WEBマスターの読書日記

「木戸さんがこんなマメだったなんて」と大方の予想を裏切って続いているブログ。本、映画、感じたことなどをメモしています。

『マンション格差』(著者:榊 淳司)

2018-01-14 17:20:10 | 本と雑誌

エリア、物件ともに良いと思って即決したマンションは、相性が良かったのか競争率10倍でもスムーズに決まり、満足しながら暮らしている。そして大規模修繕の時期をむかえ、せめて住んでいるところに少しでも貢献しようと大規模修繕委員会に参加したら、女性が私ひとりしかいなかったために全員一致で副委員長に推挙されてしまった。「いえいえ、海外に行く可能性がありますし」と固辞したものの、「その時はその時で」と押し切られて数年、うちのマンションも工事がスタートし、この春ぶじに竣工が近づいている。

仕事がいちばん忙しく疲労でクタクタ、雨も多く体調を崩した夏の時期に、部屋の窓ガラスが全面シートで覆われて、フラフラしながら帰ってくると目に入るのはのっぺりしたグレーだけという泣ける日もあったが、昨年12月、うちの面の足場と防塵ネットが取り外されたとき、ベランダがきらきらとまぶしく輝いていて思わず感動した。マンションの大規模工事というのは委員会が立ち上がってから数年がかりの大変なもので、それがトラブルなくきちんと仕上がりつつあるのは、当時立候補された委員長がさすが行動力、判断力、調整力ともに素晴らしい方であり、経験が豊富な建築コンサルタントと修繕を請け負う会社をコンペで決め、管理会社と折衝しながらいろいろ乗り切ってくださったおかげである。

日本では年に10万戸のマンションが新築されていて、年々供給過剰で空き家率も上がっているという。需要と供給のバランスで完全に買い手市場になる将来、売るときに購入価格を下回らない優良物件と、値引き前に買って割高なばかりかなかなか売れない可能性がある物件では雲泥の差。そのポイントと、マンションの広告で良しあしを見分けるコツ、大手デベロッパーの評判まで、わかりやすくおもしろい。読む前と後で、物件への見方がかなり変わる。


『ピンヒールははかない』(著者:佐久間 裕美子)

2018-01-08 18:01:33 | 本と雑誌

2週間の休暇もあっという間に最終日。本棚を整理したら部屋の模様替えをしたくなり、年始はインテリアショップと家電量販店へ。せっかちな性格ゆえと基本的に買い物は疲れるので、あれこれ見て回るということがない。いまは何でもネットで情報がとれるから、デザインと色のチェックや採寸などは事前に済ませておく。その場で即断即決だからか、接客してくれる店員さんが誰しも一瞬、「えっ、もっと説明を聞かなくて大丈夫ですか?」というような表情をする。

それでもけっこう時間がかかって、読みたい本がたくさんあるのに、ほとんど読書の時間がとれなかった。今日、寒い中で自宅に帰ってきて玄関のドアを閉め、このあともう外に出ないでいい、家事も済ませてあるし、こもってぬくぬく本を読もうと思ったら、なんだか自分でもおかしいくらい気分があがる。まぁもう休暇は終わりなんだけど(笑)

ニューヨークで20年暮らすライターの佐久間裕美子さんのエッセイを読了。エネルギー全開でいろいろな物事にぶつかって咀嚼していく中でも一貫して凛とした姿勢がとても魅力的。スキーで骨折してひどい目にあったあと、また骨折するかもしれないリスクも含めて冬山の耳元で風をきる素晴らしさを選ぶというフレーズにしびれる。新年のはじまりに気持ちの襟元をそっと正してくれる本。


『これは経費で落ちません!(1)~(3)』(著者:青木 祐子)

2018-01-02 16:12:57 | 本と雑誌

年末年始にリフレッシュ休暇を組み合わせて、今年はなんと2週間という贅沢な冬休み。みんなから、休暇中は海外(それも遠方)ですか?と聞かれるのだが、引きこもりの私は喜々として自宅にこもる。できることなら2週間ずっと、海外どころか外に一歩も出ずにピアノと読書に没頭したいくらい。とはいえ休暇に入ってまずやることは、恒例の大掃除。うちはモノが少ない上に家事をマメにしているため、客観的にみて必要もないのだけれど、断捨離好きにとってこの大掃除というイベント、エンドルフィンが分泌される絶好の機会なのである(笑)。今回は3つある本棚に手をつけるのが目玉で、バッサバサ捨てる。

去年は大吉だったせいか良書にも恵まれた年で、読む本読む本どれもおもしろかった。中でもベストワンは、恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」。繰り返し読みたい、歳をとっても読み返したい本は、紙だとどうしても経年劣化するのでまとめてKindleに切り替える。時間をかけて整理、特に10代、20代に買った書籍は全部処分して、あーすっきり。片付いて大晦日からは家族と過ごし、今日は年始恒例の、松陰神社にお参り。おみくじをひいたら何と、今年も大吉だった!やったぁとニコニコしながら、お正月でも開いている頼もしいコロラドに寄って、コーヒーのいい香りに包まれながら読書タイム。

中堅どころの石鹸と入浴剤のメーカー、天天コーポレーション。企業活動のすべてが出納という形で集まってくるカナメの経理部を舞台に、横領あり、誤解あり、私物化ありの多種多様な経費トラブルが繰り広げられる。同僚の女子が婚活崖っぷち!と必死に焦るのを見て、独身社会人の恋人なし一人暮らしはこんなに完璧な生活なのに普通は違うのか!?と素でうろたえる主人公の森若沙名子、入社6年目。もし自分が大卒で経理に入っていたらきっとこんな感じ!と圧倒的に親近感がわく主人公のユニークなキャラクター設定、おもしろくてつい3巻一気にまとめ読み。