WEBマスターの読書日記

「木戸さんがこんなマメだったなんて」と大方の予想を裏切って続いているブログ。本、映画、感じたことなどをメモしています。

『驚くべき日本語』(著者:ロジャー・パルバース 訳:早川 敦子)

2014-07-26 18:08:39 | 本と雑誌
驚くべき日本語 (知のトレッキング叢書)驚くべき日本語 (知のトレッキング叢書)
価格:¥ 1,080(税込)
発売日:2014-01-24


この前、久しぶりに丸善に行き、あちこちぶらぶらしながら本を選んで2時間ほど過ごした。忙しさの合間にずっとインターネットで買っていたら、数日後には自宅に届くのでとても便利だけれど、知っているもの、読みたいものしか選ばないので、なんとなく興味の視野が狭くなる感じがする。実際の書店で、巨大な本棚の回廊を、あぁこんな本もあるんだと手に取りながら歩きまわっていたら、ものすごーく心が潤って、大満足。



そのとき買った1冊。著者は、大人になってから勉強しはじめて、ロシア語、ポーランド語、日本語と、それぞれ難しい言語をネイティブ並みの流暢さであやつれるようになったアメリカの作家である。それも言語の天才とかではなく、「最初はフツーに全然しゃべれなかった」ところから、「頭の中をいったん真っ白なタブレットにして、その国の言葉を赤ちゃんみたいにそのままおぼえていく」要領でどんどん習得。その結果、「英語でも中国語でもなく、日本語がLingua franca(世界の共通語)にふさわしい」と絶賛する。



英語でなく日本語をしっかり理解し堂々と話すことが、日本の真の国際化にとってまず重要、とか、古来、言葉は使いやすいように柔軟に変わってきた歴史を持ち、「ら」抜きの「~れる」や省略語も、正しい日本語の衰退ではなくむしろ進化である、など、通説をすいすい引っくり返す爽快さ。言語体系のロジカルな分析と、表現のハッとするような美しさがとりどりに散りばめられていて、右脳派も左脳派も満足できる1冊。