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コンラッド短篇集 (ちくま文庫) 価格:¥ 903(税込) 発売日:2010-01-06 |
コンラッドを初めて読んだ。
モノゴコロついたときから読書が好きで、時間がたっぷりある小・中学校の夏休みなんかは、読みごたえのあるむつかしい本(源氏物語の訳注つき原文とか資本論)を買ってもらって、かじりついて読んでいた。アルバムでそのときの写真を見ると、小さい女の子がひたいにシワを寄せて一生懸命に指でページをたどっている、ちょっと恥ずかしくて笑ってしまった。
子供のころ、読んですぐには分からなくても、二度三度と読むと、そのあと何かを経験したときに、あの箇所に書かれていたことはこういう意味なんだ、と理解できることが多くて、それが感性や精神を大人のものに成長させるフックになっていたように思う。
この作家は今の自分にとってそういう作品を書く。一読して、まだ追いついていないなと思って、嬉しくなってもう一回読み直した。心にとまった文章をおぼえると、時間がたってから、ふと理解できるようになる時がくる。ああ前に進んでいるなという気がする。そういう作品はとても貴重。訳が悪いのでなければ(笑)