしていると、読書する時間もないと思われるようで、ブログを見ていただいた人によく「速読法ですか」「ナナメ読みですか」と言われる。いえ、そんな邪道な読み方はしていません(笑) 本を開くときは至福の時間、表現の組み立て方の巧拙や、時代背景、世界観に思いをめぐらせながら、一行一行、うっとりと読む。

そんな読書好きにとって、週末は1時間単位で本に没頭する時間がとれるのでとても貴重。昨日は現代語訳された「学問のすすめ」を読んだ。

真の学問のありようとは、限りなく緻密に内面を深め、外にむかっては限りなく活発にこれを活かすこと、そして、その知恵で堂々と勝負する相手は世界。目をみはるほど高い理想と、実践するための現実的な心構えを、とてもロジカルにいきいきと説く。

これが、少し前まで250年にも渡る鎖国をしていた時代に書かれたものとは信じがたい。日本人はこういう先達を歴史にもっていることを誇りにしていい。今年のベスト本の一冊。


『ミレニアム1(下)』 (著者:スティーグ・ラーソン 訳:ヘレンハルメ美穂・岩澤雅利)

2010-02-11 20:57:41 | 本と雑誌
ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 下 ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 下
価格:¥ 1,700(税込)
発売日:2008-12-11

今日は珍しく、週半ばの祝日。6月に発表する新30年ビジョンのプロジェクトのため、朝から少し仕事。資料をいくつか読んで、あらためて、この素晴らしいプロジェクトのコミュニケーションに責任ある立場で関われることが嬉しい。

午後、春もののお洋服を買いにお出かけ。必需品だから仕方なく季節ごとにまとめ買いするが、ショッピングは疲れるのでかなり憂鬱。疲れるといっても、御用達のメゾン2店に行って、あらかじめカタログを送ってくれているので、そこからサイズのあうものを選ぶだけなのだけれど。書店ならうっとりと何時間でも幸せに過ごせるのに、興味ないものは時間の無駄にしか感じない、人間て不思議なもの。

今週の読書タイムにはずっとこれに没頭していて、買い物帰りに立ち寄ったカフェで読み終える。冷たい雨がふる寒い日、この本も北国スウェーデンが舞台なので気分的にぴったり。訳もいいし、登場人物がとにかくユニークでおもしろいのだ。早く2巻目を読みたい。