WEBマスターの読書日記

「木戸さんがこんなマメだったなんて」と大方の予想を裏切って続いているブログ。本、映画、感じたことなどをメモしています。

『ビューティ・ジャンキー』(著者:アレックス・クチンスキー 訳:草鹿 佐恵子)

2014-05-25 20:14:11 | 本と雑誌
ビューティ・ジャンキー-美と若さを求めて暴走する整形中毒者たちビューティ・ジャンキー-美と若さを求めて暴走する整形中毒者たち
価格:¥ 2,160(税込)
発売日:2008-02-28


筋肉をほぐすためにジムのプールで泳いでから、ぶらぶら歩いて帰る。5月の夕暮れ、風が吹きそよいで心地よい。自宅に最新型のプラズマクラスターを導入してようやく軽くなってきたものの、1か月前はまだ半病人だったことを考えると、週末ちゃんと出かけられる生活が奇跡的。



まだ走れないけれど体を動かしたいのと、兄嫁から水泳で喘息が治った話をきいて、定期的に泳ぐことをはじめた。ゴーグルをつけてうす青い水のなかをゆっくり無心に泳いでいると、腕からも脚からも、こわばった余計な力がだんだん抜けていって、体じゅうがリラックスする。私は小さいころ、極度に水がこわくて、泳げなかった。小さいころというか、高校生になるまで、手を動かしたとたんにぶくぶく沈むりっぱなカナヅチ。それがある日突然、スイッチのオフが切り替わったように、いきなり泳げるようになった。



まるで神様からの素敵なギフトのように、ずっと出来なかったものが、突然できるようになる心境に近いのかもしれない。100万人単位で顧客が増え続けるアメリカの美容整形業界。いまだ牛乳石鹸を愛用する私など、まるで異次元のような話だが、フェミニズムと副作用を同じはかりにのせない特殊なビジネスモデル、読んでるだけで超こわい。




『ローマ人の物語(8)~(10) ルビコン以前』(著者:塩野 七生)

2014-05-24 15:58:11 | 本と雑誌
ローマ人の物語〈8〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(上) (新潮文庫)ローマ人の物語〈8〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(上) (新潮文庫)
価格:¥ 432(税込)
発売日:2004-08-30


ぽつぽつ根気よく読み続けているプルーストが残すところあと1冊となり、本屋に行くたびに横目で見ていたこのシリーズに手を出すことにした。ローマ史はラテン言語の国の、歴史はもちろん人文科学、自然科学、すべての文化の基礎。2000年も前、紀元前という時代に、非常に高度な政治システムと法の体系、洗練された華やかな知識と教養をもって発達したローマ帝国の物語は、どうしても読んでみたかった。まずはシーザーからはじめる。予想にたがわず、めちゃめちゃおもしろい。



40歳まで泣かず飛ばずの借金漬けで、そこからガリア(現フランス)に8年にわたる遠征、いきなり連戦連勝。緻密な戦略と疾風怒濤の行動力、率いる軍団の兵士から命をかけて慕われる人間味、遠い戦場にいながら首都ローマは元老院の、多くの敵をむこうにまわして一歩も引かない、したたかな政治戦術と情報収集能力。征服したガリアに通商網を作り上げる壮大な商売の才。さらに、戦場で口述筆記させた「ガリア戦記」に代表される天才的文筆家、それにオシャレだし、美男だし、女性にもてる。パーフェクトすぎ(笑)



最後のアレシア攻防戦にて、ガリアの全部族をまとめて戦ったヴェルチンジェトリックスの、「戦略は正しかった。しかし、相手はカエサルだった」まで一気に読んで、ただでさえ会社から帰るのが遅いのに、輪をかけて寝不足だ。でもとまらない。次はいよいよ、ルビコン川を渡る。