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輝く日の宮 (講談社文庫) 価格:¥ 770(税込) 発売日:2006-06-15 |
インターブランド社のランキング発表のため、水曜の夜、帝国ホテルでのレセプションに出席してきた。今年は当社は15パーセントのブランド価値アップを達成し、50億ドルを初めて超えた。これで胸をはってお祝いのワインを飲むことができる。マーケティングや広報、ブランドのスタッフはどの会社も女性が中心になってきた感があるけれど、しかし残念ながらパーティ会場の大部分はまだ男性であった。
いろんな賞をとったこの小説は源氏物語をテーマに、たとえば「雲隠」(光源氏の死を暗示する、タイトルだけで本文なしの巻)のように、主人公の父親の国学者が病気で亡くなるシーンも本文の中からすっぽり隠されるとか、冒頭の文中小説が、初巻「桐壺」のあとに欠落した「かがやく日の宮」の理由を示すとか、構成や伏線にも本家どりのさまざまな仕掛けがこらされていて、千年も前に、おそろしいほど斬新なアイディアと完成度だった源氏物語をあらためて読みたくなる。
主人公は「さう、さうだつたの」「ぢや、さふしませう」など旧かなづかいで表現されたやわらかい感性をもち、だけど精神的もしっかり自立していてカッコいい、美しい日本文学者の女性。若い女性の生活へのみずみずしくこまかな描写も、とても70歳をこえた大先生の書いたとは思えない。そういえば丸谷才一氏、小澤征爾さんの学生時代の英語の先生なそうだ。初めて読んですっかりファンになってしまった。