WEBマスターの読書日記

「木戸さんがこんなマメだったなんて」と大方の予想を裏切って続いているブログ。本、映画、感じたことなどをメモしています。

『失われた時を求めて〈9〉 第五篇 囚われの女Ⅰ』(著者:マルセル・プルースト 訳:鈴木 道彦)

2013-01-26 16:05:49 | 本と雑誌
失われた時を求めて 9 第五篇 囚われの女 1 (集英社文庫ヘリテージシリーズ) 失われた時を求めて 9 第五篇 囚われの女 1 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
価格:¥ 950(税込)
発売日:2007-01-19

今週水曜はオフにして、お正月休みに大塚家具で買ったラグや机、キッチン用の敷物を届けてもらった。冬は床暖房でほかほかと暖かいリビングまでパソコンを運んでいたが、机を買い換えたついでにお部屋の模様替え。ダスキンのスタッフの人に来てもらって使いやすいように家具を移動し、かなり快適に。


昨晩は麻布十番のターチで食事。福田敏也さんに教えてもらった美味しい沖縄料理、前はだいぶ行っていたが、ここ2年ほど気持ちに余裕がなかったせいか、気づけば会社や自宅の近くのお店で飲むことが多かった。ゆっくりワインと一緒に心にたまっていたものを聞いてもらって、ここずっと神経がささくれて夜明けに必ず目が覚めていたのが、昨晩はほんとうに久しぶりにリラックスして眠れた。


長いので数年ごしになっているこのシリーズも9巻目。書き手にパリに伴われ、一緒に暮らすことになったアルベルチーヌ、プルーストの男性の恋人がモデルのファム・ファタルが、ベッドでぐっすり眠る表紙の美しいこと。この巻から、プルーストの没後の出版である。死後出版が意味するところは、プルーストは全巻を通して何度も何度も書き直しと部分的な構成変更を繰り返しているので、この巻から、作者本人の執拗な校正作業が中断されてしまったということ。だから、読んでいてつじつまのあわないところも多くなるが、それもまた「失われた時」らしい魅力の一つ。今年中には読み終わるかな。


『江戸の食空間』(著者:大久保 洋子)

2013-01-23 19:58:21 | 本と雑誌
江戸の食空間――屋台から日本料理へ (講談社学術文庫) 江戸の食空間――屋台から日本料理へ (講談社学術文庫)
価格:¥ 882(税込)
発売日:2012-11-13

日曜の夜、龍馬伝以来3年ぶりにNHK大河を見るようになった。幕末の会津を舞台にした「八重の桜」は、綾瀬はるかさんがとてもキュートなだけでなく、配役の男性陣がハンサムぞろい。50年を越える看板番組も、お茶の間の時間はケータイとわけあう時代、結局視聴率は人気芸能人頼み・・・ということもあるのだろうけれど、起用された俳優の演技の真剣さも、映像の構成もおもしろく、音楽が坂本龍一で、さらに幕末は人物の層が厚いせいか最後の歴史探訪までいい。


勤勉で真面目で優しい日本人、私たちは日本に生まれたことをもっともっと誇ってもいいと思う。特に江戸後期から明治にかけての50年間は、政治経済、文化、医学とも傑物を最も多く輩出した時代。それは鎖国から開国、富国政策と急ピッチの転換のなかで、必死で勉強して仕事して才能を十二分に使い切る日本人の国民性が、時代とぴったりあったから。


時代の中心地で、膨大なエネルギーを生み出すための胃袋を支える産業に興味をひかれて読んでみたら、江戸の台所はかなり外食中心で衝撃。というか庶民の住んでいる長屋にそもそも台所なんてないし、キッチンで一食ごとに食材を調理するのは大名と料理屋くらい。一般人は日中しっかり働き、食事は現代の回転寿司、天丼の出前、駅の立ち食い蕎麦のルーツである「屋台」でささっと食べる、その考え方は今のシンガポールに近いのかなぁ。しかし食生活にも日本人の創意工夫のうまさや手先の器用さがいかんなく発揮されている。


『羊たちの沈黙(上)』(著者:トマス・ハリス 訳:高見 浩)

2013-01-20 19:13:57 | 本と雑誌
羊たちの沈黙(上) (新潮文庫) 羊たちの沈黙(上) (新潮文庫)
価格:¥ 620(税込)
発売日:2012-01-28

小さいころジョディ・フォスター主演の映画をTVで見てあまりに怖かったせいか、敬遠していたサイコミステリの王様。「六本指のゴルトベルグ」でレクター博士の弾く完璧かつ優雅なバッハのくだりからふと読みたくなって、丸善のミステリフェアで購入。精神異常者犯罪棟の冷たい独房、埃と蜘蛛の巣だらけのガレージから見つかる何年も前の首。「人類は人間の顔の下に、生きているものをむごたらしく傷つけることを愉悦する、人とは異なる何かを生み出すことがあるのだ。」 行間からゆらりと狂気がほのめいて、うう、大人になっても映像じゃなくても、やっぱり怖い。でも、読み出したらとまらない(笑)


先週はずっと忙しく、心臓が痛いくらいへとへとになったが、我々ブランドチームにとって歴史的な快挙があった。志半ばで去った仲間からバトンを受け継いで、全員でやることを方針に、足りないものを地道に継ぎ足していった成果。クリスマスイブと、大雪の休日に出社した甲斐もあって、とても嬉しい。しかしこれで気をゆるめないで、ここからが本当の勝負。この週末は心静かに神社に詣で、厄落としもしたし、倦まずたゆまず大騒ぎせず、オトナの仕事を続けていこう。


『白檀の刑(下)』(著者:莫 言 訳:吉田 富夫)

2013-01-14 17:27:14 | 本と雑誌
白檀の刑〈下〉 (中公文庫) 白檀の刑〈下〉 (中公文庫)
価格:¥ 1,150(税込)
発売日:2010-09-22

シューベルトのアルペジオーネ・ソナタがとても気に入ってしまい、ここのところ頻繁に聴いている。チェロも素晴らしいが抜群に安定感のあるピアノがいい。ベンジャミン・ブリテン、聴き込んでみる。雪の降りしきる夕方が暮れていくのを窓から見ながら、ピアノを弾いたり聴いたりできるのはとても幸せ。


といっても、けさは先週終わらなかった仕事を片付けに、汐留に出社。自宅を出るときは雨だったのに、仕事が一区切りつき、24階のオフィスからふと見ると、一面に白い幕がかかっている。風にあおられて大きく揺らいでいるのが雪だと気づいてびっくり。毎年だいたい、元旦は晴れ、成人式は雪。帰り道、街路樹やお店の軒先からバッサバッサ雪のカタマリが落ちてくるし(危険だ)、ヒートテックにレインブーツをはいて完全防備で来てよかった。成人式帰りの女性は幾人も、せっかくの着物も足元も冷たくなってしまってかわいそう。


下巻は血しぶきのあがるしっちゃかめっちゃかの大騒動、ラストに向けて狂ったように突っ込んでいくが、最後の一筆でピタッと全ての音がとまる。piu mosso, crescendo, furioso のあとに、ピタリとすべての音がとまって、しいんと、ほんとうに完全な静寂がくる。「音を描きたかった」という後書きでなるほどと思う、この作家はすごい。


『解決する力』(著者:猪瀬 直樹)

2013-01-13 17:30:28 | 本と雑誌
解決する力 (PHPビジネス新書) 解決する力 (PHPビジネス新書)
価格:¥ 882(税込)
発売日:2012-11-21

昨日、近くの神社に散歩がてらお参りし、小銭を入れて二礼二拍一礼、すがすがしく清浄な気持ちでふと近くの壁を見ると、厄除けのご案内がはってあった。女性の厄年、34歳で終わったと思ったら、なんと次の厄は36歳。やっぱり色々悲しいことやトラブルの多かった去年は本厄だったんだ。もう、神主さま、早く言ってよ(笑)3年終わって1年おいてすぐにまた来るなんて、普通、思わないではないか。


お財布に一万円が入っていなかったので、厄落としはまた来ることにし、気を取り直して帰り道に喫茶店でほかほかのココアを飲みながら、猪瀬直樹さんの本を読む。これは雑誌に寄稿のエッセイをまとめたもの。衆院選挙とセットだった都知事選、私は迷わず一票入れた。石原都政、賛否両論あったが、優れてよくなったところが大きいと思っている。石原路線を継続する猪瀬さんも作家だし、今後はさらに期待大、硬直化しているシステムをどんどん改革してほしい。


「何歳でも新しいことを厭うようになったら更年期のはじまり」という猪瀬さんは、60歳を越えてから走り始め、なんと東京マラソンにも出場された。私は毎年抽選に落ちっぱなしだが、次こそ受かってフルマラソンの距離を走りたいな。一時期お休みしていたジョギング、年末年始に再開し何回か走って、体がほぐれたところで、走る筋肉以外のところを鍛えたいとトレーナーに言ったら、ダンスを薦められた。早速今日からトライ、40分のプログラムで終わると汗びっしょり。手足のすみずみまで血液がいきわたってポカポカしたところで、マシンで軽く2キロ走って終了。初めてにしてはステップにキレがあると褒められ、すごい楽しい!!続きそう。